大やけどをした3歳女児を自宅に放置してパチンコ屋へ出掛けていた疑いで逮捕された母親は、以前から児童相談所・区役所職員と面会を重ねていました。

やけど3歳女児放置「たたいてしまう」母親が児相に相談

重いやけどをした3歳の娘に治療を受けさせず放置したとして逮捕された22歳の母親が、去年11月、横浜市の児童相談所に「イライラして娘をたたいてしまう」と相談していたことがわかりました。

横浜市の中央児童相談所や鶴見区役所によりますと、逮捕された橋本佳歩容疑者(22)は去年5月、埼玉県草加市から娘と息子とともに引っ越してきたということで、草加市からは住まいを転々とし所在不明となるおそれがあるとして、2人の子どもについて、支援が必要な「要保護児童」として引き継ぎを受けたということです。

4か月前の去年11月に、児童相談所と区の職員が面会した際には「おむつが取れるのが上の子より遅く、イライラして娘をたたいてしまう」などと相談したということです。

このとき、娘のほほには3センチほどのあざがありましたが、橋本容疑者は「兄とけんかをしてできた」と説明したということです。

また、去年11月とことし1月に児童相談所や区の職員が家庭訪問した際には、虐待を疑わせる状況は確認できなかったということですが、兄は去年の年末から保育所に通わなくなり、職員が連絡を取ろうとしても橋本容疑者と同居する田中聡容疑者(21)は携帯電話に出なかったということです。

横浜市こども家庭課の秋野奈緒子担当課長は「連携して対応してきたが、結果として重篤な状態となり申し訳なく思います。捜査の状況をみながら必要な支援をしていきたい」と話しています。
橋本容疑者らが住むアパートの下の階の部屋で暮らす36歳の女性は「家族4人で仲よくシャボン玉で遊んでいるのを見ました。いい家族なのかなというイメージがありました」と話していました。

女性の子どもが橋本容疑者の5歳の息子とよく遊んでいたということで、「娘さんについては1回しか見たことがなく、一緒に住んでいないのではないかと思っていました。こういうことが起きてすごくショックで、ひどすぎます」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190305/k10011837011000.html

行政は支援が必要な家庭として認識していました。児童相談所の職員には育児について相談していました。

同時に、行政は「要保護児童」としてリストアップしていました。

保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童(以下「要保護児童」という。)
児童福祉法第6条の3第8項

要保護児童と認定されると市町村や児童相談所が共同して管理・支援を行います。なお、横浜市には5429人(平成26年6月末)の要保護児童が存在しているそうです。


横浜市における児童虐待対策について

横浜市の動きで気になったのは、「保育所に登園しなくなった後のフォロー」です。近所に救いを求めた兄(5歳)は、昨年末から保育所へ登園しなくなったそうです。

兄は去年の年末から保育所に通わなくなり、職員が連絡を取ろうとしても橋本容疑者と同居する田中聡容疑者(21)は携帯電話に出なかったということです。

5歳ともなれば日常生活(親にとって都合が悪い事を含む)を何でも話してしまいますし、身体にアザ等があれば保育士がすぐに気づきます。

しかし、これも保育所へ登園しているのが前提です。登園しなければ気づきようがありません。長期欠席なら尚更です。

「要保護児童の長期欠席」は、虐待の兆候を示すサインです。千葉県野田市で虐待死した栗原心愛さんも、3学期が始まっても欠席し続けていました。

保育所は母親や同居する男と連絡を取ろうとしたものの、電話に出なかったそうです。保育所は男の存在を認識していた様子です。父親以外の男との同居も虐待に繋がりやすい要因の一つです。

長期欠席・男との同居・出ない電話、虐待リスクの高まりは容易に予想できました。早急に家庭訪問をすべき事案でした。

事件が起きたのは神奈川県横浜市鶴見区梶山2丁目29−23にある「バードハイツ」でした。

間取りは2DK(35平方メートル)の部屋です。6畳間が3室です。

https://www.homes.co.jp/archive/b-26658074/u-4935091/

母親と子供2人で暮らすには少し手狭、4人で生活するには狭すぎる部屋でしょう。

同居する男が子供にイライラし、放置してパチンコ屋へ出掛ける姿は容易に想像できます。

案の定、以前から何度も子供を放置していました。

やけど3歳女児放置 母親と同居の男 以前から家を空けていたか

重いやけどをした3歳の娘に治療を受けさせず横浜市の自宅アパートに放置したとして、22歳の母親と同居する21歳の男が保護責任者遺棄の疑いで逮捕されました。一緒に暮らす5歳の息子は以前から近所の人に母親が不在だと訴えていたということで、警察は詳しいいきさつを調べています。

逮捕されたのは、いずれも横浜市鶴見区に住む無職の橋本佳歩容疑者(22)と同居する自称、運転手の田中聡容疑者(21)です。

警察の調べによりますと、2人はやけどをした橋本容疑者の3歳の娘に治療を受けさせず、4日正午ごろ、横浜市鶴見区の自宅アパートの部屋に放置したとして保護責任者遺棄の疑いが持たれています。

警察によりますと、娘は腰から背中にかけて重いやけどをし、上半身裸でラップが巻かれた状態で布団に寝かされていたということです。命に別状はないということです。

調べに対し2人はいずれも容疑を認め、「昼ごろからパチンコに行っていた」と供述しているということです。

また、橋本容疑者は娘のやけどについて、「数日前に誤って熱いシャワーをかけた」と供述しているということです。

さらに一緒に暮らす5歳の息子が、近所の人に「ママがいない」などと数日前に訴えていたことが住民への取材でわかりました。

警察は、2人が以前から家を空けて娘を放置していたとみて詳しいいきさつを調べています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190305/k10011836771000.html

母親が不在にしている情報が区役所・児童相談所へ伝わっていたら、より早い動きが期待できたのではないでしょうか。

子供に手を上げてしまう親もいるでしょう。それが躾か体罰か、第三者が判断するのは非常に難しいです。

しかし、幼い子供を恒常的に放置して外出するのは誰でも「問題だ」と認識できます。ましてや火傷を負った3歳児を放置して外出するのは考えられません。

発見するのが遅れれば、3歳児が死亡してもおかしくない事案でした。

3歳児を救ったのは、5歳児の兄と近所の男性の行動でした。

 横浜市鶴見区で5日、やけどを負った長女を放置していたとして、保護責任者遺棄容疑で母親と同居の男が逮捕された事件では、近所の男性に長男(5)が助けを求めたことが発覚につながった。男性が同日、産経新聞の取材に応じ、「『お母さんに会いたい』と言われ、手を強く握られながら家まで一緒に行った」などと事件発覚前の長男らの様子を証言した。

 長男から助けを求められたのは、近くの自動車修理工場の増渕拡昌さん(49)。4日午後4時半ごろ、雨が降りしきる中、作業中の増渕さんのもとに、パジャマ姿で雨にぬれた長男が飛び込んできた。増渕さんに対して「お母さんに会いたい」と話しかけてきたため、「おじさんが家まで連れて行ってあげる」と家まで同行したという。

 道中、長男は増渕さんの手を強く握り、引っ張るようにして徒歩約3分ほどの家まで向かった。家に到着すると、長男は「家に入りたくない」とおびえたような様子を見せ、「妹がいるの」「皮がむけてる」と続けた。

 ことの重大さを認識し、「放っておくわけにはいかない」と鶴見署に連絡。母親の橋本佳歩容疑者(22)らは不在だった。

 その後、警察官や救急隊員らが到着。隊員らの会話から、長女が重症であることが分かった。「服が(肌に)くっついている」「重度熱傷」…。長女は病院に搬送された。増渕さんは長男の行動について「必死の様子だった。妹を何とかしてほしかったんだろう…。とにかく大人に来てほしかったんだろうと思う」と振り返る。長女の様子については「発見が遅れたら、亡くなってしまっていたかもしれない」と神妙な面持ちで話した。

 橋本容疑者らが住むアパートの男性大家は「先週日曜日に家賃徴収で部屋を訪れた際には変わった様子はなかった。長女の発見が遅れていたらと思うと、ぞっとする」と語った。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190306-00000014-san-l14

母親に必要なのは処罰でしょうか、それとも支援でしょうか。少し考えさせられます。