ヤフーニュースで待機児童ワースト1位 住みたい街・西宮市のジレンマという記事に多くのコメントが寄せられています。

待機児童ワースト1位 住みたい街・西宮市のジレンマ
https://news.yahoo.co.jp/articles/c170dd150c748dc24125fe5bcf3f959734e796e9

令和3年4月の保育所等待機児童数について(西宮市)及び大阪市の保育所等利用待機児童数について(令和3年4月1日現在)より、両市の待機児童数等を比較します。

R3待機児童状況西宮市大阪市
人口(住基台帳)483,484人2,735,906人
入所申込数3,271人14,582人
入所決定数2,237人11,907人
入所決定率68.4%81.7%
入所保留数1,034人2,675人
入所保留率31.6%18.3%
待機児童数182人14人
総在籍数8,275人55,000人

大阪市の人口は西宮市の約5.7倍です。両市を比べると、西宮市は入所申込数が相対的に多いにも関わらず、総在籍数は相対的に少なくなっています。

最も端的に現しているのは入所保留率です。申し込んでも決定しなかった割合を表しています。大阪市は18.3%なのに対し、西宮市は31.6%という高さです。

西宮市では3人に1人が入所保留となっています。大阪市のピーク時(確か3割弱)を上回る、非常に厳しい状況です。しかも市域全域です。

となると、子育て世帯から人気が高い阪急西宮北口周辺は阪急・JR・阪神沿線では、更に入所しにくいと推測できます。保留率5割でも不思議ではありません。

両市を比べて浮かび上がるのは、西宮市の保育所等整備の遅さです。保留率の高さから新設保育所等の不足が、総在籍数の少なさから長年に渡る整備不足が指摘できます。

問題は保育所等に留まりません。小学校の狭隘化や学童保育の不足も遅れて生じます。

地価が高くて一定規模の土地を購入するのが難しい地域なので、小学校を新設するのは非常に困難です。仮に土地があっても、学校よりマンション用地にされてしまいます。

どの自治体にも指摘される事ですが、子育て世帯に人気がある地域の子育て環境は悪化します。ゆとりがある環境はゴミゴミし、子育て施設は不足します。

行政の動きは非常に緩慢です。民間主導の開発スピードに追従できていません。整備計画・議会との交渉・予算案の成立等、様々な過程と多くの期間が必要です。

西宮市は市南部を中心とした保育ニーズは高まり続けるでしょう。10年ほど前の大阪市を見ている気分です。