バス送迎、送迎ステーションの設置

報道で強調されていた内容です。具体的な内容は下記の通りです。

◆保育送迎バス事業の仕組み
・都心部に送迎ステーションを設け、都心部の児童を近接区の空枠のある保育所や学校の余裕教室、未利用施設等を活用した保育所にバスにて送迎する事業を実施する。
・保護者と送迎先保育所とで連携がとれるように、送迎ステーションと送迎先保育所は、同一法人が運営する。
・3∼5歳児をバス送迎の対象とする。
・0∼2歳児を対象とした規模の小さい保育所を送迎ステーションに併設させる。
・他法人が運営する地域型保育事業の卒園した3歳児の受け入れ先としても送迎先保育所を活用する。

送迎バスを導入している幼稚園があり、これを保育所にも広げる内容です。市内中心部の待機児童対策の一手法として利用できそうです。

心配なのは事業者の協力です。送迎用バスを所有し、保育士や保育施設に余裕があり、市内中心部に送迎ステーションを設置できる余力のある事業者がどれだけいるでしょうか。

また、保護者理解も気掛かりです。机上の理論しては問題無さそうですが、入所を申し込む保護者目線からは敬遠されるかもしれません。説明会等を入念に行い、理解を深めるのが重要でしょう。

地域型保育事業の卒園児の受入対策(幼稚園の活用及び認定こども園化)

地域型保育事業(小規模保育・保育ママ等)で心配なのは、「卒園後の預け先」です。いわゆる「3歳の壁」と呼ばれる物です。

こうした施設に対しては、卒園児の受け入れ・代替保育等に関して保育所や幼稚園等を「連携施設」とする事が求められています。しかし、連携施設が設定されているのは3割弱に過ぎません。

そこで、卒園児の継続入所・幼稚園の開所時間延長・幼稚園のこども園化等を促し、3歳児以降も安心して保育施設等を利用できる枠組みを設けたいとしています。

少しずつではありますが、幼稚園の預かり保育拡大・こども園化は進んでいます。しかし、あくまでベースは「幼稚園」です。考え方・行事・保育内容等は「保育所」と大きな違いがあるのが実情です。

幼稚園は14時過ぎに降園する児童が多くて預かり保育の児童は少ない、保護者参加が求められる平日行事が余りに多い、という話もしばしば聞きます。

言うは易、行うは難し、かもしれません。

大規模建築物等の保育所設置義務化

待機児童が多く発生しているのは市内中心部、特にタワーマンション等が数多く立地している地域です。こうした地域では1年間で未就学児が100人前後も増加する事もあり、保育所・小中学校の児童数に大きな影響を及ぼします。

こうした地域に保育所を設置したくても適した土地が少なく、仮にあってもデベロッパー等が高値で購入してマンション等を建設してしまいます。更に保育所が足りなくなります。

であれば、大規模マンション等の敷地内に保育所を併設するのが筋でしょう。市から事業者への協力要請を制度化するものです。仮に協力する場合、運営事業者を非公募(子会社等を想定?)で決定できる方針も打ち出しています。

しかし、あくまで「要請」です。事業者に協力する義務を賦課する予定はありません。「嫌だ」と言われたらそれまでです。施設整備協力金の納付」も打ち出されていません。

また、事業者からは「マンション入居者の優先入所」も求められているそうです。しかし、保育の必要性・公金投入の公平性等の観点から、実現は難しそうです。

「○○タワーマンションの入居者は、併設される××認可保育所へ優先的に入れます」と宣伝されたら、保育所入所に困っている周辺住民から区役所等へ「不公平だ」とクレームが殺到しそうです。

その為、当面は認可外保育施設として開所し、段階的に認可保育所へ移行するスキームが検討されています。ジオ新町とポポラー大坂新町園が思い浮かびました。

安全配慮の上、できる事から進めて欲しい

市内中心部を初めとして、保育所等へ入所できない児童は少なくありません。今年4月の一斉入所でも、恐らくは3000人前後の児童が入所できないと見込まれています。

保護者が必要としているのは数年後の対策では無く、いますぐの対策です。手を付けられる内容から手を付け、走りながら考えていくのも重要でしょう(行政が苦手とするパターンかもしれませんが)。

ただ、児童の安全対策だけは忘れないで欲しいです。どれだけ保育施設を拡充して保護者のニーズに応えても、そこで重大な事故が発生してしまうと全ては台無しとなってしまいます。

今後、2月の大阪市会こども教育委員会で議論が行われるでしょう。気になる方は傍聴等をしてみて下さい。