2004年には2度の園児虐待が発生
実はくれない保育所では、以前にも不祥事がありました。少なくとも過去に2回、保育士が園児へ暴行を加えてケガを負わせています。
大阪市城東区の社会福祉法人「くれない学園」が運営する「くれない保育所」で、2004年10月4日、男性保育士(29)が副担任を務めていた、年長児クラスに在籍する、6歳男児に対して暴行を加えた。
保育士は「給食時間前に、男児が中々席に着かず、ふざけているのを、注意しようとした」として、保育室内で男児の頭を叩いた。男児は、叩かれた弾みで、保育室のロッカーにぶつかり、額を打つ怪我をした。
それだけに止まらず、保育士は、怪我をした男児を手当てしなかった上、怪我のショックで、気分が悪くなった、男児に対して「吐くなら吐け」などと、更に暴言を浴びせた。
保育所側は、男児の保護者には当初、「子ども同士の喧嘩で怪我をした」と説明した。しかし、保護者の指摘で、再調査したところ、保育士の暴力が発覚。園長や保育士は、男児の家族に謝罪したと言う。
また、保育所側の調査で、この保育士が男児に対して、靴を投げつけるなどの暴力を、繰り返していたことが判明した。また、この保育士は、他の園児にも、日常的に暴行していたことも判明。
問題の保育士に関しては、保育所側は、事件発覚後の2004年10月20日から、保育現場から外して、自宅待機処分にした上、1ヶ月後の11月19日付で、懲戒解雇処分にした。2004年10月29日までに、男児の保護者は、大阪府警城東署に被害届を提出。
保育所側は、保育内容の改善書を、大阪市に提出した。大阪市は、この事件を重く見た上、「2004年6月にも、別の女性保育士が、別の園児への虐待で、依願退職している」などとして、保育実態の立ち入り調査に乗り出した。
男性保育士が園児に暴力、額に切り傷 大阪の保育所
大阪市城東区の社会福祉法人「くれない学園」が運営する「くれない保育所」(水野幸子園長)で今月4日、男性保育士(29)が男児(6)に暴力をふるってけがをさせていたことがわかった。男児の親から被害届を受けた城東署は保育士から事情を聴き、けがをさせたことを認めたことから傷害容疑で書類送検する方針。同保育所の水野誠・副園長によると、保育士は「給食時に子どもがなかなか席に着かず、ふざけていたのを注意しようとした」と話しているという。男児がけがをした理由について、保育士は当初「子ども同士のけんか」と説明。しかし、男児の母親からの指摘で、保育所が再度事情を聴いたところ、けがをさせたことを認めたという。保育士は6日、男児
の自宅を訪れて謝罪した。
同保育所の定員は230名です。園児への虐待が発生した当時の定員数は不明ですが、現在と大きくは変わらないのではないでしょうか。規模が大きく、細かいところまで目が行き届いていなかった恐れがあります。
今回の不正流用も理事会の目が行き届かなかったのが不正発覚を遅らせ、被害額を大きくした要因の一つです。
法人が設置した調査委員会は、「強力な指導監査を行わなかった大阪市にも重大な責任がある」と指摘しています(朝日新聞)。しかし、資金を私物化したのは法人の理事長一族たる元副園長です。一義的には法人内部の監査監督・内部統制に重大な過失があったといわざるを得ません。
周辺住民は実態は薄々感じていた?低い倍率・入所最低点
こうした虐待事件や不正流用等により、同保育所では十分な保育が行われていたとは言い難いのではないでしょうか。こうした実態が噂話等となり、周辺に広がっていた可能性があります。
大阪市内の保育所入所では、申込事由・世帯状況・きょうだいの存在・代替保育の有無といった内容を点数化し、点数が高い児童から入所が決定するシステムが採用されています。
大阪市から公開されているデータを元にして、各保育所・年齢毎の推定入所最低点等や第1希望倍率を当方で推計しています。
実はくれない保育所の最低点や入所倍率は、周辺にある他保育所と比べて著しく低い値となっています。異常値を示した為、何度も検算した記憶があります。
同保育所の周辺にある保育所(ゆりかご保育園・鴫野保育所・東中浜ひばり保育園)は、第1希望倍率(当該施設を第1希望とする児童/募集予定数)が1.5倍前後となっています。
しかし、くれない保育所は平成28年度一斉入所では「0.39倍」、そして平成29年度一斉入所では「0.27倍」という低い倍率でした。
通常、同じ地域にある保育所は第1希望が適度に分散し、違いは一定程度に収まります。しかし、同保育所を第1希望とする児童は著しく少なくなっていました。
入所最低点も同様です。周辺他園へ入所するには少なくとも180点以上が必要でした。一方、同保育所の推定最低点は「160点」でした。積極的に選択されていないのが数字で示されています。
後任は市OB・大阪市主体で立て直しか
登記情報によると平成28年8月3日に水野幸子理事長が辞任し、同日に岡井行雄氏が理事長に就任しています。
同氏は元大阪市職員です。平成24年3月にこども青少年局保育企画担当部長を最後に退職し、大阪市社会福祉協議会(相談センター所長)を経てみおくつし福祉会(常務理事)に就任しています。いわゆる天下りです。
こうした事件で役員等が辞任した保育所や運営法人に対し、後任に自治体の福祉部門・保育園長等の経験者が就任するのはしばしば見られます。京都市で発生した春日野園事件でも、後任に京都市OBが就任しています。
今後、大阪市が主体となって保育所・法人の立て直しを行っていくと考えられます。
最大の被害者は園児・卒園児やその保護者でしょう。本来は園児達の保育に費やされる筈だった補助金等が、元副園長の投資に使われていたのです。夢工房と同様、充実した保育が行われていなかったのではないでしょうか。
また、保育士の待遇も低く抑えられていたのではないでしょうか。離職率が高かった可能性が強いです。
私的流用した3億7000万円の内、残る3億2000万円の回収は絶望的です。登記情報によると、平成27年3月末での資産総額は約3億1400万円です。即座に債務超過へ転落する恐れがあります。どうやって落とし前を付けるのでしょうか。
現在、子どもたちが、くれない保育園でお世話になっています。本日、保護者への説明会がありそれに参加してきました。保育園のホームページから報告書などが確認出来るようになっています。
報告書で分かったことなのですが、本当に単純な手口でビックリしました。通帳の確認さえしていれば早い段階で今回の不正は分かったような手口でした。
本当になぜもっと早くに発覚しなかったのか?と思いました。
コメントありがとうございます。調査報告書を読み、要点をまとめて記事化しました。
誰も通帳を確認していなかったのが本当に驚きです。税理士・理事・監事・大阪市、するべき事を誰もしていませんでした。
保育所経営が家業化し、元副園長は園と個人のお金の区別が付かなくなっていたのでしょう。能力も資格もないのに保育所を経営できる現制度にも大きな問題があるでしょう。