大阪市が「こども誰でも通園制度(仮称)の試行的事業の受託事業者」を募集しています。あくまで「事業者」の募集であり、「利用者(子育て世帯)」の募集ではありません。
掲載されている事業内容から、大阪市が実施しようとしているこども誰でも通園制度(仮称)の外観が見えてきます。
令和6年度 大阪市こども誰でも通園制度(仮称)の試行的事業の受託事業者を募集します
公募の趣旨
全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位で保育所等を利用できる新たな通園給付(「こども誰でも通園制度(仮称)」)の創設を見据え、試行的事業を実施するための令和6年度受託事業者の募集を行う。
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000621634.html(以下同じ)
利用するには各施設で電話等(「ウェブを想定?)で申し込みます。利用枠以上の応募があった場合、先着順では無くて抽選によって利用者が決定されます。「早い者勝ち」ではありません。
ア 利用者の決定
実施施設が保護者から電話等で申込みを受け、試行的事業の利用対象者であるかを確認の上、利用希望者登録を行い、利用者を決定する。なお、利用枠以上の応募があった場合は、事業実施施設において抽選の方法により利用者を決定する。
利用期間は3カ月以上、利用間隔は毎週もしくは隔週程度、利用時間は月10時間以内とされています。自治体裁量による上乗せも可能とされていますが、大阪市は国庫補助基準上の上限たる月10時間に留めています。
これにより、毎週利用すると週1日2時間~2.5時間が限度となる見通しです。
イ 定期的な預かり
① 令和6年7月1日より任意の枠を試行的事業枠と位置づけ、利用者に対し、月10時間以内の定期的な預かりを行う。また、実施方法については、一般型(在園児合同)または一般型(専用室独立)のどちらかで実施すること。なお、同年齢保育または異年齢保育は問わない。
(注)利用施設を固定し、毎週または隔週程度での定期利用を原則とする。
(注)定期的な預かりの期間は、3カ月以上とすること。
こども誰でも通園制度(仮称)には、家庭の育児状況をモニターする役割も期待されています。
特に不適切な養育の疑いを確認した場合や要支援家庭等の児童が無断でキャンセルした場合には、区役所等への情報共有を求めています。現に要支援家庭等の児童の様子は
⑦利用当日に、通園がない場合には、利用者の状況を確認すること。特に要支援家庭等の児童の利用がない場合には、各区役所等の関係機関と情報共有し、適切に対応すること。
⑧不適切な養育の疑いを確認した場合には、各区役所等の関係機関に情報を共有するとともに、協働対処による相談支援を行うなど、適切な支援を行うこと。
給食の提供は実施施設が判断します。ただ、預かり時間が短く、更にはアレルギー対応等が必要な事から、実際に提供する・提供できる施設は限定的でしょう。
ウ 給食の提供
給食の提供は実施施設の判断とする。なお、給食を提供する場合は自園調理を必須としない。(外部事業者から搬入したものを提供することも可能)
実施予定施設は保育所等に限られません。幼稚園・地域子育て支援拠点・児童発達支援センター、更にはこれらに含まれない駅周辺等も候補に挙げられています。但し、一定数の保育士・保育従事者の配置が必要です。
(3)実施予定施設
大阪市内に所在する、保育所、認定こども園、小規模保育事業所、家庭的保育事業所、幼稚園、地域子育て支援拠点、児童発達支援センター、駅周辺等利便性の高い場所などの一定の利用児童が見込まれる場所
開所日は原則として月曜日~金曜日、利用料は1時間300円です。料金は一般的な預かり保育より遙かに安く、申込が殺到するのは間違いないでしょう。
(4)開所日
原則、月曜日から金曜日を開所するものとする。なお、土曜日については保護者ニーズに応じて開所しないことも可能とする。(5)利用料
こども一人1時間あたり300円
試行期間は2025年3月末までです。この期間内にニーズや問題点を洗い出し、本格実施に繋げていくのでしょう。
(4)履行期間
契約締結後から令和7年3月31日まで
専ら家庭で育児を行っている世帯にとって、「こども誰でも通園制度」は喉から手が出るほどに有り難い制度です。
家庭に子供と2人で閉じこもっていると、本当に消耗します。常に子供と一緒に過ごさざるを得ず、子供から逃れられないのが大きな大きなストレスでした。美容室にも行けず、1人でトイレに行くことすら難しい時期もありました。
余りに疲れ果ててしまい、子供のかかりつけ医から「精神科を受診された方が・・・・」と勧められた事もありました。
たとえ月10時間であっても、子供から離れる時間ができるのは貴重です。
外部の第三者と接する機会も重要です。保育所等に行けば多くの園児や保育士等と接します。親目線から他の園児の様子を眺めたり、保育士等と会話をするだけでも救われます。
一方、我が家がお世話になっている保育所等は恐らく応募しないでしょう。毎日登園している児童の保育だけで精一杯、4月以降も定員をほぼ充足すると聞いています。
大阪市内では各事業者から一定の応募はあるでしょう。ただ、応募が多い地域と少ない地域が二分され、後者では利用しにくい状況が想定されます。
また、本制度の利用状況は、大阪市が検討している0-2歳児保育料完全無償化にも間接的に影響します。仮に利用者が殺到して実質的に利用出来ない状況となれば、保育料が無償化された後に待機児童問題が深刻化すると予想できます。
家庭のみで0-2歳児を育児するのは大変です。我が家は保育所等の力を求め、辛うじて乗り越えています。保育所等を利用できなかったら、第2子以降は考えられませんでした。