先の国会で国家戦略特別区域法が改正されました。改正内容には「小規模保育事業の入園対象年齢の拡大」も含まれていました。
上記資料によると、待機児童が極めて多い東京都からの要望を受けたとされています。具体的には「都市部では3歳以降に通う連携施設の設定が困難」「3歳以降の受け皿が十分確保されていない」事が理由とされています。
また、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎氏も同じ趣旨の要望を提出しています。同氏は複数の小規模保育事業も経営しています。
何かと話題になっている内閣府地方創生推進事務局国家戦略特区ワーキンググループにて、関係省庁等からのヒアリングが平成28年6月15日・7月11日・8月4日・9月16日に行われました。頻繁ですね。
これにより、待機児童が多い国家戦略特区内で0-5歳を対象とする小規模保育が行えるようになりました。3歳の壁が少し低くなる効果があるでしょう。
反面、課題は極めて多いです。改正内容では「3歳以上児では個の成長と友達との相互的・協力的な活動が促されるよう配慮すること」とされています。
しかし、法改正でも小規模保育の定員上限は19名のままです。同じ施設で0-5歳児が過ごす場合、3-5歳児が相互的・協力的に活動できる同年齢児は若干数しかいないでしょう。3-5歳児が1-2人のみ、という施設も多くなりそうです。
また、0-2歳児と異なり、3-5歳児は運動能力が著しく向上します。0-2歳児向けに設計された部屋で過ごすのは、体力を持て余してしまうでしょう。
3-5歳児が在籍する事により、0-2歳児の定員に影響が生じる懸念もあります。待機児童問題の解消に逆行しかねません。
法改正はメリットよりもデメリットの方が遙かに大きいと感じました。3歳以降の受入れを可能とするより、保育所の積極的な新設・連携施設(特に幼稚園)の確保により、少しずつ待機児童対策を進めていくのが多くの保護者の願いではないでしょうか。