新型コロナウイルス感染者が急増している首都圏は、既に「医療崩壊」としか呼べない事態に陥っています。
慎重かつ緊急の対応が求められる妊婦の搬送先が見つからず、自宅で早産した赤ちゃんが亡くなりました。
新型コロナ 自宅療養中の妊婦 搬送先なく早産で新生児死亡
こうした中、関係者によりますと、17日夕方、新型コロナに感染し、千葉県内で自宅療養をしていた妊娠8か月の30代の女性が、出血があったため救急車を呼んだということです。
かかりつけの産婦人科医に連絡し、救急隊員や保健所などで入院調整が行われましたが、対応できる医療機関が見つからなかったということです。
そして数時間後、そのまま自宅で出産し、赤ちゃんは早産のため緊急の処置が必要で、病院に搬送されましたが、亡くなったということです。
女性は命に別状はなかったということです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210819/k10013211121000.html
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(追記)
より詳しい内容が掲載されています。
千葉県柏市で、新型コロナウイルスに感染した30代の妊娠8カ月の女性が、入院先が決まらないまま自宅で出産し、新生児が死亡していたことがわかった。
県などによると、女性はコロナに感染して軽症と診断された。発熱があったものの、今月15日時点で、軽症であり、優先的に入院できる妊婦(36週以降)ではなかったことから入院が見送られたという。
女性は自宅療養を続けていたが、17日午前に急な出血があり、入院先の調整が行われたが間に合わず、同日夕方、そのまま自宅で出産した。
女性は同日午後5時半ごろ救急車を呼び、約30分後に母子ともに市内の病院に搬送されたが、病院で新生児の死亡が確認された。
千葉県柏市で新型コロナウイルスで自宅療養中の30代妊婦が自宅で早産し、新生児が死亡した問題で、柏市は女性について「妊娠29週、コロナは軽症だった」と明らかにした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/641f68f8e092099eeaa8b8889304905c4e05096b
日本産科婦人科学会周産期委員会によると、29週の胎児の平均体重は1313gです。
母子共に早急な対応が必要でした。見殺しです。言葉がありません。
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首都圏ではコロナに感染した妊婦が急増し、搬送先を見つけるのが困難だと警鐘が鳴らされていました。
新型コロナ感染妊婦が増加、1日3件の受け入れ要請も
「コロナ禍の周産期医療が破綻(はたん)してきている」
妊婦だけでなく、生まれてくる赤ちゃんにも特別の対応が必要になる。母子の接触を避ければ、赤ちゃんへの感染を防げる。それでも母子感染の可能性はゼロとは言えず、PCR検査などが必要だ。数日間は隔離の対象となり、新生児室で隔離のベッドが必要となる。
妊娠中の感染は重症化のおそれが高まるとされ、神奈川県は症状がなくても入院を原則としている。だが、「現状では、無症状ならば自宅療養とせざるをえない」という。
千葉大病院(千葉市)では8月上旬、妊娠37週でコロナに感染した妊婦を受け入れた。帝王切開による出産になった。コロナに感染したために、帝王切開の可能性がある人の病床は1床しかなく、2人同時に受けることは難しい。
https://digital.asahi.com/articles/ASP8G5DFZP8CULBJ015.htmlより一部引用
医療崩壊による被害者です。亡くなった赤ちゃんはコロナ死者にカウントされませんが、事実上のコロナ禍による死者です。
コロナによる医療崩壊が起きていなければ、今頃は母子共に健やかに過ごしていたでしょう。病床確保を最重要視しながら、これを維持できなかった行政機関の責任は極めて重大です。
つい3日前、妊娠中に新型コロナウイルスに感染すると、産まれた赤ちゃんにはどんな影響があるの? 産婦人科医の解説という記事が掲載されました。
・妊娠中の新型コロナウイルス感染は早産のリスクを高める
・早産が増えることによって新生児の合併症も増えてしまう
・ウイルスによる直接的な新生児への悪影響は非常に小さそうhttps://news.yahoo.co.jp/byline/shigemidaisuke/20210816-00253423
あくまで推測となりますが、妊娠中のコロナ感染によって早産が起きてしまい、医療崩壊中の首都圏で病床が見つからず、最悪の結果を招いたと言えそうです。
昨年度の大阪では168人の妊婦がコロナに感染し、5人が重症化しました。
大阪産婦人科医会は7日、大阪府内で新型コロナウイルスに感染した妊婦が昨年3月から今年4月までに168人確認されたと発表した。人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))を使った重症患者は5人いた。感染拡大で入院先の調整に時間がかかるようになっているという。
今後は首都圏のみならず大阪・兵庫でも同様の事態が続出する恐れが強いです。
実は今年に入ってから、大阪市内で新生児や乳児を見かける機会が激減していると感じています(保育所やその周囲を除く)。本当に見かけません。妊娠・出産を見送る動きが強くなり、外出を控えている様子がうかがえます。
この様な妊婦の搬送困難事案は、妊娠・出産を考えているカップルの心情に強い影響を与えます。特段の事情がない限り、コロナ禍が収まるまで先送りしようと考えるのは当然です。
真っ先に影響が生じるのは保育所等でしょう。特に希望者が多くない保育施設は園児が集まらず、重大な経営問題に直面します。
経営が立ち行かなくなった保育施設に在籍している園児を他の施設へスムーズに転園させるスキームが不可欠です。森友保育園等を経験した大阪市はノウハウを有していますが、他の自治体は心配です。
少子化が急速に進むのは避けられません。80万人割れどころか、70万人割れも視野に入ります。妊婦や新生児の医療が担保されない状況下、妊娠・出産が減るのは当然です。
自己防衛するにはワクチン接種、そして万が一の感染に備えた食料品やパルスオキシメーターを準備するしかありません。
私はパルスオキシメーターと体温計を毎日使用し、体調の微々たる変化も気づく様にしています。血中酸素飽和度が著しく低下したと数字で確認できれば、救急搬送する判断が早くなります。
妊婦へのワクチン優先接種も検討されるべきです。掛かり付けの医療機関で接種できるのが一番ですが、大規模接種会場等での優先枠も考えて欲しいです。
皆様もお気をつけ下さい。