家族連れが乗っていたボート(左)と衝突したボート(右)、NHKより

台風10号が過ぎ去り、今週後半からは少しずつ秋の気配が漂ってきそうです。最高気温が35度を超える日も経る見通しです。

今年の夏で目立ったのは「水難事故」です。特に川や湖での事故が多発しました。

夏が終わって秋へ移ろおうかという9月上旬、福島県の猪苗代湖で子連れの家族が水難事故に巻き込まれてしまいました。

船に巻き込まれ遊泳中の8歳死亡 猪苗代湖で事故、2人が重傷

6日午前11時ごろ、会津若松市の猪苗代湖の中田浜で、近くのロッジの従業員から「遊泳している人がボートに巻き込まれた」と110番通報があった。遊泳中だった4人が航行中のクルーザーに巻き込まれ、このうち、千葉県野田市の小学生、男子児童(8)が死亡した。

会津若松署によると死亡した男子児童の母(35)、栃木県栃木市の小学生、男子児童(8)が脚に大けが、死亡した男子児童の兄(10)が打撲など軽いけがを負った。4人は浜から東に約300メートルの沖合で泳いでいたところ、クルーザーに巻き込まれたとみられる。

クルーザーは全長約12メートルで定員12人。当時は、運転していた男性ら計10人が乗っていたという。クルーザーの乗員にけが人はいなかった。同署は運転していた男性らから話を聞いており、現場の状況などから、業務上過失致死傷の疑いも視野に捜査している。

同署によると、死亡した男子児童ら4人は二つの家族。死亡した男子児童の父親が運転するボートで浜を出た後、ライフジャケットを着用し、遊泳していた。一方、クルーザーは、ボートなどが停泊している中田浜のロッジから、現場へ遊覧に向かったとみられる。新型コロナウイルス感染症の影響で、今夏の中田浜の湖水浴は中止となっていた。同署が詳しい状況を調べている。

https://www.minyu-net.com/news/news/FM20200907-533983.php

事故現場の遠景です。中央下、半島状の岬?の右手側が事故現場だそうです。


https://mainichi.jp/graphs/20200906/hpj/00m/040/001000g/7

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(9/8追記)
福島民友新聞に事故現場が掲載されています。


https://www.minyu-net.com/news/news/FM20200908-534322.php

マリーナや桟橋に近い地域ですね。

ここで子供達とバナナボートを降ろし、父親はジェットスキーを取りに戻ったそうです。

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余りに凄惨な事故でした。亡くなった男の子は病院へ搬送される事なく死亡が確認されたそうです。

「近づかないで」…湖畔は物々しい雰囲気 猪苗代湖で水難事故

「大変なことになった」「人が沈んでいる。近づかないで」―。会津若松市の猪苗代湖で6日午前に起き、千葉県野田市の男児(8)が死亡するなど4人が死傷した水難事故。レジャー客でにぎわう湖畔は助けを求めたり、注意を呼び掛けたりする声が入り交じり、物々しい雰囲気となった。

現場近くのロッジの従業員によると、死亡した男児の家族とみられる男性がロッジに駆け込み、助けを求めた。救助された人は毛布にくるまれ、救急車が到着するまで桟橋で横になっていたという。

救助活動を見守っていた会津若松市の50代男性は「気が動転していたのか、男性は桟橋で立ち尽くしていた。遊びに来て、こんな悲惨なことになるなんて」と表情を曇らせた。

事故が起きた猪苗代湖の中田浜は、毎年夏になるとモーターボートや水上バイク、湖水浴、キャンプなどを楽しむ多くの人が訪れる人気スポット。人の出入りが多いことから、以前から水難事故などの発生を危惧していた地元住民らの声も聞かれた。

10年以上前から猪苗代湖でボートを楽しんでいるという会津若松市の50代男性は「遊びに夢中になって注意を怠ってしまうのか、基本的なルールを守らない人も多い。(ボート同士が)衝突しそうになったことが何度もある」と振り返った。近くに住む40代男性は「泳いでいる人がたくさんいる。注意を呼び掛けてほしい」と話した。

近くに住む70代女性は、水上バイクをつないだ車が自宅近くの狭い道路をスピードを出して走るため、怖い思いをしたことがあるという。「離れて暮らす孫を猪苗代湖で遊ばせたいが、呼びにくい」と顔をしかめた。

死傷した4人は遊泳中、クルーザーに巻き込まれたとみられる。会津若松署はクルーザーの乗員に事情を聴くなどして原因を調べており、業務上過失致死傷の疑いも視野に捜査している。

https://www.minyu-net.com/news/news/FM20200907-533996.php

このニュースを始めて聞いた時、先月に静岡県の由比ヶ浜でクルーザーが沿岸近くを走行した事案を思い出しました。

「台風が近づいている6日(日曜)だったので、少し警戒心が足らなかったのだろうか。由比ヶ浜の事案と同じ様にクルーザーが湖岸近くを航行したのだろうか。」と感じました。

しかし、実態はどうも違った様子です。

事故現場は浜から300メートルほど離れた「船舶航行区域」付近

事故現場は浜から300メートルほどの区域だったそうです。

警察によりますと、湖水浴場やマリーナなどがある中田浜付近から300メートルほどのところで、2つの家族がライフジャケットを着けて泳いでいたところ、通りかかったボートに巻き込まれたということです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200906/k10012604221000.html

中田浜付近で遊泳者が利用出来るのは、マリーナの反対側にある湖岸の限られた地域でした。浜から300メートルほどの所は、遊泳者が利用出来ないエリアでした。

http://www.tochigimarine.com/pdf/inawashiro2010.pdf

浜から300メートル以遠の地域は、クルーザー等が航行できる「船舶航行区域」とされています。事故が起きたのは、この区域付近だったそうです。

事故があったのは船舶航行区域付近で、被害者家族は父親が運転するボートで沖合200~300メートルまで移動し遊泳していたということです。

https://www.tuf.co.jp/newsdata/NS_play.php?NewsData=assets/article/202009071535.php&path=photo/202009071535.jpg&mode=2

船舶航行区域の内か外かはハッキリしていません。区域外ならボートに徐行義務があるそうです。

事故が起きたのは、船舶航行区域の中か外かは、はっきりしていないが、会津若松署の副署長は、「もし船舶航行区域外だった場合は、ボートは徐行しないといけません。ボートの速度については、まだ特定できていませんが、この点は、捜査のポイントになると思います」と話した。飲酒・無免許運転ではなかったとしている。

https://www.j-cast.com/2020/09/07393725.html?p=2

ここで泳いでいた事に驚いた人もいました。

 「どうしてあそこで泳いでいたのか」。事故を起こしたボートを操船していた男性の知人(39)は驚いた様子で話した。会津若松署によると、モーターボートには10人が乗っており、沖合200~300メートルほどのところで、男児やその母親らとぶつかったという。

https://digital.asahi.com/articles/ASN964RHNN96UGTB002.html

今年は湖水浴場の開設が中止されていました。遊泳禁止とまでは記載されていませんが、遊泳者は例年より非常に少なかったでしょう。

※新型コロナウィルスの感染拡大防止及び来訪される皆様の安全に配慮し、令和2年度の湖水浴場の開設を中止いたします。

https://www.aizukanko.com/event/166

父親が操縦するボートで沖へ

一家は父親が操縦するボートで現場付近まで辿り着いた後、下船したそうです。

下船後、父親のボートは現場を離れていたそうです。沖合に子供達だけを残して移動するものなのでしょうか(信じられない)。

猪苗代湖で4人が死傷した遊泳中の事故で、4人が沖合に到着して間もなく事故に巻き込まれていたことがわかった。

6日、猪苗代湖の沖合で遊泳していた4人がクルーザーに巻き込まれ、千葉県野田市の8歳の男の子が死亡、母親ら3人が重軽傷を負った。

警察によると4人は、男の子の父親が操縦するボートで浜辺から2〜300メートル離れた沖に到着後、間もなく別の男性が操縦するクルーザーに巻き込まれていたことがわかった。

父親のボートは、事故現場から離れていたという。

警察は、業務上過失致死傷の疑いでクルーザーの運転手らから話を聞いていて、午後には運輸安全委員会の調査官らが現場を訪れ事故の詳しい原因を調べる予定。

http://www.fct.co.jp/sphone/news/news_307913156.html

湖といえども、猪苗代湖は日本で4番目の広さです。平均水深51.5メートル、最大水深94.6メートルです。

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(9/8追記)
下船したのは遊泳目的ではなく、ジェットスキーで遊ぶ為だったそうです。

「被害者の家族は、ジェットスキーをしようとしていて、ボートに引っ張って行ってもらうため、沖にプカプカ浮いていたと聞いています。どのくらい沖かは、幅を持たせて、中田浜から東に200~300メートルと発表しました」

https://www.j-cast.com/2020/09/07393725.html?p=2

2家族で訪れていた千葉・野田市の小学生・豊田瑛大君(8)たち4人は、父親のボートで猪苗代湖・中田浜から300mの場所へ。
ボートなどに引っ張ってもらいながら水面を滑走する「トーイングスポーツ」を楽しんでいた。
このため、毎年夏に設置される遊泳エリアではなく、ボートが航行できる船舶航行区域の付近にいたと見られている。

https://www.fukushima-tv.co.jp/localnews/index.php?mode=detail&news_id=2020090700000008

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ここに大型ボートがスピードを出して横切っていきました。

大型ボートのスクリューに巻き込まれ・・・・

亡くなった児童の兄が新聞取材に答えています(このタイミングで子供へ取材するのも果たして適当でしょうか?)。

 県警会津若松署の発表などによると、事故当時、瑛大君らは2家族で、猪苗代湖西岸から200~300メートルほどの沖合で、ライフジャケットを着用して泳いでいた。瑛大君らは、近くを通り過ぎたモーターボートと接触し、スクリューに巻き込まれた可能性が高いという。死亡した瑛大君の兄は、読売新聞の取材に「ボートは結構スピードが出ていた。僕はちょっと離れていたから大丈夫だったけど、ボートが通り過ぎたら弟がいなくなっていた」と声を震わせた。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20200906-OYT1T50150/

ボートのスクリューは非常に恐ろしい物です。似た大きさのボートのスクリューは毎分5,000回転ほど回っているそうです。

https://boat-time.com/

死亡児童とその母、一緒に遊びに来ていた友人児童の3人が巻き込まれました。命を失ったり、重大な後遺症が残ってしまいます。

事故から4時間が経っても、現場付近では救助隊員等が何かを捜索しています。「何か」は余りに残酷で、ここには書けません。


猪苗代湖の中田浜周辺を捜索する救助隊員ら=福島県会津若松市で2020年9月6日午後3時10分

事故から一夜明け行われた現場検証。警察が水中ドローンを投入し見つかっていない瑛大くんの体の一部などを捜索した。

https://www.fukushima-tv.co.jp/localnews/index.php?mode=detail&news_id=2020090700000006

遊泳区域の確認、ライフジャケットの着用を

本事故で痛感したのは「遊泳区域を守る」事です。水遊びを行うのは許された区域のみとし、それ以外の区域には決して水遊びをしない事でしょう。湖でも川でも海でも同じです。

特にボートが通過する可能性がある区域で遊泳するのは極めて危険でしょう。スクリューに巻き込まれたら重篤な結果が生じてしまいます。

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(9/8追記)
本事件では遊泳目的では無く、ジェットスキーで遊ぶ為に沖で待機していたタイミングで事故が起こりました。

船舶航行区域外であったとしてもマリーナに近く、ボートが頻繁に行き来する区域でしょう。ここで待機するのは非常に危険だと感じました。
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また、ライフジャケットの着用も必須です。本件ではライフジャケットを着用していたそうですが、高速で航行するボートからは視認しづらかったと指摘されています。

ライフジャケットの重要性は岐阜県ウェブサイトが連呼しています。

Q4.泳がなければ、少しくらいなら川の中に入っても大丈夫ですか?

A4.
川を甘く見ると重大な事故につながります。
足が滑って流されるかもしれませんし、深みにはまるかもしれません。こうしたとき、ライフジャケットを着用していないと、重大な事故に直結します。

ほんの少しでも水の中に入るときは、最低限のリスク対策として、ライフジャケットを必ず着用してください。
https://www.pref.gifu.lg.jp/shakai-kiban/kasen/kasen/11652/suinanqa.html

水場での安全確保は執拗なほどに必要でしょう。こうした事故が本当に怖いので、水場には近寄らない様にしています。