東証一部へ上場している日系大手化学メーカーに勤務している男性社員が1カ月の育児休業(その最中に新居へ転居)を取得しました。しかし、育休明け2日目に3週間後の関西勤務(転居)を命じる内示がありました。

https://twitter.com/papico2016/status/1120576408890118144

新居・保育園・配偶者の仕事・単身赴任等、考えるべき事があまりに多すぎます。

転勤する時期を1~2カ月ほど先送りする等の話し合いを行っても没交渉となり、有給休暇も消化しきれないままに5月末で退職せざるを得ませんでした。

前後関係をツイッターから引用します。

2016年9月7日
昨年11月アフリカ帰り、12月夫とAUSで1ヶ月休暇、2月に夫の転職&私の復職決め、私の仕事決まりかけた3月第二子妊娠発覚、私4月帰国→切迫流産入院、夫6月帰国、夫7月転職先決まり、8月関西へ引越し、と盛りだくさんだった38歳。39歳は母になる!👶🏻

2017年7月6日
夫の東京転勤が決まり、大阪1年足らずで帰ることに。本気の私の就活、引っ越し先決め、保育園探しが始まる!

2017年7月31日
8月夫転勤予定だったのが、一旦白紙で9月か10月に、と。こちらでの解約諸々、引っ越し準備、わたしの就活、息子の保活などなど、予定がー。。。

2017年8月17日
今月も辞令出なかったので、9月引っ越しも見送りに。早くて10月。7月の内示で8月にも東京本社へ異動、と言われてただただ待たされてる。引っ越し準備、家探し、賃貸解約諸々、私の就活、息子の保活、いろいろどうしてくれる☹️

(注:この間に関東へ転居)

2017年10月16日
息子、本日(無認可)保育園デビュー。雨の中☔️電車で2駅、45分かかった。来年4月は絶対近所の認可に受かる!!!

1月24日
2019年にやること
1. 週1ヨガ🧘‍♀️体重60キロ
2. 次へ誘われる人材。年収10%アップ
3. 夫と子どもたちとの時間
4. 夫起業の具体的な準備
やりとげる

3月25日
待ちに待った夫の育休、今日からスタート!
さっそく休日2歳児連れては絶対行けない新宿伊勢丹に、夫と0歳児とゆっくり行ってきた。股関節もそろそろ落ち着いてきたから春のお出かけ楽しもう。

3月28日
本日転出届の手続きdone、明日新天地に転入する。保育園の関係で書類上のみ、本当の引っ越しは4月2週目だけど、社宅暮らしから義実家近く、都心から1時間半の新築新居への引っ越し。
いろいろ不満はあるが、良いご縁に巡り合えますように。

4月9日
今週で0歳10か月から通った無認可小規模園終わり、来週から引っ越し先の公立でっかい認可園へ。今の保育園の先生たちへ感謝の手紙を書いているのだが泣いて書けない。息子は先生たちに育ててもらった。感謝しかない。

4月13日
引っ越し終了。あとは荷ほどき。都内近くの社宅暮らしから義実家近くの埼玉田舎に家を建てたが、周りの飲食や公園とか環境が違いすぎて初日から結構落ち込む。良い点を見つけられるようになりますように。

4月22日
信じられない。 夫、育休明け2日目で上司に呼ばれ、来月付で関西転勤と。先週社宅から建てたばかりの新居に引越したばかり、上の息子はやっと入った保育園の慣らし保育2週目で、下の子は来月入園決まっていて、同時に私は都内の正社員の仕事に復帰予定。何もかもあり得ない。

4月23日
とりあえず私労働組合に電話していろいろアドバイスをもらったが、突然すぎて頭追いつかない。不当すぎる。ピンチはチャンスで絶対切り抜ける!

4月25日
上長と人事には、組織に属している以上転勤は当然だが、今のタイミングでは難しいから1、2か月延ばして貰いたいと依頼したところ、ダメと。都の連合からアドバイス貰い、会社の労働組合にも相談したが人事OK出てる以上仕方ない、と。最後、労働局に相談したら、紛争状態になったら事業主との間に入り、

4月25日
解決や助言をする事は可能、とのこと。結局、違法ではないから、労働者の状況を配慮し、妥当なのかどうか?を、場合によっては指導する事しか出来ないらしい。
このタイミングでの転勤はムリだから夫退職するしか無いと考えてるが、男性育休とったらこうなる、という見せしめ、事例になるのは不本意。

4月26日
ちなみに夫は日系大手メーカー勤務。連結1万人くらいの規模、本社で2人目の男性育休取得者で、取得前人事からは、社会の流れから男性育休の事例作らなきゃいけないんです、的な事言われてた。取ってみたら明けて2日で地方に単身赴任命令。時代に逆行してるのか、まだまだ本質がそこにあるのか。

5月13日
夫(日系大手メーカー)育休取ったら見せしめに転勤になった件、退職せざるを得ず、夫は立ち上げたプロジェクトの区切りが見える6月中旬くらいまで責任全うしがんばりたい、と上司と交渉したけど受け入れられず、結局5月末退職決定。あと3週間しかないよ。来月からどうするだ?

且つ、だったら今後の準備のために下旬は有給とりたい(30日くらい余ってる)とつたえると、会社に在籍してるからちゃんと引き継げ、と。引き継ぎ無しに地方転勤辞令出しておいてヒドイ。内示出た時点で人事、労働組合、都の労働局には相談済み、会社に未練はなし、だけど悔しいなあ。

今後は、再度労働局に連絡し、労働局から勧告、という形で指導してもらう事になってる。有給取らせてもらえない件も追加。

夫曰く、労働局、産休育休絡みは今いちばんホットで、産休育休を挟み会社から #ハラスメント を受けるケース頻出してるらしい。主にママ達だが、最近男性も増えてると。

6月1日
改めて決意
夫日系一部上場企業で育休とったら明けて2日で関西に転勤内示、私の復職まで2週間、2歳と0歳は4月に転園入園できたばかり、新居に引越して10日後のこと。
いろいろかけ合い、有給も取らせてもらえず、結局昨日で退職、夫は今日から専業主夫になりました。

私産後4か月で家族4人を支えます

6月1日
わお!みなさまありがとうございます!補足すると、内示言われてから居住地域の労働局、人事、労働組合、都の労働局に相談しています。「社員の転勤命令は違法ではない」が統一意見でしたが、そこに妥当性(どうしても夫でなければならない、このタイミングでなければならない)が見られるか、が→

ポイントでした。私たちは、転勤は応じるとしても生活が落ち着いていないので(社宅から建てたばかりの新居に引越して10日後)せめて1か月延ばしてほしい、と上司にお願いしましたが、聞き入れてもらえず。5月16日付で転勤、は絶対。4月23日の事でした。

#カガクでネガイをカナエル会社

仕方なく連休明けに上司に、5月に関西転勤はできないから退職しかない、と伝え、ただ夫はじめたプロジェクトを責任持って軌道に乗せたいから東京で6月まではやらせてほしい、次への準備に20日以上余った有給を消化させてほしい、と頼んだけど、辞めるなら5月末だから、と切られ、ボーナス無し。

6月2日
SNSの力と反響の大きさに驚き、何よりこんなに拡がったのにクソリプの少なさと温かい応援がありがたく!

論点いくつか。男性育休問題→パタハラ、共働き世帯の転勤、有給取得、会社への忠誠、今回人事、労働組合、都の労働局(労基)に相談しての結果なので、私たちは引きずっておらず→

転勤内示出た時夫が「自分を戦力として無いならここにいる意味ないしね」に同意、お金は大事ですが、しがみ付くよりはさっさと次へ行こうねー、と退職決めました。ただ、こういう結果になりましたが、夫育休取得は貴重な時間を家族一緒に過ごせことで全く後悔なし、私たちの財産なので、私たちの例が→

今後の男性育休取得の妨げになるのは嫌なのと、共働き世帯の転勤でワンオペ負担を強いられる家族や、働きたくても働けないママたちパパたちが少しでも減ることを願いつつ、、SNSにいる属性と日系企業の経営層の属性がどれくらい被っているかは微妙ですが、小さな小さな一石を投じられた?

https://twitter.com/papico2016

男性育休、育休明け・新居へ転入した直後の転勤命令、共働き世帯の転勤等、様々な論点が重なっています。

勤務していたのは株式会社カネカ、情報を把握済

ツイッターに投稿している方が半ば表明していますが、男性が勤務していたのは「株式会社カネカ」です。

トップページに「ガクでガイをナエル会社」とあります。


http://www.kaneka.co.jp/

同社は「次世代育成支援対策推進法」認定マーク(くるみん)を取得しています。

プレスリリースでは「男性社員が1人以上育児休業を取得する」が目標として記載しています。

株式会社カネカ 広報室
2009/09/10
株式会社カネカは、「次世代育成支援対策推進法」*1に基づく「基準適合一般事業主」として、8月28日付けで厚生労働省大阪労働局の認定を受け、認定マーク(愛称:「くるみん*2」)を取得しました。

同マークは、「次世代育成支援対策推進法」に基づいて、企業など事業主が少子化対策として社員の子育て支援のための「行動計画」を策定・実施し、その基準に適合すると認定された場合に付与され、マークを広告や商品などに使用することができます。

当社は、2007(平成19)年4月に下記の「行動計画」を策定し、その目標の達成に取り組んでまいりました。今回の認定取得により、当社のこれまでの「子育て及び仕事と家庭の両立の支援推進」や「女性の活躍拡大」への取り組みが認められたことになります。

当社は、今後も仕事と家庭の両立を支援し、多様な人材の活躍の場の提供に積極的に取り組んでまいります。

「行動計画」の目標と実績(期間:2007年4月〜2009年3月)
<目標>
1.環境が整った段階で、育児休業を取得しやすい環境づくりに向けた制度改訂を行う。
2.計画期間内に男性社員が1人以上育児休業を取得する。

http://www.kaneka.co.jp/service/news/n20090910/(削除中)

なお、同社は上記ページをウェブサイトから削除しています(削除前に保存したページはこちら)。

※同社は「上記ページはリニューアルに伴って削除された」としています。

また、お問い合わせフォームに入力できなくなっています。

気になったので、同社へ直接電話しました。電話を出られた方に訊ねたところ、「(本件を)把握しています」との返事がありました。

これらから、少なくとも同社は事実関係を把握し、情報を共有し、対応を講じていると推測されます。

合理的な転勤命令?

退職した男性社員は1カ月の育児休業を取得しました。しかし、その直後に転居を伴う異動を命じられました。

確かに企業は従業員に対して転居を伴う異動等を命じられる、広範な裁量権を有しています。

男性社員も人事システムを理解していました。これまでに頻繁な長期出張や転勤を受けいれてきました。

今回も転勤を受け入れるとしながらも、「(引継や家庭の事情があるので)1~2カ月ほど待って欲しい」と申し入れました。

しかし、会社は一定の猶予期間すら拒否しました。事実上「転勤か退職か」の二択を迫っています。

実は同社は2016年8月に転勤を命じていました。しかし、何らかの事情でずるずると延ばされ、実際に転勤・転居したのは10月になりました。

転勤時期の見通しが甘い会社にも関わらず、今回は頑なでした。

更に転勤を命じた5月16日は非常に中途半端な時期です。どうしても5月の中日だったのでしょうか。合理的な理由が見いだせません。

こうした人事措置が「次世代育成支援」「子育て及び仕事と家庭の両立の支援推進」「多様な人材の活躍の場の提供」に沿っているとは考えにくいです。

内容が事実であれば、男性社員の育休取得に対する強烈な逆風となるのは間違いありません。

育休明け直後に遠隔地へ異動させられた前例があれば、育休を取得するのを萎縮してしまうでしょう。「使えない制度」が出来上がります。

共働き世帯の転勤

一方、考える必要があるのは「共働き世帯の転勤」です。夫婦どちらかが転居を伴う異動を命じられた場合、単身赴任するか否かを迫られます。

学生時代の友人家庭で共働きが続いているのは、「夫婦が共に転居を伴う異動がない職場」です。

勤務地が本社しかない(但し出張は多い)、エリア採用職、市区町村で働く地方公務員、自営業というケースが専らです。

反面、頻繁に全国各地へ転勤する業種(金融・国家公務員・新聞社等)で働いている友人家庭は、殆どが片働きです(待遇が良いので生活に支障はない、と聞きます)。

今後も共働き世帯は増加し続けます。また、子供の教育や親の介護も重なります。

家庭の事情も勘案した上で海外も含めた人事ローテーションをどの様に行うか、企業として悩ましい部分があるでしょう。

退職した男性社員は、これまでに東京・大阪・海外と転勤を繰り返してきました。家族も一緒に転居しました。

勤務したのは主要な拠点ばかりです。優秀な社員だったのでしょう。

社員を大切にしない会社は採用に苦戦する、株価も下落

本件では最終的に1人の男性育休取得者が同社を退職しました。が、「たかが1人」ではありません。こうした行動は多くの潜在的な就職希望者等が見ています。

「家庭にもコミットしたい」と考えている、優秀な学生や転職希望者の採用に苦戦するのではないでしょうか。

株価も大きく下落しています。

10:04リアルタイム株価
(株)カネカ 3,670 前日比-80(-2.13%)
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=4118.T&ct=w

来春に向けた採用活動が現在も続いています。学生の間に動揺が走るでしょう。

嫌な話です。