大阪市廃止・特別区設置(いわゆる大阪都構想)住民投票は、11月1日が投票日です。
https://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu240/jumin/index.html
先週末に共同通信社と各社が合同で世論調査を実施しました。
前回調査より反対派が増加し、賛否が非常に拮抗する結果となりました。
見ていきます。
賛成43.3%、反対43.6%
大阪都構想、賛否拮抗 世論調査賛成43.3%、反対43.6%
大阪市を廃止し、4特別区を新設する「大阪都構想」の住民投票を11月1日に控え、共同通信社は23~25日、市の有権者対象の電話世論調査を実施した。都構想への賛成は43・3%、反対が43・6%で拮抗(きっこう)した。9月4~6日の前回調査では賛成が49・2%で、反対39・6%に対し10ポイント近く優位だったが、投票まで1週間となり、市民の意見を二分している実態が浮かんだ。
都構想に関する大阪府と市の説明に関し、前回とほぼ同じ70・0%が「十分ではない」と回答。都構想の内容を「理解している」「ある程度理解している」は計64・3%だった。府市は9月下旬から住民説明会を開いたが、理解が進んだとは言い難い結果だ。新型コロナウイルス感染が現在の状況であれば住民投票を実施すべきだと答えたのは55・2%で、前回よりも7ポイント増えた。
前回調査では賛成派が10ポイントほど上回っていましたが、今回調査では拮抗しながら反対派が若干上回りました。
前回調査と比べると、「二重行政が解消されるから」という賛成理由が大きく減少しています。
一方で「住民サービスが良くならない」「大阪市が無くなるから」という反対理由が増加しています。
そして最も大きな反対理由は「メリットがよく分からない」とするものです。各党の主張が入り乱れ、話が分からなくなってきたのではないでしょうか。
これらに主張は賛成派と反対派の双方が強く主張している物です。共同通信の結果を見る限り、反対派の主張が強く浸透し始めたと感じます。
若年女性と60代以上に「反対」顕著
産経新聞には年代別・性別の賛否が掲載されています。年齢や性別で違いがハッキリ現れています。
産経新聞社が9~10月に大阪市内の有権者を対象に共同通信社など4社と合同で2回実施した大阪都構想の情勢調査で、男性は賛成の方が多かった一方、前回は賛成多数だった女性は反対多数に転じた。18、19歳と20代に加え、60代以上の過半数が反対だった。理由を見ると、女性の若年層には制度改革のメリットが伝わっておらず、70歳以上の場合は大阪市を廃止することへの抵抗感が強いようだ。
今回の調査で、都構想への賛否を性別でみると、男性は賛成53・3%、反対38・6%だったが、女性は反対が48・1%(前回比8・2ポイント増)で、賛成の34・1%(同11・2ポイント減)を上回った。
年代別では、男性は「18、19歳と20代」と30~40代で賛成が5割を超え、特に30代は75・7%に達した。女性は30代を除く全ての年代で、反対が賛成を上回った。60代と70歳以上は、反対がそれぞれ57%に上った。
反対理由のうち、「メリットが分からないから」は女性の「18、19歳と20代」(57・1%)と30代(45・4%)、40代(34・5%)でトップ。「大阪市がなくなるから」は、女性の50代と70歳以上で3割を超えたほか、男性の70歳以上でも25・9%に上り、最多だった。慣れ親しんだ大阪市への愛着があるとみられる。
一方、反対派が主張する「住民サービスが良くならないから」は、男性40代と男女の60代を除く各年代で10%台にとどまり、限定的だった。
大阪市から移行する4つの特別区別でみると、淀川区(淀川、東淀川、西淀川、港、此花区)と天王寺区(天王寺、生野、阿倍野、東住吉、平野区)で反対多数に。反対が50・0%の淀川区は、賛成が前回の60・7%から35・9%に大幅に減少した。前回調査では、中央区以外の3特別区で賛成多数だった。
賛成理由のうち、推進派の大阪維新の会が訴えている「特別区になることで、住民サービスが充実するから」は中央区(中央、西、大正、浪速、住吉、住之江、西成区)で12・2%に上ったものの、ほかの3特別区では2~6%台にとどまり、浸透していない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ef84876a0ea2e2f3a40885712d5204965c02faf0
最も賛成率が高いのは30代男性の75.7%ですね。次いで40代男性の66.0%です。各社で中核となって働いている世代ですね。
賛成派の「大阪の経済成長に繋がる」という主張が響いているのでしょう。経済成長が自分の収入や社内でのポジションに直結します。
最も反対率が高いのは60代女性の57.5%、そして70歳代以上女性の57.3%でした。子育てが終わり、地域社会や自宅で過ごす時間が長い世代です。
慣れ親しんだ大阪市が無くなる事への忌避反応に加え、地域活動(特に区を跨ぐもの)への悪影響を危惧しているのでしょう。
新淀川区と新天王寺区で反対が多いのは肌感覚で理解できます。
梅田が含まれる新北区や淀屋橋・本町・心斎橋・なんばが含まれる新中央区と比べると、経済規模や商業集積が劣ると感じる方が多いのでしょう。
工業出荷額等を見ると違った数字となりますが、生活者視点では「大ターミナル・ビジネス街・繁華街が新区内になく、税収が不安だ」という感覚が前面に出てしまいそうです。
また、新淀川区は区割りにも不満が強そうですね。
新区役所が設置される現淀川区役所は、此花区や港区からは非常に行きづらい場所となります。梅田を経由して淀川を越える必要があり、心理的な遠さは相当な物があります。
公明・自民支持層や無党派層で賛否が割れる
毎日新聞には支持政党別の賛否が掲載されています。
「大阪都構想」について毎日新聞が23~25日に実施した世論調査は、9月の前回調査に比べて反対の比率が急増し、僅かながら賛成を上回った。住民投票の投開票日を1週間後に控え、大阪市を廃止し特別区に再編する制度の賛否が市民の間で真っ二つに割れていることが浮き彫りになり、最終盤までもつれそうだ。
支持政党別では、維新支持層の85・5%が賛成。自民支持層は50・2%が反対、42・9%が賛成で、前回調査同様、反対が賛成を上回ったが、差は4・1ポイントから7・3ポイントへと開いた。2019年4月の統一地方選を機に反対から賛成に転じた公明の支持層は52・7%が反対し、賛成は19・5%にとどまった。一方「分からない・無回答」としたのは27・8%と主要政党では突出して多く、支持者の「迷い」が読み取れる。前回調査では公明支持層は57・4%が反対し、賛成は26・0%だった。共産支持層は9割以上、立憲民主支持層は8割以上が反対。全体の3分の1を占める無党派層は47・5%が反対で、賛成の32・7%を上回った。
また、都構想実現へ維新の先頭に立つ松井一郎市長、吉村洋文大阪府知事の支持者のうち、それぞれ7割近くと6割が賛成だった。15年の前回住民投票での賛否別では、前回賛成した人の8割近くが賛成、反対した人の8割近くが反対とした。
維新支持層は圧倒的に賛成派が多数、自民支持層は真っ二つ、公明支持層は半数反対で態度未定も多い、共産・立憲支持層は反対派が圧倒的多数、無党派層はやや反対派が多いという内容です。
賛否を決めかねている公明党支持層の動きが結果を大きく左右しそうです。今週末も公明党の有力者が来阪しそうですね。
自民支持層にも迷いが見えます。自民党本部は暗黙の内に賛成、大阪府連は真っ二つ、大阪市議団は反対一色というのが目下の情勢だそうです。
自民党内部でも意見が分かれているので、支持層の意見が分かれるのも自然です。態度保留も少なくなく、投票の行方に大きな影響を与えそうです。
住民投票の結果は全く分かりません。前回同様、僅差の結果となるのではないでしょうか。
結果が気になり、寝られない夜になりそうです。