先日の投稿でも記したとおり、大阪市保育所入所選考基準改正案について、改正点を取り上げます。
一度に全ての改正点について取り上げたかったのですが分量が多くなってしまうので、本記事は基本点数表のみを取り上げます。
調整指数表・順位表が別途後日掲載します。
→掲載しました。
大阪市保育所入所選考基準改正案について(調整指数表・順位表)
基本点数表の主な改正点は(1)センター所長の裁量権の拡大及び判断基準の明確化、(2)各種内定者の取扱いの改正、(3)転所希望者の点数計算です。
旧
(入所申込み時期)
第14条 (略)
2 年度途中において保育の実施を希望する保護者は、入所開始希望月の前月10日までに保育所入所申込書(様式第7号)をセンター所長に提出しなければならない。新
(入所申込み時期)
第14条 (略)
2 年度途中において保育の実施を希望する保護者は、入所開始希望月の前月5日までに保育所入所申込書(様式第7号)をセンター所長に提出しなければならない。ただし、緊急やむを得ないとセンター所長が認める場合については、この限りではない。
年度途中の入所申込期限が前月10日から前月5日へ繰り上げられる一方、緊急時等でセンター所長が認める場合は例外的な取扱いが認められます。
選考基準の複雑化によって長い選考期間が必要となり、またセンター所長の裁量権を広げて緊急入所に対応する為の改正でしょう。
旧
なし新
附則
この要綱は、平成25年 月 日より施行する。
改正後の要綱は平成25年中の施行が予定されています。
すなわち、平成26年4月の一斉入所選考は改正後の要綱によって行われる方針です。
旧
2.就労内定 (家庭外)
90 月20日以上かつ週40時間以上又は週5日以上かつ日8時間以上の仕事に内定している。
70 月16日以上かつ週24時間以上又は週4日以上かつ日6時間以上の仕事に内定している。新
2.就労内定 (家庭外)
(削除) (削除)
(削除) (削除)
就労内定(家庭外)における90点及び70点の事由を削除し、それぞれ80点及び60点の事由に統合しています。
就労(家庭外)よりも就労内定(家庭外)の方が点数が高いケースが生じやすく、内定者よりも現に就労している保護者を重視する為の改正でしょう。
旧
4.就労内定 (家庭内)
80 月20日以上かつ週40時間以上又は週5日以上かつ日8時間以上の仕事に内定している。
60 月16日以上かつ週24時間以上又は週4日以上かつ日6時間以上の仕事に内定している。新
4.就労内定 (家庭内)
(削除) (削除)
(削除) (削除)
就労内定(家庭外)と同じ趣旨であり、内定者よりも現に就労している保護者の方が保育に欠ける度合が強いという判断でしょう。
旧
1 0 .通学
(追加)(追加)新
1 0 .通学
30 就職に必要な技能習得のために職業訓練校、専門学校、大学等に就学予定である。
就労内定と同じく、通学内定であっても保育に欠ける点があるとするものでしょう。
旧
1 1 .ひとり親
100 ひとり親世帯等で、月16日以上かつ週20時間以上又は週4日以上かつ日4時間以上(家庭外)働いている。新
1 1 .ひとり親
100 ひとり親世帯等で、月16日以上かつ週16時間以上又は週4日以上かつ日4時間以上(家庭外)働いている。
ひとり親世帯等の100点基準が緩和されています。
ただ、ひとり親世帯等で週16時間強の労働では生活に必要な収入は得られないと考えられます。
旧
1 2 .求職中(入所期間は6か月とする)
60 生計中心者が失業し、求職中である場合。(過去3か月以内)新
1 2 .求職中(入所期間は6か月とする)
60 生計中心者が失業し、求職中である場合。(申込時点より過去3か月以内)
求職日の起算点が明確化されました。
旧
1 5 .その他※5 障がい児等またはセンター所長が保育に欠ける状態にあると認める場合。新
1 5 .その他※5 障がい児や支援を要する児童など、児童福祉の観点から保育に欠ける緊急度が高いとセンター所長が認める場合。
例示列挙に「支援を要する児童」(家庭環境等?)が加えられ、「児童福祉の観点から保育に欠ける緊急度が高い・・・場合」とセンター所長の裁量基準が明確化されました。
入所申込時期ではセンター所長の裁量権が広げられています。
区役所毎の裁量権を広げる一方、区役所や担当者によって基準が曖昧で判断が分かれていたケースを少しでも減らす為に判断基準を統一化する為の措置でしょうか。
(A区役所だと認められなかったけど、B区役所だと認められたというケースがあっても不思議ではありません)
旧
(注釈)
※2 要件1~4の就労時間数は全て休憩時間を含むものとする。また、不規則勤務等、表記の就労日数及び時間数によりがたい場合は、別途判断する。
なお、ここでいう「見合う収入」とは、勤務(内定)証明書等に記載された就労日数・時間数及び給与単価から計算される金額と同等額の収入を指す。新
(注釈)
※2 要件1~4の就労時間数は全て休憩時間を含むものとする。また、不規則勤務等、表記の就労日数及び時間数によりがたい場合は、別途判断する。
なお、ここでいう「見合う収入」とは、勤務(内定)証明書等に記載された就労日数・時間数及び給与単価から計算される金額と同等額の収入を指す。見合う収入に満たない場合は、最低賃金を用いて算出した就労日数等により基本点数を判断する。
「見合う収入」に満たない場合の取扱いです。
「満たない収入」を得る為に最低賃金で働いた場合に要する日数等をもって就労日数等とみなし、基本点数を判断すると考えられます。
「最低賃金以下の労働は労働ではない」という考えでしょうか。
収入に変動がある自営業者や、いわゆるブラック企業で働いていて就労日数・時間と収入に釣り合いが取れない場合の取扱いがどうなるかが気になります。
旧
なし新
保育に欠ける要件を証明する書類の提出がない場合は、当該保護者の基本点数を30点とする。また、これらの書類に不足がある場合は、各要件の最低点数をもって基本点数とする。
必要な書類の提出がなかった場合の取扱いです。
保育に欠ける証明がないので入所申込を却下するのではなく、「最も低い点数をもって選考を行う」という趣旨でしょう。
旧
なし新
入所選考時点(一斉入所選考においては、別途定める日時点)において就労の事実が確認できない場合は、就労内定扱いとする。
就労の事実確認は行われています(職場に電話が掛かってきました)。
勤務証明書等を知人に頼んで作成して就労事実を作出しようとする噂話を聞いた事がありますが、そうした真偽が疑われる申請に対する取扱いを示したものでしょう。
こうした文章を明記する事により、就労の事実確認が強化されるかもしれません(突発的な職場訪問等?、あくまで推測です)。
全ての改正点について一度にコメントをつける予定でしたが、分量が多くなってしまうので基本点数表と調整指数表・順位表(後日掲載)で分割します。
主な改正点は各種内定者の取扱い、転所希望者の点数計算、センター所長の裁量権や基準の明確化です。
旧
※4 当該児童・世帯の状況に応じ、別途判断する。新
※4 やむを得ないと認められる場合を除き、要件1~13に基づき算出した入所申込児童の基本点数に0.5をかけた点数を適用する。
転所希望の取扱いについてです。
原則として「基本点数*0.5」とする方針です。
たとえば基本点数が190点の場合、95点になってしまうのでしょうか。
仮にこの通りだとしたら、転所希望者の順位は極めて低くなってしまいます。
新規入所希望者を全員受け入れても未だ空きが残らない限り、事実上転所できなくなってしまいます。
「やむを得ないと認められる場合を除き」と例外措置の適用も記されていますが、原則として転所は認めない方針だと受け止められます。
また、他では「センター所長が認める場合」とあるのに、ここでは「やむを得ない」と判断する人間が記されていません。
これ、まずくないですか?
旧
入所(希望)日を基準日とする。新
特に定めのある場合を除き、入所(希望)日を基準日とする。
「特に定めのある場合」は各項目に記載されています。
調整指数表や順位表に対するコメントは後日掲載します。
→掲載しました。
大阪市保育所入所選考基準改正案について(調整指数表・順位表)
主人が自営業ですが、自分の収入よりも優先するスタッフに払うお金、外注したお金、経費を差し引くと
実際自分の手元に残るお金が収入がとっても低いです。
恐らく最低賃金以下です。
それでも、売り上げを上げるために休みなく必死で働いています。
実際お金になるための実働以外にも、他の企業と同じく、営業にまわったり、打ち合わせに行ったりという、
お金には直結しないが将来収入に繋がるための労働時間もあるので、収入だけで見られると、たまったものではない!と思いました。
今は貯金を切り崩している状態のため。
私が早く仕事復帰して収入を得ないと立ち行かなくなってしまいます。
このことが気になって役所に聞いてみました。
すると「自営業の場合、収入を重視するのではなく、書類にて申告している実働時間を重視します。」
と、おっしゃっていました。
これが、女性側が自営業だったり、家族経営の職場で・・となると、扱いも変わったりするのかもしれませんが・・・。
コメントありがとうございます。
同様のケースで以前に役所に問い合わせた所、私も同じ様に「実働時間を重視する」という返答を頂きました。
また、売上・所得は低いが実働時間は長くとも第1希望の保育所に内定したとの話も聞いたので、実働時間を重視するという話は本当だと思われます。
一定の家族経営・専従者の場合は点数にも影響しますね。
「点数による公平な評価」はなかなか難しく、しばらくは試行錯誤するのではないでしょうか。