大阪市の児童相談所であってはならない事件が発生しました。
職員が施錠しなかった扉を児童2人が通過し、他の児童に加害行為を行っていました。職員も児童も言語道断です。
ことし6月、大阪市の児童相談所で施設内の通用扉の施錠を怠るミスがあり、児童2人が無施錠の扉を通過し、別の児童に加害行為を行っていたことがわかりました。
市は、施設内の安全を確保できなかったとして謝罪しました。これは25日、大阪市が会見を開いて明らかにしました。
それによりますと、ことし6月20日の午前1時ころ、大阪・平野区にある児童相談所「南部こども相談センター」で、入所する児童2人が夜間の立ち入りが禁止されているエリアにいるところを職員が見つけました。
2人の児童は、施設内の通用扉を通ってこのエリアに入っていて、その後の調査で、通用扉の鍵がかけられていなかったことがわかったということです。施設の規則では、夜間の施錠を定めていましたが、現場には十分に周知されず、徹底されていなかったということです。
また、2人の児童は、立ち入ったエリアで別の児童1人に加害行為を行っていたとみられるということです。児童にけがはなかったものの、保護者側が警察に被害届を出したということです。
大阪市は関係する児童の年齢や性別、それに被害の内容など詳しい情報について明らかにできないとしています。大阪市は、「施設の安全が確保できず、深く反省しおわび申し上げます。施錠を徹底し再発防止に努めたい」と謝罪しました。
大阪市ウェブサイトにも掲載されています。
1 概要・経過
令和2年6月20日(土曜日)午前1時頃、南部こども相談センター一時保護所内で夜間立ち入ることのできないエリアに入っていた児童2人を一時保護所の夜間勤務職員が発見し、通用扉が施錠されていなかったことが判明しました。
入所児童や職員への聴き取り等の調査を行い、被害を受けたと思われる児童(以下「当該児童」という。)がいることを把握したにも関わらず、当該児童への聴き取りや対応をしておらず、当該児童や保護者への連絡及び説明をしないまま1か月経過しました。それにより警察・医療機関等への連絡・相談の要否についての判断ができませんでした。
7月17日(金曜日)から8月22日(土曜日)までに当該児童及び保護者への説明・謝罪を行い、他の入所児童・保護者についても順次説明を行いました。
2 原因
一時保護所では、夜間も含め24時間職員が勤務し、一時保護所マニュアルや実務手順書に従って入所児童の支援にあたっています。一時保護所マニュアルには「施錠状況等の確認を怠らない」という記載がありますが、実務手順書には具体的な施錠管理方法等について記載がなく、通用扉の夜間施錠のルールが徹底されていなかったことが原因です。
また、事案発生後の対応については、一時保護所内で問題が発生した場合、本来速やかに保護者に連絡すべきところ行っていなかったことが原因です。
これらは、実務手順書等に明記するなど職員に周知徹底できていなかったことに加え、職員の危機管理意識が不十分だったことによるものと考えます。
3 再発防止策
入所児童の安全・安心を守るべき一時保護所において、施錠管理が不徹底であるということはあってはならないことであり、その後の適切な対応ができていなかったことを含め、このような事態を発生させたことを重く受け止め、次のとおり再発防止に取り組んでまいります。
通用扉を常時施錠し、夜間については1時間に2回施錠確認のうえ、チェック表に記載します(今後は未施錠を確実に防止するため、扉をオートロック形式に変更する手続きを行っています)。
実務手順書に具体的な施錠管理について明記するとともに、全職員へ再発防止と実務手順の周知徹底を行っていきます。
一時保護所危機管理マニュアルを改定し、入所児童や保護者への速やかな説明も含め問題発生時の対応について明確にするとともに、研修や日頃の実務指導を通じて管理職を含め職員一人ひとりの危機管理意識の向上を図ります。https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kodomo/0000511272.html
大阪市南部こども相談センターは平野区にあります。阿倍野区、住吉区、東住吉区、平野区を管轄しています。
この時期に事案が公表された理由は不明です。ただ、明日(8月27日)は大阪市会こども教育委員会が開催されます。これに先立って公表した、という見方もできます。
本件は職員の施錠ミスに加え、それに気づいた児童が扉を通過し、他の児童に加害を加えました。
加害児童の居室→廊下?→通用扉(夜間立入禁止部分)?→他の児童の居室で加害行為、という流れなのでしょうか。
深夜でも自分の居室から出られ、他の児童の居室にも入室できたのに驚かされました。NHKニュースや大阪市のリリースも、居室からの出入りは問題視していません(施錠ミスを強く問題視しているだけかもしれませんが)。
どうやって加害児童は扉の無施錠に気づいたのでしょうか。夜間に施設内を徘徊していたところ、普段は閉まっている扉が開いているのに気づいたのでしょうか。
まさか居室内外の出入りは深夜でも可能なのでしょうか。であれば、深夜に出歩いて、他の児童と合流する事も出来てしまいますね。
被害児童は保護者が警察へ被害届を提出しました。被害届を提出せざるをえない程の加害行為が行われたのでしょうか。であれば、大阪市の責任は尚更重大です。
平成28年設置、でも建物は昭和58年築
保安上の観点からか、同施設の内部構成は明らかにされていません。ただ、併設されている大阪市立心身障がい者リハビリテーションセンターの内部図面は公表されています。
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/cmsfiles/contents/0000443/443823/15.pdf
同相談センターは平成28年に設置されました。新しい建物かと思いきや、実は昭和58年に建築された建物を転用していました。築37年です。
大阪市会にて海老沢由紀委員(維新)が「早期の整備」を要望していました。
整備については、平成28年10月に開設した南部こども相談センターについては今回の予算案には掲げられていませんが、もとの建物は、昭和58年に建築された建物で、今後の増員計画や一時保護所の環境改善にどう対応していくのか、今後早期に整備手法を検討し、具体化していくよう要望しておきます。
別用途に立てられた古い建物を転用したので、児童相談所にそぐわない部分もあったのでしょうか。施錠管理が行いやすい構造になっていなかったのかもしれません。
また、人間の行為が介在するとミスの発生は避けられないので、オートロック化も急務でしょう。
多忙な児童相談所は人出が全く足りないと聞きます。児童虐待に関する相談事案が増え、休む間もないと聞きます。
となると、どうしても夜間の人員配置が薄くなり、施錠管理等のルーチンワークが疎かになってしまいがちです。
児童相談所の安全管理は、行政が担うべき最も基本的な業務の一つです。それができていないのは非常に大きな問題でしょう。
このニュースを聞いた際、以前に「維新は行政が苦手ではないか」という指摘を思い出しました。
維新のことを行政が苦手ではないかと以前指摘したが、これなど維新らしいニュース。実体に向き合わず、イメージ、あるいは表象だけを抜き取って「救済」しようとする。秋に閉店の「づぼらや」フグ看板、大阪市長「オブジェとして残すことも」 : ニュース : 読売新聞 https://t.co/y38GPLlOwK
— 住友陽文 (@akisumitomo) June 23, 2020