保育所等への入りやすさに大きな関係を持つのが「人口移動」です。転入が超過する自治体は保育所等への申込数が増加する一方、転出が超過する自治体は減少するのが一般的です。

総務省が発表した2017年の人口移動報告によると、近畿圏では大阪府・大阪市・明石市等が転入超過となる一方、大半の自治体では転出超過となりました。

近畿17年人口、大阪のみ転入超過 女性の流入増が貢献 インバウンド増加で就業機会拡大

総務省が29日発表した住民基本台帳に基づく2017年の人口移動報告によると、大阪府を除く近畿5府県が転出超過となった。6府県全体の転出超過は1万3028人で、16年比7%縮小した。好調なインバウンド(訪日外国人)を背景にサービス業などの就業機会が増える一方で、企業の人員シフトやIT企業への就職などで東京圏への人口流出が続いている。

大阪府は3年連続の転入超過だった。超過幅は2961人で同65%拡大した。男女別でみると男性は628人の転出超過だったが、女性の転入超過が3589人と同48%増えて補った格好だ。

兵庫県は6年連続の転出超過となった。6657人と同2%縮小したが福島県に次いで全国2番目の多さだった。男性の転出超過が4090人と関西でも特に多い。京都府も6年連続の転出超過で1662人。男女とも転出超過だが、女性は75人と小幅だった。

りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「大阪府はインバウンドの増加でサービス業や飲食業の雇用吸収力が高まり、西日本から女性の転入が増えている」と指摘する。関西全体で男性の転出超過が続いていることについては「転出先は東京圏が中心。五輪関連の都市開発案件が多く、企業が東京へ人材をシフトする動きに歯止めがかかっていない」という。

市町村別でみると転入超過は大阪市が全国2位の1万691人、兵庫県明石市が11位の2274人だった。明石市の超過幅は同4倍近い伸びで、「中学3年生までのこども医療費と第2子以降の保育料を無料化するなどの支援策が子育て世代に評価されているようだ」(同市政策室)とみる。18年4月からは中学校給食の全校(13校)実施で支援を拡充する計画だ。

転出超過は大阪市の周辺都市で目立つ。堺市は全国2位(2211人)で、大阪府寝屋川市(1081人)が10位、同東大阪市(845人)が19位。5位の神戸市は1507人と同6倍に増えた。男性が東京圏へ転出する動きが加速している。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26286170Z20C18A1LKA000/

詳細な資料は統計局ウェブサイトで公開されています。

住民基本台帳人口移動報告 平成29年(2017年)結果
http://www.stat.go.jp/data/idou/2017np/kihon/youyaku/index.htm

また、市町村別の転出・転入数は、住民基本台帳人口移動報告・年報(詳細集計)から探せます。ここから、大阪府内の「市」の転出・転入数を抜粋しました。

自治体名転入・転出超過数
大阪市10,691
堺市-2,211
岸和田市-723
豊中市1,548
池田市401
吹田市38
泉大津市-196
高槻市-57
貝塚市-652
守口市499
枚方市-361
茨木市541
八尾市-298
泉佐野市88
富田林市-667
寝屋川市-1,081
河内長野市-664
松原市-158
大東市-574
和泉市-349
箕面市1,057
柏原市-489
羽曳野市-259
門真市-693
摂津市-175
高石市-87
藤井寺市-280
東大阪市-845
泉南市-388
四條畷市-122
交野市105
大阪狭山市229
阪南市-377

転入数が転出数を上回っているのは、大阪市・豊中市・池田市・吹田市・守口市・茨木市・泉佐野市・箕面市・交野市・大阪狭山市でした。

大阪府北部にある自治体が大半を占めています。交通利便性が良く、大阪市内等への通勤が容易なのが理由の一つでしょう。泉佐野市はインバウンド関係でしょうか。

転出入数は「地域の魅力」と密接に関係しています。雇用の多さ等は自治体が働きかけるのは容易でありません。

が、住環境や子育て支援施策等は自治体判断で行いやすいでしょう。劇的な結果を残したのが兵庫県明石市です。保育料を無償化した守口市も転入超過です。ただ、子育て世帯が急激に増えた為、保育所不足が深刻化していると聞きます。

今後は転入・転出超過数が更に二極化していくでしょう。人口を呼び寄せる地域は更に多くの人口を呼び寄せる一方、そうでない地域は流出が続く恐れが強いでしょう。