急激かつ急峻なリバウンドが発生しています。

大阪府の3月26日のコロナウイルス感染者は300人でした。300人以上となったのは1月30日以来です。

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/23711/00376026/0326.pdf

主たる要因の一つは20代です。26日の20代感染者は93人、全感染者の3割以上を占めています。

街中(特に週末)では昼間から居酒屋やカラオケ等で盛り上がっている数多くの若年層を目にします。この中に1人でも感染者が紛れ込んでいたら、グループ内で感染が拡大するのは避けられないでしょう。

昨日3月26日に大阪府は第41回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議を開催しました。

同会議では大阪市内の飲食店等への午後9時までの時短要請を4月21日まで延長すると共に、4月1日から区域を大阪府内全域に拡大する事が決定されました。

大阪府は会議毎に配布される詳細な資料等をウェブサイトに掲載しています。ここまで詳細な資料を掲載している自治体は、数えるほどしかありません。

第41回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議
資料の全体版
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/38215/00389951/ikkatsu-41.pdf

こちらから気になる部分を抜粋してコメントしていきます。

サマリーです。

緊急事態宣言の解除・年度末特有の人流・若年層や夜の街関係の感染増・変異株の拡大等により、1月~2月のような急激な感染拡大を危惧しています。

また、病床使用率は下がりきっておらず、更なる感染拡大時に病床が不足する恐れがあります。

緊急事態宣言が終了して時短要請を大阪市内へ縮小したのと同時期から、感染者の減少は停滞しました。その1週間後から感染者は徐々に増加し始めていました。

また、ここ数日間は感染経路不明者が急増しています。後述しますが、これらの多くは大阪市内の夜の街関係だと推測されます。

推定感染日ベースによると、底は2月20日前後ですね。緊急事態宣言が解除される前、まだ寒い時期です。人流は少しずつ回復していましたが、まだ抑制されていました。

年代別陽性者では20代が突出して増加しています。7日間移動平均では3月19日にトップとなり、その後は急激な勢いで増えています。

また、3月中旬までは非常に低い数字だった10代感染者も急増しています。これは箕面高校や大体大浪商高校等で発生した高校クラスターによる影響が大きいのでしょう。

30代~50代の感染者も増加しています。現役世代であり、街中で過ごす機会も多い年代です。勤務先での会食等に起因したクラスターも多数発生しています。

ヒアリングベースとなりますが、緊急事態宣言が解除された以降も部署単位での歓送迎会や会食等を禁止している企業が数多いと聞きます。

一方、少人数(4人以下)での会食や慰労会等は「感染予防に注意する」との限定を付して認めている(黙認?)という話も複数人から聞きました。

街中でも企業宴会等を意識した大規模な居酒屋は閑古鳥が鳴いていますが、常連をメインとした小規模な店舗や個人店等は所々で賑わっていました。

大阪市外への時短要請が解除された3月1日以降、大阪市外の陽性者は明白に増加に転じました。時短要請が感染拡大を抑制する効果は大きかった事を裏付ける結果です。

そして大阪市内の感染者も3月16日頃から増加に転じました。大阪市外の時短要請解除、大阪市内の人流回復、自粛生活からの反動、温暖な気候、歓送迎会や卒業パーティー等の増加が重なった結果でしょう。

大阪市外・市内は共に増加へ転じた後の勢いは急激でした。大阪市外は3週間で3倍以上、大阪市内は2週間で2.5倍以上の感染者が発生しています。

大阪市内の感染拡大を牽引したのは20代・30代・40代~50代でした。特に20代は底から3倍以上の感染者が発生しています。若年層の間で急激に広がっています。

一方、大阪市外では20代~50代に加えて10代の感染者も急増しています。高校クラスター絡みでしょう。

市外と市内では感染経路不明率にも大きな違いがあります。大阪市外の不明率は概ね5割程度です。一方、大阪市内の不明率は7割弱です。経験上、不明者の多くは繁華街の飲食店等に関係しています。

大阪府のクラスター状況でも大阪市外の飲食店は数多く報告されていますが、市内の飲食店は若干に留まっています。飲食店の大多数は大阪市内にあるにも関わらず、この違いは不合理です。市内の飲食店クラスターの多くは「不明」に紛れてしまい、水面下での感染拡大を引き起こしているのでしょう。

梅田やなんばの昼間の人流は1月は抑制されていましたが、2月から徐々に回復、そして3月以降は11月を上回る人出が観測されています。緊急事態宣言が解除された反動、そして年度末で様々な事情があるのでしょう。

一方、1月~2月の夜間人流は大きく抑制されていました。ただ、3月から急回復しています。それでも11月の水準に達していないのは、大阪市内では夜間営業時短要請が出ている為でしょう。

大阪府内の人流が回復するのと機を同じくして、夜の街の滞在者も3月から増加しています。その多くは飲食店関係です。

ただ、滞在エリアで「複数・不明」が多いのが気掛かりです。エリアを話せないのか、それとも大阪市内と市外地元の繁華街をハシゴしているのでしょうか。

クラスターエピソードからは注意すべきシチュエーションが浮かび上がります。

常連客で安心した飲食店、カラオケ設備がある飲食店、親しい数人での会食、マスク着用を徹底できなかった職場、学校の部活動やチームスポーツ、医療機関等です。

会食・カラオケ・運動活動は感染拡大を招きやすい典型例です。これらの活動を行う際は細心の注意を払うか、しばらくは控えるべきでしょう。

気掛かりなのは変異株です。大阪府内でも増加し始めています。様々な方から「大阪府内の学校で大規模な変異株クラスターが発生している」と聞いています。

変異株は医療資源を圧迫しています。原則として個室や変異株専用病床等での入院療養対応(今後はホテルや自宅療養も可能に)、そして療養を解除するには2回連続で陰性となる必要があります。

これにより、より長い期間に渡って病室が占用されてしまいます。入院の長期化により、病床使用率は下がらない(=上がり続ける)可能性が高くなっています。

従来株と異なり、変異株は若年層の間でも広がっています。何と20代以下の感染者が半数を占めています。「若年層にも広がりやすい」という研究結果を裏付ける結果です。

大阪府内は極めて厳しい状況です。4月早々にも蔓延防止措置、そしてGW前後には緊急事態宣言が再び発出される可能性もあります。

街中には楽観的な雰囲気が漂っていますが、資料からは危機感しか伝わってきません。