6月に掲載した「国家戦略特区小規模保育にて、3-5歳児の保育も可能に(法改正)」の続報です。

国家戦略特区小規模保育にて、3-5歳児の保育も可能に(法改正)

国家戦略特別区域法改正に伴う内閣府令の改正に関する意見聴取手続(パブコメ)が始まりました。意見等はお盆の真っ最中である8月14日から9月12日まで受け付けています。

「子ども・子育て支援法施行規則及び内閣府関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正する内閣府令案」に係る意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=095170880&Mode=0

内閣府令案は上記ウェブサイトに掲載されていますが、一部のスマートフォン等からは閲覧できない仕組みとなっていました。そこで、ダウンロードしたPDFを当ウェブサイトに掲載します。

Download (PDF, 125KB)

改正案の概要は下記の通りです。

2.改正の概要
○ 国家戦略特別区域小規模保育事業を行う地域型保育事業所における利用定員について、満3歳未満保育認定子どもに加え、満3歳以上保育認定子どもを定めることとする。
○ 国家戦略特別区域小規模保育事業者は、満3歳未満保育認定子どもに加え、満3歳以上保育認定子どもに係る保育の利用について、市町村が行う調整及び要請に対し、できる限り協力しなければならないこととする。
○ 満3歳以上の各年齢の定員を設定する国家戦略特別区域小規模保育事業者にあっては、保育の提供の終了に際して、引き続き、それらの連携施設において受入れを行い、教育・保育を提供することを要しないものとする。
○ 国家戦略特別区域小規模保育事業者は、異なる年齢の乳幼児を集団で保育する場合における個々の乳幼児の発育及び発達の過程等に応じた適切な支援及び満3歳以上の幼児を保育する場合における集団保育の提供のための配慮等に係る教育・保育情報を、都道府県知事に報告を行うものとする。
○ その他所要の改正を行う。

内閣府令案より引用

気になった点等について、簡単にコメントします。

・全ての小規模保育事業で5歳児までの保育が可能となるのではなく、「国家戦略特別区域小規模保育事業」が対象となる。
・少なくとも、特区制度を要望した東京都は対象となりそう。
・小規模保育での3-5歳児保育を行うか否かは市町村の判断か(「市町村が行う調整及び要請」)。
・各小規模保育事業者に3-5歳児の保育努力義務が課されるのではないか(「できる限り協力・・・・」)。
・連携施設に関する部分は読み取れない

私が読み取った限りでは、小規模保育で3-5歳児保育を行うか否かはあくまで市町村の判断となりそうです。待機児童数・保育の質等に対する考え方で、導入の有無が分かれるでしょう。

強く気になったのは、3-5歳児保育の拡大に対する歯止めがない点です。あくまで保育所・こども園での保育を優先的に掲げた上で補充的に実施されるのではなく、現行制度と並列的に実施されると読み取りました。

私自身は小規模保育での3-5歳児保育に否定的です。より広い施設・園庭等で同い年の児童と集団生活を送る方が望ましく、また0-2歳児の入所に支障が生じかねないからです。

3-5歳児に対しては、保育所等の新増設・幼稚園からこども園への移行・幼稚園での受け入れ(預かり保育)で対応を図るべきです。

仮に導入するのであれば、(1)保育所やこども園での転入所を全て断られた、(2)3-5歳児の保育を行うに相応しい保育室等の設備がある、(3)一定数の同い年(広義では3-5歳児)が在籍している、(4)可及的に速やかに保育所やこども園へ転所する、と言った厳格な要件を設けるべきでしょう。

改造内閣では新たに「人づくり革命担当大臣」が設置されました。保育所と比べると十分とは言えない施設で元気な3-5歳児保育を行うのではなく、児童の健やかな成長に適した保育所等を設置して保育を行う事こそ「人づくり」に相応しいでしょう。

同時に懸念しているのは、本特区制度を関西でも導入される可能性です。東京ほどではないとしても、大阪市の中心部等では3歳児の待機児童が増加傾向を示しています。導入されないのを祈っています。