各地で保育所等における子どもの声に関するトラブル・訴訟が起きています。
隣に保育所、迷惑ですか 騒音・送迎車…各地で建設難航
【ニュース】「保育園の声うるさい」近所の男性が提訴 神戸

騒音を条例で規制している東京都は、子どもの声を規制対象から外す事も含めて条例を見直す方向で検討するそうです。

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(12/24追記)
見直し案がまとまりました。
【ニュース】子どもの声、騒音から除外 東京都、条例見直し案
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子どもの声 騒音規制見直しへ
09月25日 06時18分

子どもの声も騒音だとして保育園などに苦情が寄せられるケースが相次ぐ中、騒音を条例で規制している東京都は、子どもの声を抑制するのは発育上、望ましくないとして規制の対象から外すことも含め条例を見直す方向で検討することになりました。
東京都は、住民の生活環境を守るため、条例でさまざまな騒音を規制していますが、子どもの声も騒音だという苦情が相次ぎ、中には、条例を根拠に保育園や公園の設置者に騒音の差し止めを求めるケースもあるということです。
一方、条例を運用している市区町村に尋ねたところ平成20年度以降、およそ7割の42の自治体で子どもの声がうるさいなどと幼稚園や保育園に苦情が寄せられていましたが、多くの自治体が子どもの声については規制はなじまないとして基準を緩和するか、規制の対象外にすべきと回答したということです。
さらに、保育の専門家からは「声を抑制するのは子どものストレスになり、発育上、望ましくない」という指摘があることなどから東京都は子どもの声については規制の対象から外すことも含め、条例を見直す方向で検討することになりました。
東京都は今後、自治体とも協議を重ね、早ければ来年にも条例の改正を行いたいとしています。

http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20140925/4838291.html

見直そうとしている条例は、恐らく都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)でしょう。
具体的には条例第136条及び別表第13です。

(規制基準の遵守等)
第百三十六条 何人も、第六十八条第一項、第八十条及び第百二十九条から前条までの規定に定めるもののほか、別表第十三に掲げる規制基準(規制基準を定めていないものについては、人の健康又は生活環境に障害を及ぼすおそれのない程度)を超えるばい煙、粉じん、有害ガス、汚水、騒音、振動又は悪臭の発生をさせてはならない。

同条例第136条

日常生活等に適用する規制基準(第百三十六条関係)
一 騒音

区域の区分 時間の区分 音源の存する敷地と隣地との境界線における音量(単位 デシベル)
種別 該当地域
第一種区域 一 第一種低層住居専用地域
二 第二種低層住居専用地域
三 AA地域
四 東京都文教地区建築条例(昭和二十五年東京都条例第八十八号)第二条の規定により定められた第一種文教地区
五 前各号に掲げる地域に接する地先及び水面
午前六時から午前八時まで 四〇
午前八時から午後七時まで 四五
午後七時から午後十一時まで 四〇
午後十一時から翌日午前六時まで 四〇
第二種区域 一 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域であって第一種区域に該当する区域を除く地域
二 無指定地域(第一種区域及び第三種区域に該当する区域を除く。)
午前六時から午前八時まで 四五
午前八時から午後七時まで 五〇
午後七時から午後十一時まで 四五
午後十一時から翌日午前六時まで 四五
第三種区域 一 近隣商業地域(第一種区域に該当する区域を除く。)
二 商業地域(第一種区域及び第四種区域に該当する区域を除く。)
三 準工業地域
四 工業地域
五 前各号に掲げる地域に接する地先及び水面
午前六時から午前八時まで 五五
午前八時から午後八時まで 六〇
午後八時から午後十一時まで 五五
午後十一時から翌日午前六時まで 五〇
第四種区域 商業地域であって知事が指定する地域 午前六時から午前八時まで 六〇
午前八時から午後八時まで 七〇
午後八時から午後十一時まで 六〇
午後十一時から翌日午前六時まで 五五
ただし、第二種区域、第三種区域又は第四種区域の区域内に所在する学校、保育所、病院、診療所、図書館及び老人ホームの敷地の周囲おおむね五十メートルの区域内における規制基準は、当該値から五デシベルを減じた値とする。

備考 騒音の測定方法は、工場及び指定作業場の騒音に係る測定方法の例による。

同条例別表第13

いわゆる住宅街における日中の音量規制基準は40-45デシベルとされています。
この規制基準に違反する場合、知事は違反行為の停止又は必要な措置を勧告(同条例137条及び138条)、停止等の命令(同条例139条)を行う事が出来ます。

子どもが集う保育所・幼稚園・小学校・公園等においては、大きな声で遊んだり歌を歌ったりするのは日常茶飯事でしょう。
こうした行為は子どもの成長にとっては必要不可欠なプロセスであり、規制によって得られる静謐な住環境よりも優先されるものでしょう。

一方、子どもの声をうるさく感じるのも十分に理解できます。
日中に保育所や幼稚園の近くを通ると唐突に甲高い子ども達の声が聞こえてきて、思わず驚いてしまう事があります。
子どもの声と言えども不快な騒音だと感じる人がいるのは間違いありません。
条例による規制対象から外したり規制基準を緩和するのであれば、同時に子どもの成長を阻害しない範囲で何らかの騒音防止措置が必要となるでしょう。
具体的には防音壁の設置・特に大きな音を発する場合の事前周知・時間帯別による規制基準等です。

子どもの声がうるさいからと言って、どちらかが移転するのは非現実的です。
健全育成に重点を置いた上で、何らかの対策を行うのが現実的ではないでしょうか。