大同生命が新たに建設する賃貸マンションの1階部分に、0-2歳児の保育を行う小規模保育施設が入居する事が明らかになりました。
大同生命が大阪の賃貸マンションに保育所を誘致 育児支援の取り組み広がる保険業界
保育所に所できない待機児童を減らそうと、大同生命保険は9日、同社が大阪市淀川区に建設している賃貸マンションに認可保育所を誘致したと発表した。同社の保有物件に保育所が入居するのは初めてで、今後はほかの物件でも検討するという。
建設中の賃貸マンションは地上9階建てで、延べ約2500平方メートル。平成30年に完成予定で、1階部分123平方メートルに小規模認可保育所(定員19人)が開所し、地域の子供たちを受け入れる予定。(以下省略)
http://www.sankei.com/west/news/170510/wst1705100012-n1.html
建設工事名称は「(仮称)淀川区三国本町計画新築工事」、そして入居する小規模保育は、株式会社成学社が運営する「(仮称)かいせいプチ保育園 三国園」とされています。
完成予想図から同マンションは1戸あたり約58平方メートル、合計32戸を有する賃貸物件と考えられます。典型的なファミリー向け2LDK物件となりそうです。
この地域は三国東地区土地区画整理事業が進んでいます。新大阪・三国駅に囲まれた地域です。どちらかと言えば、単身者では無くファミリー向けの住宅供給が多い地域というイメージがあります。
マンションが建設されるのは宮原中学校の少し西、トランクルームが設置されている地域の一画となりそうです。
子育て世帯・建築主・保育事業者、それぞれに大きなメリット
子育て世帯目線から考えると、住んでいるマンションの1階部分に保育施設があるのは非常に便利です。「登降園が非常に楽」という一言に尽きます。
また、建築主としては、1階部分に保育施設があるというのは強いアピールポイントになると考えたのでしょう。新婚世帯・新生児がいる世帯をターゲットにしたと推測されます。
保育施設を誘致した場合に懸念されるのは「子どもの声による騒音」です。しかし、同マンションは新築前から保育施設の誘致が決まっています。入居するのはこうした事情を踏まえた方となります。
一方、保育事業者の目線では、潜在的な顧客層が保育施設の直近に存在しているのは「選ばれやすいポイント」となるでしょう。
この地域は子どもが多い反面、保育施設の整備が追いついていません。入所するには、多くの施設でフルタイム共働きの点数が必要とされています。しかし、保育施設の整備が加速度的に進むにつれ、徐々に入所しやすく可能性は否定できません。
仮にそうした状況になったとしても、このマンションに入居する子育て世帯は、まずは1階部分の小規模保育を有力な選択肢として考えるでしょう。
マンション本体の建設段階から、保育施設向けの設計が行えるのも大きなメリットとなるでしょう。
避難経路・排泄室・調理室等、保育施設には様々な構造・設備が求められます。建築主と保育事業者が早い段階から共に検討を行うのでしょう。
入居者の優先入所制度はありません
では、このマンションに入居すれば、1階部分の保育施設へ優先的に入所できるのでしょうか。答えは「NO」です。大阪市はこうした優先入所制度を採用していません。
大阪市は大規模マンション整備に対し、運営事業者へ保育所等の整備協力を求める方針を採っています。これに対して、事業者から「マンション入居者への入所優先枠を設定して欲しい」という意見がありました。
しかし、大阪市は「認可保育所としての優先入所については、『保育の必要性』の観点から慎重な検討が必要である」としました。慎重な態度をとっています(詳細はこちらの12ページ)。
「マンションに住んでいるから保育の必要性が高い」とは言い難いでしょう。今後も難しいのではないでしょうか。