保育所等での園児置き去り事案は重大事故に繋がりかねません。時には園から遙か離れた場所にて保護された事例もあります。

大阪府は市町村から報告された置き去り事案をまとめ、公開しています。

置き去り事案について(認定こども園(幼保連携型、保育所型)、保育所、認可外保育施設)
https://www.pref.osaka.lg.jp/kosodateshien2/neglect_ninh/index.html(リンク先に一覧あり)

令和5年4月から6年1月の間に、少なくとも28件の置き去り事案が発生していました。いずれも健康被害が無かったのが不幸中の幸いです。

府は置き去り事案に共通する事項をまとめています。

・他の児童に気を取られた際などに人数確認が不十分になり置き去りが発生している。
・公園から園に帰る時など、場面転換時に人数確認が不十分となっている。
・死角のある所で、少し目を離した際に児童が見当たらなくなっている。
・場面転換時は注意が必要であるにもかかわらず、その認識ができておらず、人数確認を行っていない。

まさしくその通りとしか言い様がありません。死角に注意し、場面毎に人数確認を行うのが重要です。これらを欠いた際に置き去りが発生しています。

注意が必要なのは「4月」です。28件中、4月に8件も発生しています。園児も職員も新しい環境に慣れていません。職員が目を離した隙に、児童が移動してしまうケースが多いです。

中には1時間以上に渡って児童の安否が確認されていなかった事案もあります。

令和5年4月にはとある認定こども園の門扉が解放されていたところ、当該児が抜け出しました。通行人によって保護され、警察より連絡があり判明しました。それまでの1時間15分に渡り、園は児童の姿が消えていた事に全く気づいていませんでした。

また、同月にとある認定こども園で児童をトイレに連れて行った後に他児の対応のため児童を残し部屋に戻ったところ、当該児童が開いていた玄関出入口より抜け出し、その後、地域住民の通報により警察に保護されました。児童は1時間35分も園外にいました。

お世話になっている保育所でも「門扉の閉鎖」には気を遣っています。保護者に何度も「扉はすぐに施錠して閉めて下さい」と呼びかけが行われています。にも関わらず施錠していなかったり、時には門が開いている事があります。

私の目の前(と言っても10メートルほど離れていましたが)で門が開けっ放しになっていた事案では、他の保護者が走って逃げている自分の子供を追いかけるのに精一杯であり、門扉を閉めるのを忘れてしまっていました。

大きな問題があった事案もありました。

一時預かり事業にて子育て支援員が公園内で当該児童から目を離して他の児童と遊んでいたところ、当該児童の所在が不明であることに気づきました。その後に通行人が保護しましたが、実は配置基準を下回る状態で保育が行われていました。

置き去り等を防ぐのに最も重要な方法の一つは「大人の目」です。子供達を見守る大人の数が多ければ多いほど、置き去り等は発生しにくくなります。

園も対策しています。ここ数年の間に周辺の保育所等で急激に普及したのは、「年齢毎にカラーが違う帽子」です。

複数の年齢児が混在していても、各年齢毎の園児数が一目で分かります。帽子は卒園するまで同じ物(色)を利用します。

点呼の徹底は基本中の基本ですね。目的地へ出発及び到着した時点で人数を数えるのは大切です。色付き防止を被っていると数えやすいです。

1-3月は置き去りが相対的に少ない時期ですが、4月からは再び増加すると予想されます。児童の安全を確保するには、動静把握が必要不可欠です。