大阪都構想の是非を問う住民投票が、今年11月1日に行われる見通しです。
住民投票、11月1日実施 大阪都構想で―維新と公明
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020011000618&g=pol
可決されれば、2025年1月から大阪市は4特別区に分割されます。
子育て世帯やこれから大阪市内で子育てする予定の家庭にとり、非常に気になるのは「保育所等の利用制度」です。
現在の大阪市の制度では、市内のどの区に住んでいても市内全ての保育所等に入所申込ができ、同じ基準で利用調整が行われます。
では、大阪都構想が実現され、大阪市が4特別区に分割された場合はどうなるのでしょうか。朝日新聞が取り上げています。
Q:保育所はこれまで通りに通えるの?
A:大阪市民なら市内どの保育所にも通えるけど、特別区に分かれたら別の区の保育所に入れるかどうか、まだ決まっていない。特別区設置までに枠組みを決めることになっている。今も大阪市の子どもが市外の施設に通える「広域入所」という仕組みがあり、それが適用されるかもしれない。
Q:安心だね。
A:そうとも言えない。認可保育所は域内の子どもから優先的に入所するのが一般的。府と市の試算では、4特別区とも待機児童がいることになり、域外から入所するのは難しいかもしれない。前回2015年の住民投票では「待機児童がいるのに、他の区の子どもを受け入れる余裕なんてないだろう」という批判があった。(以下省略)
https://digital.asahi.com/articles/CMTW2001202800003.html
現段階ではまだ決められていません。ただ、2015年の住民投票で否決された大阪都構想(「旧大阪都構想」とします)については、市会で下記の様な議論が行われていました。
Q.特別区再編後は別特別区への入所が難しくなるのでないか。
Q.仮に特別区へ移行した場合はどうなるのか、全く同じ条件の下で入所審査が行われるのか
A.特別区で入所受付・選考が行われる、特別区を跨る入所申請は在住区で受け付けて特別区同士で入所調整が行われる見通し
A.他自治体からの受け入れの場合、市外在住は20点のポイントとしているQ.市内優遇措置というハードルが設けられる?
A.市内居住者を優先している、他自治体でも多く聞いているQ.当たり前と言えば当たり前、特別区は別自治体である
A.(市長)基本的には現状制度のまま特別区に引き継ぐ、特別区を跨ぐケースは2.9%
A.特別区間は相互主義なので特別区長間で協定を結ぶものと認識しているQ.協定書に明記されていない、特別区長の一存で変わる恐れもある、表現には気をつけて欲しい
(Q.は木下議員の発言、A.は大阪市長・市職員の発言)
当時の大阪市職員(課長級)は「特別区間は相互主義なので特別区長間で(保育所等の越境利用に関する)協定を結ぶものと認識している」と答弁しましたが、自民党の木下委員が空かさず「協定書に明記されていない、特別区長の一存で変わる恐れもある。」とツッコミを入れていました。
「数年間は旧大阪市で、経過後は各特別区が独自に利用調整を行う」?
ここから先はあくまで私の推測となります。
2015年当時では約2.9%の児童が旧大阪都構想における特別区を跨いで保育所等を利用していました。この割合は大阪都構想でも大きくは変わらない、もしくは若干低下しているでしょう(特別区が5から4へ減少した為)。
住民投票で可決された後も、2024年末までは「一つの大阪市」です。少なくとも2024年度一斉入所(2023年秋に申込)までは、現在と同じ枠組みで利用調整等が行われるでしょう。
一方、分割後は不透明です。早ければ2025年度一斉入所から4特別区毎の利用調整が始まるかもしれません。反対に分割後も4特別区が合同で利用調整等を行うかもしれません。
とは言え、合同による利用調整が未来永劫続くとは考えにくいです。大阪市の保育事情は地域によって大きな差があります。保育所等が余っている地域もあれば、足りない地域もあります。
保育所等の利用調整は地域の保育事情や子育て事情等が反映された物です。特別区であっても徐々に異なっていくのが自然です。
ただ、既に保育所等を利用している子育て世帯に不利益を及ぶ事態は避けるでしょう。
典型的なのは、他特別区の保育所等を利用しているきょうだいと同じ保育所等を利用したいと申し込んだのに、「違う自治体だから」と言う理由で点数が下がる事態です。
これを避けるには、上の子が在籍している間に下の子が申し込む可能性がある期間中は、旧大阪市の枠組みで利用調整を行うのが簡便です。
私の見立ては「特別区分割後も少なくとも数年間は旧大阪市の枠組みで、経過後は各特別区が独自に利用調整を行う」です。
一定の経過措置等は設けられますが、直に各特別区が独自に利用調整を行うと見ています。