多額の不正流用が明らかになった社会福祉法人夢工房(詳細はこちら)で、今度は園児がケガを負う事故が起きました。施設点検を入念に行い、もしくは保護者からの要望に真摯に対応していれば、防げた事故でした。

2歳園児、20キロ扉の下敷き…保護者要望も、壊れたまま放置 兵庫・西宮の私立保育園

兵庫県西宮市の私立保育園で、壊れたまま放置していた重さ約20キロの扉の下敷きになり、園児がけがをしていたことが分かった。扉は事故の2日前にも外れたばかりで、連絡を受けた西宮市は運営する社会福祉法人の理事長らを口頭で指導した。

事故があったのは社会福祉法人「夢工房」(同県芦屋市)運営の「夙川夢保育園」(西宮市北名次町)。

同法人によると、6日午前7時50分ごろ、登園してきた男児(2)が触れた際に保育室の扉が外れ、下敷きになった。男児は救急搬送され、顔などに内出血の軽傷を負ったが、頭を打っているため経過観察が必要という。

扉は木枠にガラスがはめ込まれた引き戸で、以前から立て付けが悪く、4日にも外れていた。同法人の崎山泰弘専務理事は「対応が遅くなったため事故につながった。二度と起きないよう管理を強化する」としており、9日に保護者向けの説明会を開く。

男児の母親(33)は「保護者からは12月にも扉の修繕を要望していた。私も1月に『子供がけがしますよ』と言っていたのに」と話している。

同法人では運営費の不正流用問題が表面化し、昨年11月に当時の理事長らが解任されている。

http://www.sankei.com/west/news/170209/wst1702090021-n1.html

事故が起きた夙川夢保育園は阪急甲陽線(神戸線夙川駅から乗換)、苦楽園口駅と甲陽園駅の中間地点にあります。

夙川周辺は高級住宅街として人気が高い地域です。また、桜の木が多く植えられており、花見シーズンには多くの花見客でごった返す地域です。

同保育園の外観はあたかも結婚式場の様な装いです。白い柱からパルテノン神殿が思い浮かびます。系列の保育園は全て似た様な外観をしています。

記事によると、事故が起きたのは保育室の扉だそうです。こうした扉は園児・保護者・職員が頻繁に開け閉めし、酷使されています。摩耗が激しいのは仕方ないかもしれません。

下記写真はウェブサイトから引用した物です。ここに掲載されている扉かもしれません。

170209

しかし、扉に不具合があったのは保護者が認識しており、園に何度も修繕の要望をしていたそうです。保育園はこうした状況を認識しながらも適切な対応をせず、今回の事故が起きてしまいました。

安全管理に加え、保護者からの要望に適切に対応する姿勢が著しく欠けていたと言えます。一歩間違えれば、生死に関わる重大な事故が発生しても不思議ではありません。

同法人で不正流用を行った元理事長一族は全て解任・解雇されています。今回の事故に対する一義的な責任は現理事長・理事会や夙川夢保育園の職員等にあるでしょう。

敢えて保育園を擁護するのであれば、これまでの異常な保育・入れ替わりの激しい職員構成・理事長一族を巡る一連の騒動により、保育現場も大きく混乱していたのかもしれません。

保育園が理事会へ扉の修繕を要望しても、「高い」「保育士が直せ」として萎縮していたかもしれません。反対に、要望しても一連の混乱で対応が先送りされていたのかもしれません。

全ては推測です。しかし、事故の根底に元理事長一族による不正流用・萎縮して混乱する保育現場が関係しているのは間違いないでしょう。

「園児の安全」は何にも優先される事柄です。早急に運営を立て直し、適切な保育が行われるのを願ってやみません。