大阪北部地震の発生直後の混乱を受け、大阪市は様々な対応策を検討しています。
子育て世帯への影響が特に大きいのは、「帰宅困難者対策としての非常事態宣言」と「LINEやツイッターの活用」でしょう。
大阪市の吉村洋文市長は25日、大規模災害が発生した際の帰宅困難者対策を念頭に、災害の大きさを民間企業などに知らせて出社や帰宅の抑制を促す「非常事態宣言制度」の検討を大阪府・市で進める構想を表明した。府と協議し、具体的な仕組みを考えるという。
また吉村氏は、災害時の庁内の情報伝達手段として、会員制交流サイト(SNS)の「LINE(ライン)」や短文投稿サイト「ツイッター」の活用を検討する方針も明らかにした。大阪北部地震では、発生直後に電話やメールがつながりにくくなり、庁内や市立学校との連絡や意思疎通が困難となった。今後、運営会社と業務提携に向けた協議を行う予定。
吉村氏は現状の連絡手段について、「南海トラフ巨大地震などさらに大きな災害が起きたとき、行政として機能できなくなる」と指摘。災害に強いSNSの活用が必要という認識を示した。熊本地震で被災した熊本市では、すでにラインの運営会社と連携協定を結んでいるという。
https://www.sankei.com/west/news/180625/wst1806250135-n1.html
帰宅抑制すると、子どもを迎えに行けない
震災当日の夜、淀川に掛かる橋梁を大勢の人が歩く姿を見て唖然としました。
地下鉄御堂筋線が通っている新淀川大橋は、大勢の人が歩いて移動できる構造ではありません。
梅田側は粗大ゴミ置き場や放置自転車保管所の間の細い道を抜けなければ辿り着けません。道が分かりにくく、車道脇を歩いて新淀川大橋を登り切った方も少なくないと感じました。
また、梅田側は高い螺旋階段を上り下りする必要があります。階段中央部分に斜面があるものの、ベビーカーは担がざるを得なかったでしょう。南方側の歩道橋も狭く、河川敷に直接下りられる構造では無かった筈です。
帰宅困難者対策で心配なのは、「都市部で一夜を安全に過ごせる場所があるのか」「保育所・幼稚園・学校等へ迎えに行かなくても、夜通し預かってくれるのか」という点です。
当日、新淀川大橋を歩いて超えたのは1万人を超えたと感じています。更に、他の方面へ歩いて移動した方も大勢います。こうした方の帰宅を抑制しても、都市部で過ごせる場所が無ければ無意味です。
大型商業施設・オフィス・公共施設等、十分なスペースと備蓄物資の集積がある施設が多く開放されれば良いのですが。
帰宅を抑制した場合、直接的な影響が出るのは子どもです。都市部に留まるのであれば、子どもを迎えに行けません。翌朝まで保育所等で預かってくれるのでしょうか。
仮に預かる場合、保育士や先生方も泊まり込まざるを得ません。子どもや職員用の宿泊準備・備蓄物資も必要となります。
私が聞く限り、大阪市内では当日中に迎えに行けなかったケースはありませんでした。
しかし、鉄道の不通が長引いた高槻市等では、両親が共に大阪市内で働いていると詰んでしまいます。当日中に迎えに行けなかった家庭があっても不思議ではありません。
LINEやツイッターの活用
震災直後でもLINEやツイッターは問題なく利用できていたそうです。
携帯電話は発着信が集中し、殆ど通話ができませんでした。また、大阪市のウェブサイトにはアクセスが集中していました。通常時でさえ重いウェブサイトが更に重く、非常時用の簡易表示では十分な情報が得られませんでした。
非常時の市民が求めているのは「情報」です。役所や学校等の手元にある少ない情報だけでも、まずは発信して欲しいのです。
その点、情報発信が早かったのは吉村市長のツイートでした。また、一部の学校や保育所等も、震災直後に安否に関する情報をウェブサイト等で公表していました。
しかし、大阪市のツイッター全般は出足が遅く、更新も緩やかだったアカウントが少なくありませんでした。
噂ベースの小話ですが、「出勤中に巻き込まれた職員が多く、役所まで辿り着くのに時間が掛かった」「担当者のみが施設内で更新できる」という話も聞きました。
セキュリティ面の懸念もありますが、一部職員はスマホ等からでもツイートできる体制を構築するのも必要かもしれません。
少し心配なのは保育所や幼稚園等です。少ない職員で回さざるを得ません。ここでも非常時にはツイッター等で情報を発信できると、保護者は安心できます。
ネットワークで情報が発信できれば、保護者からの問い合わせ電話も減ります。目の前の児童等の安全確保に注力できるでしょう。
非常時に必要なのは、複数の連絡・情報発信手段を準備しておく事でしょう。一つでも活きていれば、それを活用できます。
こうした考え方は家庭内でも同じです。夫婦間での連絡手段が複数あると心強いです。