いろいろと考えさせられる問題です。
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(12/22追記)
原告たる近隣住民の上告が最高裁で退けられました。
保育園「騒音」賠償請求、近隣住民の敗訴確定
神戸市東灘区の保育園近くに住む男性が、園児の声で生活に支障を来しているとして、園を運営する岡山県津山市の社会福祉法人「鶯園」に100万円の損害賠償などを求めた訴訟は、男性の敗訴が確定した。最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)が19日付で、男性の上告を退ける決定をした。
男性宅と園の距離は約10メートル。男性は園ができる前から住み、ほぼ一日中自宅で過ごしていた。今年2月の1審神戸地裁判決は、男性宅に届く音の大きさは環境省が定める騒音の基準値以下だったなどとして請求を棄却。二審大阪高裁も支持した。
http://www.sankei.com/west/news/171221/wst1712210072-n1.html
園児が遊ぶ声「うるさい」 訴えた男性、敗訴確定
「園庭で遊んでいる園児の声がうるさい」として、神戸市の男性が近隣の保育園を相手取り、慰謝料100万円と防音設備の設置を求めた訴訟の上告審で、男性の敗訴が確定した。最高裁第三小法廷(木内道祥裁判長)が19日付の決定で、男性の上告を退けた。
一、二審判決によると、保育園(定員約120人)は2006年4月、神戸市東灘区の住宅街に開園。高さ約3メートルの防音壁が設けられたが、約10メートル離れた場所で暮らす男性は「園児の声や太鼓、スピーカーの音などの騒音で、平穏な生活が送れなくなった」と提訴した。
今年2月の一審・神戸地裁判決は、園周辺の騒音を測定した結果、園児が園庭で遊んでいる時間帯は国の環境基準を上回ったが、昼間の平均では下回ったとして、「耐えられる限度を超えた騒音とは認められない」と結論づけた。
7月の二審・大阪高裁判決は、園児が遊ぶ声は「一般に不規則かつ大幅に変動し、衝撃性が高いうえに高音だが、不愉快と感じる人もいれば、健全な発育を感じてほほえましいと言う人もいる」と指摘。公共性の高い施設の騒音は、反社会性が低いと判断し、一審判決を支持した。
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(2/9追記)
神戸地裁で請求が棄却されました。
【神戸保育園騒音訴訟】受忍限度内として近隣住民の請求棄却
(12/22追記)
地裁判決を松田綜合法律事務所が詳しく解説しています。
保育園の騒音をめぐる裁判
「保育園からの騒音が違法な権利侵害にあたるかどうかを判断するにあたって、保育園の公益性・公共性を一切考慮されなかった」「近隣住民への対応が不十分であった場合には、保育園からの園児による声が一般社会生活上の受忍限度を超える違法な騒音であるとして、慰謝料請求が認められてしまう おそれ」
https://jmatsuda-law.com/info/dl/news/2017_4_1.pdf
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騒音:「保育園の声うるさい」近所の男性が提訴 神戸
毎日新聞 2014年09月05日 20時45分(最終更新 09月05日 22時17分)神戸市東灘区の保育園を巡り、近くに住む70代男性が「子供の声がうるさい」として、運営する岡山県津山市の社会福祉法人を相手取り、防音設備設置や慰謝料100万円の支払いを求める訴えを神戸地裁に起こした。5日に初弁論があり、保育園側は請求棄却を求めた。
保育園は神戸市が認可し、2006年に開園。訴状によると、男性は保育園の北約10メートルに居住。「子供らの声や太鼓の音などは騒音で、神戸市が工場などを対象に定めた規制基準が保育園にも適用されるべきだ」と主張する。
更に、この地域の基準60デシベルを超える70デシベル以上の騒音が発生し、家族の会話やテレビ、ラジオを聴くのに支障が出ると訴えている。05年7月に開かれた近隣住民への説明会以降、男性は騒音対策を求めてきたが取られていないという。
保育園側は毎日新聞の取材に「窓やカーテンを極力閉めるなどの配慮をしている。高い防音壁で囲むのは子供や近隣の方にとって健全な姿とは思えない」と反論している。
保育園を巡っては近年、子供らの声が騒音だとして問題になるケースが出ている。前田正子・甲南大教授(社会保障論)は「少子化で子供の声を聞く機会が減って、余計にうるさく感じてしまう傾向がある。全ての住民に100%良い環境などあり得ない。お互い譲れるところは譲り、気遣いや思いやりを持つ努力が必要ではないか」と指摘している。
http://mainichi.jp/select/news/20140906k0000m040059000c.html
保育園児の声は騒音? 近隣住民の1人が提訴 神戸
2014年9月6日00時10分「子どもたちの声がうるさい」。神戸市東灘区の保育園をめぐり、近隣住民の1人が、防音設備の設置や慰謝料100万円の支払いを求める異例の裁判を神戸地裁に起こした。静かな暮らしを望む住民側と折り合えず、保育園建設が難航するケースも各地で相次ぎ、共存が大きな社会問題になっている。
5日にあった第1回口頭弁論で、園側は請求棄却を求めた。一方で原告の70代男性は、保育園の開園前からの住民で、「自由に窓を開けられる以前の生活環境を取り戻したい。親には心地よい声も毎日聞かされる他人には苦痛です」と意見を述べた。
問題となった保育園は、神戸市が認可し、岡山県の社会福祉法人が建設会社の倉庫跡地に2006年に開園した。鉄筋コンクリート2階建てで、園庭がある。近くに阪神高速神戸線が通り、住宅や工場が立ち並ぶ一角にある。園児は現在144人。
(以下省略)
http://www.asahi.com/articles/ASG936T45G93PIHB02Q.html
争点となっている保育所はロングステージCOCORO保育園です。
神戸市東灘区魚崎西町2丁目にあります。
敷地面積が約1600平方メートルあり、大阪市内の一般的な保育所と比較すると余裕のある敷地規模でしょう。
被告となっているのは社会福祉法人鴬園です。
岡山県津山市瓜生原(合併前の津山市南東部?)に本部があります。
岡山・神戸で約20箇所ほどの福祉施設を運営しています。
神戸で施設を経営しているのは、岡山出身・兵庫(神戸)在住の高齢者が少なくないからでしょうか。
周辺の位置関係は上記地図の通りです。
報道によると原告は保育所の北約10メートルに居住しているそうです。
地図を見る限りでは保育所敷地の北側に境界壁らしき物が確認出来ます。
境界壁は上記写真の右部分の白い壁の様な物でしょう。
高さは約2メートルでしょうか。
防音作用の効果の有無は不明です。
仮に防音作用があったとしても、壁からやや離れた部分の園庭や園舎2階から発せられる騒音は防げないでしょう。
声はともかく、楽器類を使用する時間帯は考慮すべきでしょう(既に対応済みかと思いますが)。
住宅街と保育所の騒音問題は切っても切り離せない問題です。
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(9/9追記)
原告の代理人弁護士が、訴訟に関連する記事をブログに記載しています。
あえて保育園を擁護しない
保育園児の声は騒音? 近隣住民の1人が提訴 神戸
騒音裁判の請求の趣旨
田舎者が都市部に出てき過ぎなんだよ。地方では保育所や幼稚園の定員割れが進んでいる。保育所がないからと大騒ぎする日本はおかしい。そういう連中に限って大した税金納めていないし、将来国の稼ぎ頭ような賢い子供を産んでいない。どうしても都会で働きたいならベビーシッター雇え。
異議無し!
外からの騒音の解決方法
リクシル・インプラスという、DIY可能な二重窓の設置。
裁判よりも早くて安くて確実です。
その他、旭ファイバーグラスのグラスウールを窓の大きさに合わせて切ってはめ込む、というのも、効きました。
昔から、保育園や学校に怒鳴り込む、子供の騒音よりもうるさいおっさんは、いた。
そういうおっさんは、地元で変わり者扱いをされていました。
こどもが多かったから、みな、子供の音には慣れっこだった。
長屋みたいな密集地、団地のような子供がぎゅうづめになっているところで、皆平気。
そして、裁判沙汰にまでする弁護士は、いなかった。
昔からいろんな人はいたのでしょうが、
「二重窓を設置した方が安いし、早いし、確実。」
昔の弁護士は、紛争全体と常識と日本の将来を考え、そうアドバイスしたものです。
原告と訴訟代理人には、子供時代なんか無く、元気に外で遊んで騒音を出したこともないのかもしれませんね。
だから、お互い様など、全く関係ないのでしょうね。
原告と訴訟代理人は、少子化を促進した咎で、年金を返上するのでしょうね。
(自分たちは騒音出し放題で年金もらいたい放題の、やりたい放題の人生なんて、ありえませんから)
保育園だけではなく、原告達も、自由は責任を伴いますね。
それとも、窓を開けて暮らしたい(つまり、二重窓を設置すら不要で、今の窓を閉めれば静か)、という一人の高齢者の希望のために、園が無くなり、多くの出産や育児が断念させられなければならないのでしょうか。
コメントありがとうございます。
リクシル・インプラスはこちらの商品ですね。
http://www.lixil.co.jp/lineup/window/inplus/feature/feature04.htm
音量が半分以下になるそうです。
住居の防音性能が低くて子供の数が圧倒的に多かった昔の方が、現在よりも子供の声による騒音は遙かに大きかったと思います。
また、住宅街だからと言ってその環境が永続する事はありえず、幹線道路の開通・マンション建設等によって環境は刻々と変化していきます。
ただ、だからと言って住宅街に建てられた保育所から聞こえてくる子供の声が煩くても一方的に我慢するのは時代にそぐわないでしょう。
川崎市であった同種事例(子供向けの屋外遊戯施設)の場合、月1回の利用休止・利用時間の短縮・二重窓設置費用の半額助成(80万円)等を内容とする訴訟上の和解が成立したそうです。
本件の場合、保育所等と話し合い・調停等を行ったものの折り合いがつかず、また騒音を避ける為に日中でも窓を閉めて生活する事がストレスになる等として訴訟に至ったそうです。
近隣住民の受忍限度と保育所の防音努力義務、簡単に解決できる問題ではなさそうです。
今後の同種の訴訟が各地で頻発すると思います。