休校が長引き、精神的にも肉体的にも疲労が溜まってきています。日中は子供の相手や炊事・片付け等に追われ、考えを上手くまとめられる時間を作るのが難しくなっています。

そこで最近は子供が寝静まった深夜に横になって目を瞑りながら、考えを頭の中で整理して文章化(キーワードの抽出)しようとしています。

昨日、文科省は「1年5カ月分の児童が一斉入学」(一斉入学案)、「1年1カ月分の児童が入学(5年で調整)」(5年調整案) という2案を提示しました。

【コロナウイルス】「1年5カ月分の児童が一斉入学」「1年1カ月分の児童が入学(5年で調整)」 文科省が2案提示

各紙も取り上げています。

小学校の9月入学、2案提示 文科省「移行1年か5年」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59299790Z10C20A5EA2000/

文科省が提示した2案には致命的な欠点があります。「小学校へ飛び級的に入学する現年中児の取り扱い」です。

一斉入学案では現年長児+4月~8月生まれの現年中児が、5年調整案では現年長児+4月生まれの現年中児が来年9月に小学校へ入学します。

幼稚園や保育所等では、幼稚園教育要領や保育所保育指針等に従って様々な教育・保育を行っています。

幼稚園教育要領と保育所保育指針の関係
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/030/shiryo/06022009/005.htm

お世話になっている保育所では、年長児は年中児・年少児と共に過ごし、様々な機会(学芸会・ひらがな等の学習・宿泊活動等)を経て、1年掛けて小学校への入学を準備しています。

また、年中児や年少児もそれぞれの年齢や発達段階等に応じて過ごしています。

しかし、一斉入学案も5年調整案も、幼稚園や保育所等のこうした活動をぶち壊す危険があります。年中児が年長児的活動を経ないままで小学校へ入学しかねません。

問題がより顕著に現れるのは「小学校受験」でしょう(受験する方は少数派ですが)。

現行制度であれば、現年中児が小学校を受験するのは2021年秋頃でした。しかし、9月入学制が導入されると、前倒し入学する年中児が受験する時期は2021年春~夏になると予想されます。半年前倒しです。

しかも、現年長児と同時に受験します。小学校受験する現年長児は、既に受験準備を行っているでしょう。現年中児がいくら頑張っても、今から追いつけるのは容易ではありません。

また、幼稚園や保育所等の学級編成にも重大な影響を及ぼします。

小学校への入学時期が変更されるのに従って、幼稚園や保育所等の学級編成も変更するのでしょうか。

仮に幼稚園や保育所等でも小学校入学時における年度編成に統一した場合、昨日まで年少児クラスと年中児クラスに分かれていた児童が今日から年長児クラスに所属する事態が生じ兼ねません。

ただ、年度の区切りを変更するのであれば、子供がより幼い時期に変更するのが望ましいでしょう。子供が大きいと変化に対応するのが大変ですが、小さい内なら馴染みやすいです。

新生児から年度区切りを変更すべきでは?

この考え方を更に徹底すると、より望ましいのは「年度区切りの変更は、これから生まれる新生児から適用する」という考えに繋がります。

新しい年度編成は2021年4月以降に生まれる子供に適用されるとするものです。表にしてみました。

年度出生年月小学校入学
2021年度2021年4月~2022年4月生まれ2028年9月
2022年度2022年5月~2023年5月生まれ2029年9月
2023年度2023年6月~2023年6月生まれ2030年9月
2024年度2024年7月~2024年7月生まれ2031年9月
2025年度2025年8月~2026年8月生まれ2032年9月
2026年度2026年9月~2027年8月生まれ2033年9月

これならば年度区切りの変更が年中児等に影響せず、9月入学へ移行できます。

9月入学潰しが本音?それとも能力不足?

一時的に1.4倍となる児童生徒に見合う設備・教員等の準備や受験・就職競争等の激化(一斉入学案)、制度の複雑化(5年調整案)等、文科省案には様々な批判が寄せられています。

こうした問題に加え、先に記した「年中児の飛び級的入学」「幼稚園や保育所等の学級編成」というより大きな問題もあります。

文科省の内部で指摘されなかったとは考えにくいです。では、どうしてこの様な2案を出したのでしょうか。2つの推測が考えられます。

1つは「9月入学案潰し」です。致命的な欠点を指摘される事により、「早急な9月入学移行は無理です、4月入学を維持しましょう」という考え方です。

既に文科省は「4月入学(進級)」を前提として、学習内容の繰り越し・家庭学習分のみなし履修・夏休み短縮等を例示しています。

文科省、学習内容の一部繰り越し容認へ 最終学年以外で
https://digital.asahi.com/articles/ASN5H3QZ7N5HUTIL00C.html

新型コロナ》家庭学習分は授業不要 文科省が特例を通知
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/politics/205993

新型コロナ 休校延長、夏休み大幅短縮でカバー 子供のストレス懸念の声も
https://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/200501/lif20050117520057-n1.html

お世話になっている小学校では、分散登校時に山の様な予習課題を渡されました。「家庭で育てて下さい」と、学校で育てる筈の作物の種を渡されたのは閉口しました。

また、大阪市も夏休み等を大幅に短縮し、土曜授業等も実施する予定だと漏れ伝わっています。休校中のオンライン授業(Youtubeで放映)も行っています。

少なくとも大阪市や学校は「4月進級」を前提とし、再開後に即座に授業を実施できる準備に着手しています。

ここから「来年は9月入学・進級です」となれば、学校は間違いなく大混乱に陥ります。急ピッチで進めようとしていた授業が、急に間延びしてしまいます。子供も親も付いていけません。

こうした実情は文科省も把握しているでしょう。ただ、政治家に対して「来年から9月入学は極めて難しい」と応じるのが憚られるので、「潰す為の案」を提案したという推測です。

もう一つは「検討不足」という推測です。9月入学案の致命的な欠点等に気づかずに、提案してしまったという考えです。

大学入試における英語民間試験や記述式試験の導入撤回等を見る限り、文科省に大きな制度変更を行えるだけの能力やマンパワー等があるのかが心配です。

特にコロナ禍で多忙を極める中、9月入学制を十分に吟味するだけの時間や能力が不足していたという疑問は強ちに否定できません。

9月入学制は本当に導入されるのでしょうか。残された時間は多くありません。

毎日の体調管理&感染予防を

様々な報道等を見る限り、不特定ないし多数と共に過ごす(有症者が入り込むリスク)、一定の空間長時間密閉される、他人と同じ物を触れる(接触感染)、会話や食事等を行う(飛沫感染)と感染するリスクが高いと感じています。

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休校・休園は更に延長されそうです。多くのコンテンツがインストールされている、子供向け電子書籍は遊びながら学べるアイテムです。