埼玉県さいたま市の市立学校にて医療従事者への感謝を示す「拍手」が行われ、約10万人の児童生徒等が参加しました。

(令和2年6月11日記者発表)
さいたま市から医療従事者に対する謝意の表明 Clap for Carers ~10万人の子どもたちから「ありがとう」の拍手を届けます~

 さいたま市教育委員会では、学校が通常登校の再開の機会をとらえ、これまで多くの人々の命を支えてきてくださった医療従事者の方々に感謝の気持ちを込めて、10万人の子どもたちから一斉に「ありがとう」の拍手を届ける取組を行います。

 実施校   全ての市立小・中・高等・中等教育・特別支援学校(168校)
 実施日時  令和2年6月15日(月)午前10時00分 
 実施方法  児童生徒が学校から、医療従事者の方々へ感謝の気持ちを込めて拍手を送ります。
 その他   市立学校のうち4校が、Zoomを活用したオンラインミーティングにより直接医療機関に拍手とメッセージを送ります(以下省略)

https://www.city.saitama.jp/006/014/008/003/009/003/p073573.html

拍手前日及び当日の様子等を朝日新聞が取り上げています。

 市教委は10日に今回の計画を各学校長に通知。「生活を支えてくれている人々への理解を深め尊敬や感謝の念をもつことができるようにする」ためのものと説明している。また取材に対し担当者は「拍手前後の指導を含め全体で一つの教育活動だ」と答えた。

 一方、「唐突で、なぜ拍手を送るのか子どもは理解していないかもしれない」と話すのは40代女性教員。「子どもたちからやりたいとなったわけではないし、周囲でも『感謝の気持ち』は指示されて生まれるものなのかという話が出ている」と言う。50代の男性校長も「ポーズっぽくて嫌だなという思いはある」と明かすが「深く考え出すと『私はやらない』という人も出てくる。良い風に解釈し実施したい」と語った。

 「拍手する時間をつくるのであれば、休校でずっと我慢をしてきた子どもたちの胸の内を丁寧に聴く時間に充ててほしい」と話すのは小学1年生の長女をもつ30代の母親だ。計画に賛同はしていないが「久々の通常登校日で授業時間中。やむなく参加させる」という。

https://digital.asahi.com/articles/ASN6F7GV6N6FUTNB001.html

 「医療従事者の方々は最前線で未知のウイルスに立ち向かっている。ありがとうの拍手を送ろう」。午前10時前、市内のある小学校高学年の教室に、教頭による校内放送が流れた。市立学校はこの日、1日から始まっていた分散登校が、一部を除いて通常登校に切り替わった。この教室では社会の授業を中断し、放送で「立って下さい」と促されると、約40人の児童がおよそ30秒間、手を胸の高さに上げて一斉に拍手した。校長は取材に「行動を通じ、医療従事者への差別が許されないことや感謝することを理解してもらえれば」と話した。

 別の4校では、テレビ会議システム「Zoom」を使い、市内の8医療機関と接続して直接謝意を伝え、市教委はその様子の動画を報道機関に提供した。その医療機関の一つ、さいたま赤十字病院(同市中央区)の安藤昭彦院長は「どこも大変な中、応援はありがたい。子どもたちによる『自分たちも頑張る』という決意表明だと感じた」と話した。

 コロナ禍の中、医療従事者らに拍手でエールを送る「クラップ・フォー・ケアラーズ」は国内外で広まっている。ただ、市教委の主導で子どもを参加させる方法について、「『感謝の気持ち』は指示されて生まれるものなのか」(40代女性教員)などと現場では疑問の声も出ていた。

https://digital.asahi.com/articles/ASN6H6HCBN6HUTNB012.html

この話を聞いて、真っ先に「気持ち悪い」と感じました。

コロナ禍で医療従事者が大変だったのは重々承知しています。

しかし、医療従事者への感謝の思いを、児童生徒に拍手を強制させる形で表現させるのに対し、強い違和感を覚えました。「過度の精神主義」です。

そもそも感謝の気持ちは誰かに強いられるものではありません。強いられる感謝は「言われたからやっただけ」「面従腹背」です。子供心にも「どうして拍手?」とい感じた児童生徒もいるでしょう。

学校で行うべきだったのは拍手の強制ではなく、児童生徒が自らの健康管理をしっかり行う意識を定着させる事ではないでしょうか。

通常授業が再開した学校では、続々と健康診断が行われているでしょう。お世話になっている学校でも行われています(朝に子供が話していました)。

コロナウイルスに関連するニュースや三密対策、または健康診断が行われている今は、子供が自身の健康管理を再認識するには良い機会でしょう。

子供が健康維持に努めると共に、体調を崩したら早めに休む事こそが、医療従事者へ感謝の気持ちを示す最も良い方法ではないでしょうか(医療従事者の方、いかがでしょうか?)。

少し心配しているのは、こうした行事が他の自治体へ広がる事です。特に大阪市で取り入れないかを危惧しています。