「【ニュース】金子恵美政務官が保育園送迎に公用車→省ルールでは問題なし、今後は自粛」の続報です。

【ニュース・7/1追記】金子恵美政務官が保育園送迎に公用車→省ルールでは問題なし、今後は自粛

毎日新聞からの取材に対し、自粛した意図などを政務官本人が説明しました。

公用車 金子議員一問一答「送迎をやめるのはけじめ」

 公用車による送迎問題で沈黙を守ってきた金子恵美衆院議員は6日、電話取材に応じた。今後は公用車での送迎はしないという判断については「疑問の声に対する、政治家としてのけじめ」と説明。「いったん引くことで、堂々と主張もしやすくなる。今後、次に続く方が堂々と公用車を保育所送迎に使えるようになるための議論をしていきたい」と意図を語った

 --ルール上は問題がないなら、なぜ公用車の利用をやめるのか。

 今回の公用車の利用に関する議論は、「議員会館にある事業所内保育所への送迎に、なぜ通勤手段である公用車が使えないのか」という論点以外に、「そもそも公用車は必要なのか」「公用車に家族の同乗が許されるのか」など、別の視点からの議論も複雑に絡み合っていた。

 ルールを守って使用していたとしても「公人が特権を利用するのはいかがなものか」という疑問の声も聞こえてきた。いったん引くことで、政治家としてのけじめをつけたかった。

 --「仕事と育児の両立に必要だと利用を続けてほしかった」という声も多い。

 「公用車を保育所送迎に利用しない」という判断について、「残念」という声も届いている。でも政治家は、国民との信頼関係がまず大事。「ルールは守っているのだから」と私自身が利用を続けるよりも、いったん引くことで、堂々と主張もしやすくなる。信頼されなければ、議論を前に進めて政策につなげることもできない。

 子どもを保育所に預けるみなさんが働きやすい環境整備に向けて取り組んでいきたいという決意は変わらない。「育児中の政務官は公用車を使えない」という前例を作るために引いたわけではなく、私の次に続く方々が堂々と公用車を保育所送迎に使えるようになるための議論をしていきたい。
信頼と納得を得られるよう、丁寧な議論が必要

 --今後は送迎はどうするのか。

 臨機応変だが、これまでも家族で分担してやってきた。私が片道20分、ベビーカーを押して保育園まで行く日もあれば、夫が車で送る日、足の悪い母にお願いしなければいけない日もあった。

 公用車を使っていたのは、たまたま私の公務と保育園の送迎のタイミングが重なった時。公用車の車内なら、タクシーの中ではできないような打ち合わせの電話やスケジュールの確認もできて効率的だ。朝の10分は大変貴重だ。

 とはいえ、今回の件でルールを守っていればいいというものでもないと感じている。国民のみなさまに信頼し、納得してもらえるよう、丁寧な議論が必要だ。今後、みなさんとともに考えていきたい。

 --具体的に、どんな議論が必要だと感じているか。

 改めて「公用車で保育所送迎」という問題について考えた時、私の場合は議員会館内の保育所であるため、議員会館での公務、もしくは総務省での公務に向かう道すがらに立ち寄ることができた。しかし、もし別方向の保育所の場合はどうなるのか、介護の場合はどこまで許すのか、といった問題もある。オープンな議論が必要だ。私なりに力を尽くしたい。

育児と仕事の両立はトライ・アンド・エラー

 --総務省では育児と公務の両立が必要な要職者は初めてという。パイオニアとして、どんなことを感じているか。

 一歩一歩なんだな、と。今回のケースもそうだが、どんなに「ルール上問題ない」と言っても、女性が働きながら子育てするには、まだいろいろな困難さがある。一つ一つチャレンジして、トライ・アンド・エラーでやっていくしかないんだと思う。

 かつての日本は、24時間仕事一本で戦える企業戦士に支えられてきたかもしれない。でもこれからは、子育てをしながら、介護をしながら、病気や障害を抱えながら、活躍するという働き方改革が必要。厳密にプライベートと仕事を分ける境界線は崩れつつあるのではないか。

 私自身も、引き続きトライ・アンド・エラーを繰り返し、民間の知恵を拝借したり、政務官としてテレワークの推進をしたりしながら、率先してこれからの社会に必要な新たなモデル作りに取り組んでいきたいと思っている。

https://mainichi.jp/articles/20170708/k00/00m/040/016000c

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(7/14追記)
金子政務官が朝日新聞からのインタビューにも応じています。

公用車で保育所「やめる」の真意は 金子恵美議員に聞く(動画あり)

7月13日朝刊紙面にも掲載されています。
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週刊誌の指摘や国民からの声を真摯に受け止めて、「政治家のけじめ」として公用車による送迎を自粛するそうです。同時に、公用車による送迎等がどこまで許されるかをオープンに議論したい、という考えも語っています。

政務官は指摘を真っ正面から否定したり逃げたりするのではなく、正々堂々と受け止め、そして新たな問題提起を行っています。見事な対応だと感じます。

野党でも賛否が分かれる

公用車に利用による保育園送迎は、立場を超えて賛否が分かれています。

民進党の蓮舫代表「公私混同の感覚が絶対的に欠如している」
東国原英夫前宮崎県知事も「金子氏がベビーカーを押して一生懸命通勤する姿を見て、道行く人々は心の中で『頑張れ』とエールを送るに違いない。全国の働くママたちの励みになる。」
フローレンスの駒崎弘樹代表理事「(指摘は)三重の意味で子育てしやすい社会の実現に逆行する」
名古屋市の女性「公用車で保育園に行ける国会議員が羨ましいが、仕事との両立の為に必要だと貫き通してほしかった」
自民党の野田聖子元総務会長「批判によってその芽を摘むのではなく、金子さんを子育て世代の代表として応援できる世の中であってほしい」
民進党の柚木道義衆院議員「議員の特別扱いはダメだが、仕事と育児の両立の困難さを議員が体験することは子育て支援政策に生きる」

https://mainichi.jp/articles/20170707/k00/00e/040/320000c

そもそも問題が大きくなったのは、利用したのが「公用車」だったからです。例えば民間企業役員等が「社用車」を利用して保育園へ送迎していたら、企業内の規則等に抵触するか否かという話で終わっていました。

中央省庁では大臣・副大臣・政務官(政務三役)や局長級以上の幹部職員が公務目的で専用的に利用できるそうです。

 そもそも省庁の公用車は、大臣、副大臣、政務官をはじめ局長級以上の幹部が公務目的で使える専用の車。人目に触れてはいけない情報や書類を扱うことがあるため、通勤にも使用できる。保育所の入る議員会館には金子氏の事務所があり、金子氏は事務所内で公務を行うこともあるという。いわば事業所内保育所に、通勤手段である公用車で子どもを送迎しているのと同じことだ。

https://mainichi.jp/articles/20170707/k00/00e/040/320000c

主な論点は下記の通りです。

1.公用車の利用者は?

初めに検討すべきは「公用車の利用者」でしょう。金子政務官は「政治家」です。一方、公用車は政治家以外の幹部職員も利用できるそうです。

例えば中央省庁の局長級職員が公用車に子供を乗せ、議員会館内等の保育園へ送迎するケースは許容されるのでしょうか?

2.公用車の同乗者は?

次は公用車の同乗者です。子供なら良いのでしょうか。孫や両親はどうなるのでしょうか。子供に限るなら何歳までなら良いのでしょうか。

3.公用車の同乗目的は?

3点目は同乗する目的です。同じ子供であっても保育園へ送る、幼稚園へ送る、小学校へ送る、学習塾へ送るケースも考えられます。

4.公用車の立寄先は?

4点目は公用車による立寄先と最終目的地の関係です。金子政務官のケースでは立寄先の保育園が職場(の一つ)に併設されていました。

しかし、保育園は様々な場所にあります。途中で立ち寄れる場所か、大回りする場所か、反対方向にある場所か、どこまで許されるのでしょうか?

議論とルール作りを

私自身としては、公用車による送迎は一定のルールを設けた上で許容すべきだと考えています。金子政務官のケース(政治家・1歳児・保育園への送迎・職場と同じ場所にある保育園)は、例外的に許容されるべきケースでしょう。

公用車利用を全面的に認めてしまうと、濫用するケースが生じかねません。反対に全面禁止にすると、忙しい政治家生活と子育てを両立するのが更に困難となります。

いずれの論点も簡単に結論が出るものではありません。皆さんはどう考えますか?