衆院議員・総務大臣政務官を務めている金子恵美代議士による、公用車の私的使用疑惑が週刊新潮(2017年7月6日号)で報じられています。
しかし、公用車を利用したのは「保育園への送迎」でした。不倫疑惑で衆院議員を辞職した夫(宮崎謙介氏)とは様相が異なります。子育て中の方、どう考えますか?
国会閉会翌日の6月19日、黒塗りの車が、衆議院第二議員会館の駐車スペースに停車した。後部座席から降りた金子代議士は、小さな男児を車から降ろし、一瞬、屋内に姿を消す。再び戻ってきた際に男児の姿はなく、金子氏は再び車に乗り、霞が関へと向かった。
車は総務政務官の公用車で、男児を送り届けた先は会館の地下にある「キッズスクウェア永田町」なる認証保育所。つまり金子氏は、公用車で自分の子を保育園に送っていたのである。
「入園すらさせられずに困っているママたちから、公私混同も甚だしいとのお叱りを受けかねません」(国会関係者)
もちろん、忙しい朝につい公用車で子どもを保育園に送ってしまうこともある。だがこの日以降も公用車での送迎は続き、さらには母親を駅に送り届けるのに使うなど、私的使用は常態化しているのだ。
いうまでもなく、公用車は運転手の「人件費」を含め、全て税金で賄われている。「週刊新潮」の取材に金子氏は“公私混同しないようにしている”とした上で、母親の乗車について「(同行の)秘書官さんから『どうぞ』と言われたんです」という答え。
秘書官の所属元である総務省は、「家族を乗せること自体ダメ」「(金子氏の)運転手の日報に書かれておらず、詳細は把握していない」旨の回答を寄せた。
気になったので週刊新潮を買ってきました。
ネット上に掲載されている記事に加え、下記の様な内容が掲載されていました。
・平成29年5月から、現在1歳4カ月の長男を『国会保育園』と呼ばれる『キッズスクウェア永田町』に通わせている
・「政務官の特権を利用して保育園通園に公用車を使っているとバレたらまずいと、噂になっていた」と国会関係者
・少なくとも6月13日の朝、19日の朝9時と午後6時前、22日の午後7時、23日の朝9時過ぎに公用車で送迎していた
・秘書官(役人)が手慣れた様子でベビーカーを持ち運んでいた(写真あり)
・園は自動車送迎を認めている
・公用車、運転手、秘書官に要する経費は全て税金で賄われている
・ジャーナリストの猪熊弘子氏、漫画家の倉田真由美氏が否定的コメント
・「園への送迎は公務ではない、途中の保育園で子供を降ろす?ないです」と総務省会計課担当者
・政治アナリストの伊藤惇夫氏は「夫はどうしたのか?もっと動くべき」とコメント
キッズスクエア永田町は、2010年に衆議院第二議員会館内に開設された認証保育所です。国会等で働く子育て世帯の利用を想定しているそうです。
金子議員の他には、山尾議員(民進)も利用しているそうです(NEWSポスト)。
http://www.alpha-co.com/ks_nagatacho_shosai.jsp
https://www.news-postseven.com/archives/20160404_399456.html
永田町という超一等地の中に、広い保育室と恵まれた屋外園庭が設けられています。料金は一般的な認証保育園と同水準、3歳児以上はやや高めだと感じました。
金子議員は赤坂の議員宿舎で暮らしているそうです。議員宿舎から保育園がある衆議院第二議員会館は、約1.4kmほどの距離があります。
自転車でも送迎できる距離ですね。同議員と同じく、出勤途中に自動車で保育園へ立ち寄る方も多いでしょう。車による送迎が禁止されていない限り、自家用車による送迎は何ら問題ないでしょう。
問題は「運転手・秘書官付き公用車の利用」です。総務省の担当者は「ダメ、ないです」と指摘しています。
しかし、保育園は職場(議員会館)に併設されています。出勤する公用車に1歳の子供を同乗させ、職場・保育園へ連れて行く気持ちは理解できます。
子育て世帯からの目線では「これぐらいは許してあげても・・・・」とも感じてしまいます。特に金子議員が中心となって子育てに奮闘していれば尚更です。
が、実際はそうではなさそうです。1年前の報道によると、議員宿舎では議員・夫・実母・長男で暮らしているそうです。金子議員が公用車を使わなくても、夫や実母が保育園へ送迎できそうです。
(追記:夫は仕事がある、実母は新潟在住だそうです。訂正します。)
衆院議員・政務官は極めて忙しい仕事です。1歳の長男の子育てが重なれば、多忙を極めているでしょう。置かれた状況を踏まえると、絶対的に禁止するのは実情にそぐわないと感じます。
であれば、「公用車を利用しなければ保育園への送迎が難しい」場合に限り、例外的に許されるべきではないでしょうか(当然、ルール作りは必要です)。
しかし、同政務官は異なります。同居している夫・実母に送迎は任せられそうです。議員が送迎する時はタクシーや自家用車を利用する方法もあります。「公用車以外の選択肢がない」という状況ではなさそうです。「公私混同」と指摘されても仕方ありません。
子育てしている女性国会議員が徐々に増えています。今後は更に増加するでしょう。同種事例に備え、例外的に許される基準を明確化すべきではないでしょうか。
母親として子育てしながら、国会議員・政務官としての重責を担うのは本当に大変だと思います。今回の事案はちょっと反省し、今後も引き続いて頑張って欲しいです。
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(6/30追記)
新潮社の取材に答えられた、猪熊氏からツイッターで憤慨しています。
週刊新潮がひどすぎる。金子議員の件、火曜日の午後、突然電話でコメントを求められたので、私は「事業所内保育所なんだから問題ない」と答えましたが、再度電話をかけてきて「総務省がダメだと言っている。猪熊さんが問題ないと言っても関係ない」と。それであの記事です。ひどすぎます。
— Hiroko Inokuma (@hirokoinokuma) June 29, 2017
週刊新潮による取材に何らかの問題があったとうかがえます。
また、金子政務官がブログで事情を説明されています。
週刊新潮による公用車利用に関する記事について
一部を引用します。
総務省の考えでは、「公務を行う場所と保育園が同じ」、「総務省への経路上で家族を乗せている」ため、運用ルール上問題はないとしています。この点につきましては、総務省にご確認いただけますと幸いです。
母は新潟在住であり足も悪く、また、私自身も不規則で労働時間や休暇の決まっていない仕事であるため、お互いの状況を見ながらやり繰りしてまいりました。私がベビーカーを押して歩いて通うこともありますし、夫が自家用車で子どもの送り迎えをする場合もあります。また、夫婦ではどうにもならない場合には、母に頼み込み、東京まで出てきてもらっている形です。
私は、5月から保育所に子どもを預け始めましたが、この短期間にも、発熱した子どもを前に仕事を休めなかったり、高齢の親に頼らねばならなかったりという立場を経験し、世のご家庭はこのような思いをして頑張っておられるのかと、ひとつひとつ学ばせていただいております。
同居家族には全面的に頼れない、そして総務省の運用ルールに照らしても問題はないそうです。であれば、公用車による保育園への送迎は何ら問題ないのではないでしょうか。
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(7/1追記)
今後は公用車に子供を乗せず、タクシー等を利用するそうです。
仕事場の議員会館内にある保育所への子どもの送り迎えに公用車を使っていた金子恵美総務政務官(自民・衆院新潟4区)が、今後は公用車に子どもを同乗させない意向を示していることがわかった。高市早苗総務相が30日の閣議後会見で明らかにした。
高市氏は会見で、総務省のルールに照らして金子氏の公用車使用に問題がなかったとの認識を示したうえで「今後はお子さんを公用車に乗せることはしないと聞いている」と語った。金子氏の事務所によると、これまでも港区赤坂にある議員宿舎から、約1キロ離れた永田町にある議員会館までベビーカーを押して歩くことが多かったが、今後は公用車にはいっさい同乗させず、タクシーの利用などを検討するという。
釈然としないというか、何だかもやもやした対応です。
公私混同との指摘は避けられません。特に秘書官にベビーカーを持たせていたのが悪印象です(ついつい自然に手助けしてしまっただけ、かもしれませんが)。
が、省ルール上の問題は無いそうです。保育園は職場に併設されています。政務官の仕事は多忙を極めています。
そうした事情を踏まえると、「全面的に自粛しなくても・・・・」と感じます。指摘に対して真摯に対応した反面、過剰に反応してしまったのかもしれません。
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