全国で多くの保育施設を運営する株式会社グローバルキッズが保育士数を仮装し、過大な運営費を受給していました。

 グローバルキッズなどによると、不正があったのは15年4月~19年12月で、豊島、大田区など都内8区の認可保育所11施設と認証保育所5施設の計16施設。実際より多い保育士らが配置されているように見せ掛けるため、職員名簿や出勤簿を偽造し、各区に報告。区側はこれに基づき運営費を支給していた。

 豊島区が昨年7月の指導検査で不正に気づき、これを受けて都が今年1月から同社の104施設に検査を実施して発覚した。5施設で延べ27カ月分の不正があった豊島区は、過大支給分を約732万円と試算。大田区でも約327万円の不正が判明した。返還請求は現在、計5区で金額は約1598万円に上る見通し。今後さらに増える可能性がある。

 都の担当者は「組織的、意図的に事実と異なる名簿を提出していたケースで、悪質」としている。

 水増しした名簿には、同社本部職員計19人の名義を借用していた。同社は「本部が関与して書類を偽造した。施設の急増と保育士の採用難の中で、名簿や出勤簿など形式のみを整えてその場をしのぐという、誤った認識があった」と説明。社内調査では、都外の施設1カ所でも虚偽報告した可能性があるといい、職員教育など再発防止に取り組むとしている。

 同社の保育所で勤務経験のある保育士は「人手不足が常態化している園では、名義貸しは暗黙の了解だった。施設を新設する中で、既存の保育所が大事にされていない感じがあり、辞める人もいた」と明かした。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/190872

いち早く気付いたのは豊島区でした。2021年7月9日にグローバルキッズ東池袋園に対して行った一般指導検査において、「職員配置に係る、区への実績報告に実態との相違があり、配置数が不足している。」「公定価格の基本分単価に含まれる常勤保育士の配置が不足している月がある。」ことに気付きました。

https://www.city.toshima.lg.jp/404/kosodate/kosodate/hoikuen/chiikigata/documents/r3shiritsukekka.pdf

これだけでは、たまたま同園だけ問題が生じていたのかもしれません。しかし、7月21日にグローバルキッズ千早園に対して行った一般指導検査においても、「職員配置に係る、区への実績報告に実態との相違があり、配置数が不足している。」「区扶助要綱に基づく常勤保育士の配置が不足している月がある。」という点が指摘されました。

同時期に同系列の園で同様の問題が確認されました。これは「偶然の一致」では片付けられません。

この後に東京都と相談したのでしょう。翌年1月から同系列の復数園に一般指導検査・特別指導検査を行い、全く同じカラクリが明らかになりました。

https://www.city.toshima.lg.jp/404/kosodate/kosodate/hoikuen/chiikigata/documents/040623gktokubetsushidou.pdf

「職員名簿や出勤簿を偽造」したのは非常に悪質です。復数園で本社の社員名義を用いた不正が行われていたので、本社の責任ある人間が関与したのは明白です。施設長のみの判断で行ったものではありません。

また、東京都に限らず、他都道府県にある復数園でも同様の不正が行われた可能性は排除できません。

本件では保育士配置基準に抵触していたかは明記されていません。しかしながら、保育士の不足は保育の質、ひいては園児の安全に直結します。過去に様々な園で発生した保育事故の多くには「人手不足」が影響していました。保育士の目が足らず、事故が発生したケースが多くを占めています。

残念に感じたのは、本件に関するプレスリリースが同社及び親会社(株式会社グローバルキッズCOMPANY)のウェブサイトに一切記載されていない点です。

親会社は東証プライムに上場する企業です。本件に対する自己反省・謝罪・再発防止策等を公表する責務があります。これが行われていないのは非常に残念です。

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(追記)
改めて確認したところ、株式会社グローバルキッズの6/15付プレスリリースに本件が掲載されていました。訂正します。

改善状況報告書提出に関するお知らせ
https://www.gkids.co.jp/news/news774.html