大阪市内の小中学校では盛んに学校公開・授業見学会が行われています。全国でも珍しい「学校選択制」の一環です。希望すれば同一区内の隣接校へ進学できる制度です(但し受入人数に上限あり)。

殆どの方は学区内の小中学校へ進学していますが、中には学校選択制を利用して他校へ進学する方もいます。周囲ではこうした理由を見聞きしました。

【小学校】
・同じ保育園の園児の大半が隣接校へ進学する
・隣接校の方が自宅から近い
・学区の小学校は小規模/大規模なので、2-3クラスの隣接校を選んだ

【中学校】
・学区の中学校が荒れている、学力水準が低い
・希望するクラブがない

小学校「人間関係・自宅からの距離・規模」

小学校と中学校では理由が大きく異なっているのが印象的でした。

小学校は人間関係や通学のしやすさが主な理由でした。我が家がお世話になっている保育所でも、仲良しグループで同じ小学校で進学する話を聞きました。中にはその為に転居した方もいたぐらいです。

自宅からの距離も重要です。大阪市の学校は複雑に入り組んでいる地域もあります。学区内よりも、隣接学区の小学校の方が近いケースは少なくありません。

学校の規模を重視したという話も聞きました。1学年1クラスだとクラス替えがない(=人間関係が固定化しやすい)、1学年4-5クラスもあると先生方の目が届かない、という理由です。

ただ、小学校は地域との繋がりが非常に強いのが特徴的です。様々な行事では地域のバックアップが欠かせません(コロナ禍で薄まりましたが)。

学区外へ通うと、様々な情報やネットワークからはみ出してしまいます。家庭訪問の日程が制約されたり、地域の安全情報も入りにくいです。どちらの学校のスポーツクラブ(こども会)や長期休業中のいきいき活動へ参加するかも悩ましいです。

標準服(制服)の有無で決めたという話は聞きませんでした。標準服は高価な買い物(一式で2万円~3万円)ですが、長く使い続けられます。毎朝、服装選びに困る事もありません。廃止活動といった話も聞かないので、合理的な手法の一つとして受け入れられているのでしょう。

中学校「雰囲気・学力・クラブ」

中学校を選択した理由として頻繁に聞いたのは「地域の中学校は嫌だ!」という話です。具体的には荒れている、学力水準が低い、小学校の人間関係をリセットしたい等です。

親として悩ましいの学力水準です。大阪市内の中学校の学力水準には大きなバラツキがあります。分かりやすい指標は全国学力テストの平均点や進学先の高校です。平均点の高低や進学校(文理学科設置校)への進学数から、その中学校の学力水準は明らかになってしまいます。

希望するクラブがないのは切実な問題です。大阪市内の中学校の運動場や体育館等は決して広くありません。指導する教員も限られています。「A中学校に○○クラブはないが、隣のB中学校にはある」という事例が頻繁に起きています。

例えば上町中学校(中央区)にはバスケットボールや水泳部がありません。また、区内の全中学校に陸上部がありません。


https://www.city.osaka.lg.jp/chuo/cmsfiles/contents/0000541/541695/22_chuo_17.pdf

こうしたクラブに入りたい子供にとっては致命的です。

また、同じ様な理由で私立・国立中学校へ進学する方もいます。大阪市内では概ね10%前後がこうした進路を選んでいます。

「在学中の子供がいる家庭の情報」を大切に

学校選択において特に頼れる情報源は地域情報です。特に大きなきょうだいがいる子供の同級生家庭からの情報は絶大です。学校日記や配布されるパンフレットに記載されている話はあくまで表向きです。実際の所は、通っている方でないと分かりません。

以前に学区の中学校へ通っている子供がいる方に「地域の中学校はどうですか?」と訊ねた所、「うーん、他の中学校の見学会にも参加した方が良いと思う」との返事が返ってきました。

反対に私が小学校について訊かれる事もあります。「のびのびとして面倒見が良い学校なので、ぜひ来て下さい。」と話をしています。

令和5年度の学校選択制の締切は10月28日です。今は最後の学校公開や授業見学会が行われている最中です。気になる学校には直接足を運び、雰囲気等を確認して下さい。