【1.電車】

乗車時に困るのは「ベビーカーの置き場所」です。
大阪市営地下鉄御堂筋線や一部の私鉄の車両では座席が取り払われて車椅子が置けるスペースが設けられており、そこに置くと収まりが良くて助かっています。
ただ、どういったスペースを利用するにはどの乗車口に並べばよいか分からず、またスペースの有無が同一路線を走る車両によって異なる場合があって苦慮しています。
空いている車両・時間帯ならば適当に置いても大きな支障はないのですが、そこそこ混んでいる車両・時間帯だと困ってしまいます。
乗車案内表示や乗車口等にベビーカーマークを貼り付けて置き場所が明示されれば助かる一方、マークがあるにも関わらず置き場所が無いと困ってしまうでしょう。
置き場所が整備されるのであれば、他の乗客の利便性の観点から「ベビーカーは極力ここに置いて下さい」と言った旨の強制には至らない要請(お願い)が行われても良いのではないでしょうか。

【2.公共性の高い施設(公共施設・駅・大型商業施設等)】

「エレベーターが無い・場所が分からない・満員で乗れない」ために困ってしまう場合が少なくありません。

ベビーカーを広げたまま上下移動するにはエレベーターが必要不可欠です。
畳んで子供や荷物を抱えて階段を上り下りする方法もありますが、実は現実的ではありません。
子供が10kg、一般的なベビーカーが6kg、ベビーカーに乗せているタオルケットやオムツ等が4kg、合計約20kgにもなります。
不安定な子供を片手で抱え、もう片手でベビーカーや荷物を持って階段を上り下りするのは事故に繋がりかねません。
体力のある方ならばまだしも、小柄な方だったり子供を2人連れているとお手上げです。

公共性の高い施設が建設された後にエレベーターが追加されたとして有名なのは大阪駅北口です。
JR大阪駅・三越伊勢丹とヨドバシカメラ梅田店を行き来するには上下移動が必要ですが、大阪駅が完成した直後は最短経路にエレベータが設置されておらず、階段を上り下りするか大幅な遠回りを強いられていました。
数ヶ月後にエレベーターが設置されましたが、多くの利用者が不便に感じていたのではないでしょうか。

こうした公共性の高い施設の利用者の主要動線(ないしその近く)にエレベーターが設置されていると本当に助かります。
逆にエレベーターがない施設は極力利用しない動機付けが働きます。

一方、エレベーターが設置されていても場所が分かりにくくて困ってしまう場合もあります。
鉄道駅で多いケースです。
構内案内板を見れば記載されているのですが、肝心の案内板を探すのに一苦労します。
また、構内にはエレベーターの設置を示す看板が設置されていますが、その看板が小さく、看板を見つける為に駅構内を端まで歩き続けるのもしばしばです。
ベビーカーを利用していると注意が子供や周囲からの危険に向かってしまい、なかなか看板表示まで注意を払えません。
空いている壁面や床面を利用し、エレベーターの設置場所をより分かりやすく案内してもらえると助かります。

最も深刻かもしれない問題は「エレベーターが満員で乗れない」場合です。
鉄道駅等でエレベーターを利用しようとして列に並ぶ場合、前に数人が待っていてもエレベーターが数往復するまで待てば乗れます。
「待てば必ず乗れる」という安心感があるので、時間が掛かってもさほど苦痛ではありません。

深刻なのは「待っても乗れない」場合です。
都心部の大型商業施設で頻繁に遭遇します。
たとえば1階から7階へ移動する場合、休日等で賑わっている日に地下からやってくるエレベーターは地下2階・地下1階でほぼ満員となってしまっています。
混んでいるエレベーターに1階から乗るのは躊躇してしまいます。
次のエレベーターを待っても状況は変わりません。
上にも下にも移動できず、立ち往生してしまいます。

一部ではベビーカーや車椅子優先エレベーターを設けていますが、乗っているのはそれ以外の方が圧倒的に多い光景をしばしば目にします。
案内員が同乗して優先利用の旨をアナウンスしていれば別ですが、そうでなければ一般の利用者で満員となってしまって肝心のベビーカーが乗れなかった経験は少なくありません。
上層階にある事の多い、子供用品売り場に辿り着けないのが現状です。

休日に特に混み合うエレベーターは、思い切って「車椅子やベビーカー等、エレベーター以外での移動が困難な方のみお乗り下さい」とする方法も検討に値するのではないでしょうか。

【3.ベビーカー利用者への手助け】

上記の通り、ベビーカー利用者が自力で移動できる方法を設けたりやその為の案内を行うのが第一でしょう。
一方、見ず知らずの方に手助けして頂くのはちょっと怖いのが本音です。
緊急時はまだしも、そうでない場合にわざわざ配慮して貰うのも気が引け、また新たなトラブルの原因に繋がりかねません。
どうしても手助けが必要な場合はまずは駅員や施設職員にお願いしたいので、むしろこうした方に気軽にお願い出来る雰囲気作りを心がけて欲しい所です。

【4.ベビーカーマークの貼付場所】

移動の困難さという観点では、いざとなったら畳んで持ち運んで移動できるベビーカーと比較し、利用者が重くて畳んで移動するのが極めて困難な車椅子の方が深刻に思います。
であれば、車椅子マークが貼られている場所は概ねベビーカーの利用にも対応しているのでしょう。
2つのマークが貼られる場所は多くが重複するのではないでしょうか。

また、電車等でベビーカーマークが貼られている場所はベビーカーを安心して置ける一方、貼られていない場所では逆にベビーカーを阻害する動きが生じないかが少し心配です。

異なる存在への許容が求められる一方、どこまで許容されるべきなのか、いろいろと悩ましい問題です。