大阪市生野区に在籍園児の半数が外国籍という保育所があります。生野こもれび保育園です。

同保育所の現状等をMBS(毎日放送)が特集しました。

 大阪市の中で外国人住民が一番多い生野区(2022年12月末時点で2万7480人)に、在籍児の半数が外国籍だという保育園があります。言葉や文化・習慣が違う子どもたちをどうサポートしていくか…。苦悩や課題を抱えながら、新たな取り組みも進める現場に迫りました。(以下省略)

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/526293?display=1

同保育所では朝のうたを日本語・ベトナム語・ハングル・中国語で歌っています。保護者へ配布するプリントにも4カ国語が併記されています。実は同保育所へ通う園児の半数が外国人です。

 大阪市生野区にある認可保育園「生野こもれび保育園」。朝の定番「おはようのうた」は、日本語に加えて、ベトナム語・韓国語・中国語で歌い上げます。

 保護者に配るプリントも、行事予定が各国の言葉で表記されています。

 こうした対応を始めた理由。それは、在籍する園児88人のうち、半数の44人が外国人だからです。さらにこの2年で一気に増えたのがベトナム人家庭の子どもたち。いまでは園児の4割を占めるといいます。

ここでいう「外国人」には、永住権を持つ外国人は含まれていません。

こもれび保育園では現在、在籍児の約50%が外国籍(永住権を持つ在日韓国・朝鮮人、中国人を除く)の子ども達です。

http://www.ikuno-komorebi.com/donation.html

つまり、外国人や外国にルーツを有する園児(「外国人等」とします。)が半数以上を占めています。大阪は国際色豊かな街であり、中には民族教育・保育を重視した保育所等もあります。しかし、これほど外国人等の割合が高い保育所は知りません。

保育所等での外国人・外国にルーツがある園児への対応は大変です。我が家がお世話になっている保育所でもそうした園児が年々増加しています。上の子の同級生では10%未満でしたが、現在登園している下の子では2割前後がそうした園児です。

ただ、外国人等も大きく二分されます。日本語や日本の習慣が通じる方と、そうでない方です。

子供と同じクラスの方は中国系(国籍は不明)の方です。日本語での意思疎通(会話や文書)には問題なく、保育士や他の保護者は日本人と同じ様に接しています。

ただ、難しい表現は少し不得手な様子です。保育士は分かりやすい日本語に言い換えたりする事もあり、配布されるプリント類の漢字にはルビが振ってあります。

一方で家庭内での会話は専ら中国語です。子供には中国語で話しかけています。

たとえ外国人等に日本語が通じなくても、若干数ならば個別に対応する事も可能です。しかし、半数が外国人等になるとお手上げかもしれません。

生野こもれび保育園での外国人等とのコミュニケーションに苦労しています。保育所生活で欠かせない「おやつ」「予防接種」「呼び方」「アレルギー」「日本語学習」を聞き取るだけでも一苦労です。

特に難しいのはベトナム人です。あくまで私の経験ですが、大阪で暮らしている中国人や韓国人は概ね日本語が通じます。日本語が通じなくても、英語が通じる事は多いです。意思疎通が成り立たなかった記憶はありません。

しかし、(あくまで私の経験では)ベトナム人には英語がほぼ通じませんでした。フランス語もダメでした。ベトナム語を理解できる日本人は殆どいません。共通して使える言葉は見当たりません。

最近は翻訳アプリや翻訳ソフトが手頃に使えるようになったので、以前より言葉のハードルは下がっています。しかし、翻訳するには一手間が必要なのは変わりありません。微妙なニュアンスも伝わりません。子供同士の意思疎通も難しく、すぐに手が出てしまいます。

同園はこの4月から保育職員兼通訳としてベトナム人を採用しました。こうした保育所には最適の人材でしょう。

外国人等の割合が高くなると別の事態も生じます。こうした保育所等を日本人が避けてしまいます。多文化共生には理解を示す反面、あまりに多文化過ぎるのにも警戒感を有してしまいます。

小中学校の学習に課題も

保育所等では外国人等に寄り添った丁寧な対応を行っています。しかし、小学校へ入学すると別の問題も浮上します。配布されるプリント類は同様の配慮が行われていますが、授業は日本語で進みます。日本語が理解できなければ、授業についていけません。落ちこぼれます。

特に厳しいのは、保護者が十分な日本語能力を有していない子供です。全国学力・学習状況調査にて外国にルーツがある子供へ質問したところ、日本語で回答した保護者とそれ以外の言語で回答した保護者を比較すると、子供の学力には極めて大きな開きがありました。

https://www.mext.go.jp/content/20230601-mxt_chousa02-000029720-1.pdf

特に顕著なのは国語です。小学校は中央値が偏差値37(保護者が日本語で回答した子供は50)、中学校は31(同50)でした。小学校は半数の児童が、中学校は3/4の生徒が国語の学習についてこれていない事態を物語っています。

こうした状況は我が家がお世話になっている中学校でも感じられます。不思議な事に特別支援学級や通級学級に在籍している外国にルーツがあると思われる生徒が妙に多いのです。

その理由を先生に訊ねたところ、「十分な日本語能力が無いので、特別支援学級等において手厚い日本語教育を行っている」との話がありました。高校進学も容易でない状況が伝わってきました。

外国人等に対し、保育所も学校もできる限りの教育やサポート等を行っています。しかしながら、現場のリソースは限界だと感じました。

このままでは十分な日本語能力を身につけないままに子供が成長し、日本社会から孤立・排斥される未来が待っています。中には生活苦や犯罪に手を染める子もいるでしょう。

国籍やルーツを問わず、誰しもが十分な教育が必要です。もう少し何とかして欲しいです。