10連休の後半、5月5日以降にネット上を賑わせた記事があります。「10歳のユーチューバー」です。

「不登校は不幸じゃない」10歳のユーチューバー 沖縄から世界に発信「ハイサイまいど!」

 「俺が自由な世界をつくる」。自由を求めて学校に通わない選択をした中村逞珂(ゆたか)さん(10)=宜野湾市=が「少年革命家 ゆたぼん」と名乗り、ユーチューバーとして活動している。大阪生まれ、沖縄在住のゆたぼんは「ハイサイまいど!」で始まる楽しい動画を提供しつつ、いじめや不登校に悩む子や親に「不登校は不幸じゃない」と強いメッセージを発信している。


不登校の子や親を励ますメッセージを発信している「少年革命家ゆたぼん」こと中村逞珂さん=4月30日、宜野湾市内の自宅

 ゆたぼんが学校に通わなくなったのは小学校3年生の時。宿題を拒否したところ、放課後や休み時間にさせられ不満を抱いた。担任の言うことを聞く同級生もロボットに見え「俺までロボットになってしまう」と、学校に通わないことを決意した。現在も「学校は行きたい時に行く」というスタイルを貫いている。

 配信する動画は歌やお笑い系が多い。パワフルに熱唱する姿は、父親の幸也さん(39)の影響で好きになったブルーハーツをほうふつとさせる。

 人気作家や編集者、お笑い芸人などと共演を重ね「ノートに書くだけが勉強じゃない。いろんな人に会うことも勉強だ」と、学校ではできない学びに自信を深めている。

 活動をしていると「死にたい」という子どもから相談が寄せられることもある。そういう時は友達になり「死ぬな。苦しむな。学校なんて行かなくてもいい」と言い続けている。

 夢は子どもだけが乗れるピースボートで世界中に友達をつくり、戦争をなくすこと。子どもの自殺が増えるとされる夏休み明けの頃には、子どもを集めたライブを開催する計画も練っている。

 4日にインターネットラジオ「ゆめのたね放送局」の最年少パーソナリティーに就任。毎週土曜午後8時から30分番組「自由への扉」を放送している。

 ラジオでは苦しんでいる子に向けて勇気を与えるメッセージを発信するつもりだ。

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-913377.html

開設されたユーチューブチャンネルは「少年革命家ゆたぼんチャンネル」です。

不登校は不幸じゃない!

他の家庭の子育てにあれこれ口を出すつもりはありません。各家庭の子育て方針があるでしょうし、土足で立ち入って批難する権利も能力もありません。

ただ、不勉強や児童虐待等、児童の将来や安全安心等に重大な支障を及ぼす可能性がある場合は別です。

「少年革命家ゆたぼん」こと中村逞珂さんは小学校3年生から学校へ毎日登校せず、「行きたい時に行く」というスタイルを貫いているそうです。

小学校3年生は各科目の勉強が複雑化し始める時期です。1-2年生までの学習とは一線を画します。

国語は題材が長くなり、覚える漢字も増大します。算数は割り算や分数が加わります。社会・理科授業も始まります。漢字の書き取りや計算ドリル等、宿題も増えます。

こうした状況において、自宅で宿題を行わなかった中村さんが放課後等に宿題をやらされた事に不満を持ち、不登校が始まりました。

確かに、長時間に渡って狭い教室に閉じ込められて勉強を強制させられる「学校」というスタイルに対し、生理的に合わない子供もいるでしょう。

人間関係・いじめ・勉強についていけない等の理由から、登校できない子供が増えています。


不登校が過去最多、5年連続増加の原因とは

私が小中学生だった大昔と比べて、最近は不登校を許容する空気が少しずつ広がっています。「何が何でも学校へ行きなさい」という時代でもないかもしれません。

学校では、社会で生きていくのに必要な知識や能力を身につける事ができます。学校教育法は「小学校教育の目標」を明記しています。

〔小学校教育の目標〕
第十八条
小学校における教育については、前条の目的を実現するために、次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。

一 学校内外の社会生活の経験に基き、人間相互の関係について、正しい理解と協同、自主及び自律の精神を養うこと。
二 郷土及び国家の現状と伝統について、正しい理解に導き、進んで国際協調の精神を養うこと。
三 日常生活に必要な衣、食、住、産業等について、基礎的な理解と技能を養うこと。
四 日常生活に必要な国語を、正しく理解し、使用する能力を養うこと。
五 日常生活に必要な数量的な関係を、正しく理解し、処理する能力を養うこと。
六 日常生活における自然現象を科学的に観察し、処理する能力を養うこと。
七 健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養い、心身の調和的発達を図ること。
八 生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸等について、基礎的な理解と技能を養うこと。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/06060509/004.htm

子供がお世話になっている小学校でも、この目標に即して授業等が行われています。急激に知識が身につき、世界や好奇心が広がっているのを実感します。

余りにあれこれ訊きたがるので、ついつい「忙しいから後にして」と言ってしまう事もあります(あまり良くないですね)。

仮に学校へ登校しなかったとしても、フリースクール等で勉強するし、こうした能力等を身につけるのは必要不可欠です。さもなくば、社会で様々な不利益を被るのは明白です。

我が家では、子供が嫌がっても学校の勉強や宿題を強制させています。ただ、勉強嫌いや不登校になると後々の対応コストが膨大になるので、様子を見ながら匙加減をしています。

どうしても出来ないという時は、連絡帳に理由を記入して先生にお知らせし、週末等に指導して取り戻す様にしています。

「不登校は不幸じゃない!」かもしれません。では、10歳でユーチューバーとしてデビューし、すべき勉強をしないのが幸せなのでしょうか。

琉球新報が取材した意図も不明です。こうした生き方を賞賛したいのでしょうか。

背景には父親の存在が

中村さんがユーチューバーとなった背景には、父親の存在が無視できません。

父親の中村幸也氏は心理カウンセラーを務めています。但し、臨床心理士といった公的資格を保有していると明示していません。


中村幸也オフィシャルブログより

同ブログやフェイスブックでは、琉球新報の新聞記事への反響に対する意見等も記されています。

5月25日は浦添市で親子講演会を行う予定です。

自由に生きるのには遠慮はいりません。しかし、年齢に相当する知識や能力を無くして生きていくのは容易ではありません。

繰り返しになりますが、様々な家庭と子育て方針があります。

我が家とこうした家庭の考え方は非常に大きな差があります。仮に同じ地域に住んでいたら、何も言わずに距離を取るでしょう。