社会福祉法人の経営者・創業者一族等による私的流用・不正経理が止みません。今度は大阪市城東区にある「くれない保育所」の副園長(園長・前理事長の息子)が3億7000万円を、私的な商品先物投資等へ流用したと明らかになりました。

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(12/26追記)
調査報告書が公開されました。
くれない保育所・学園 杜撰な私的流用と財テク失敗(調査報告書より)
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保育所副園長が3・7億円流用 社福法人が刑事告訴へ 大阪・城東区

大阪市城東区にある「くれない保育所」前副園長の男性(54)が、平成27年度までの14年間に運営資金3億7千万円を先物取引などに流用していたことが20日、分かった。保育所を運営する社会福祉法人「くれない学園」(同区)が発表した。法人は前副園長を懲戒解雇し、業務上横領か背任の罪で刑事告訴する方針。

同法人によると、26年10月、大阪市の指導監査で、法人の口座から前副園長の個人口座に不自然な資金の移動があると指摘を受けた。その後、前副園長が法人の資金で先物取引を行い、多額の損失を出したことを認めたという。

今年9月、法人が弁護士らでつくる第三者委員会に調査を依頼。その結果、損失額は14~27年度の14年間で計3億7千万円に上ることが分かったが、これまでに5500万円しか返済されていないという。

問題発覚後の今年8月、法人の全役員が引責辞任し、市などが推薦した福祉経験者らが新役員に就任。前副園長は、園長を務める法人の前理事長(81)の息子といい、法人は今月開いた理事会で、前副園長と前理事長に資金の返還を求めるとともに、前副園長の刑事告訴を決めた。

くれない保育所は昭和28年に開設され、定員は230人。

http://www.sankei.com/west/news/161220/wst1612200066-n1.html

またか・・・・という印象です。

くれない保育所は社会福祉法人くれない学園が運営しています。第二寝屋川にほど近い、大阪市城東区鴫野東3丁目23−12にあります。

なお、元理事長・元副園長の自宅は、保育所と道路を挟んで面している場所にあります。大きな敷地を有する一戸建て住宅です。

元副園長1人に加え、顧問税理士等が関与した可能性も

3億7000万円という巨額の不正流用です。

問題が発覚したのは、2年前に行われた大阪市による監査です。法人の通帳等を逐一確認し、不自然な資金移動を見つけたのでしょう。法人と経営者の個人口座との資金移動は、監査等で重点的に調べる項目の一つです。

3年前の古い資料となりますが、同法人の財務資料が大阪市ウェブサイトに掲載されています。

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当時は資産の大半が現預金・有価証券が占め、負債は若干の未払金があるのみでした。財務面は超優良です。しかし、当時は既に多額の資金を法人から引き出し、私的に流用していました。

では、どうして長年に渡って発覚しなかったのでしょうか。報道では、元副園長は理事会へ通帳を提出せず偽造した決算書を提出していたとされています(MBSニュース)

理事会は提出された決算書等を鵜呑みにしていたのでしょう。役員が預金残高を一行ずつ精査するとは考えにくいです。

また、コンピューターで作成された決算書を元副園長1人で偽造するのは容易ではないでしょう。あくまで推測となりますが、法人の委託を受けて決算書を作成する顧問税理士等の関与が考えられます。

通常、決算書を作成するに当たっては、金融機関の預金残高は確実な方法で確認するでしょう。決算末日まで記帳された預金通帳・金融機関が発行した残高証明書等が一例です。有価証券等であれば、証券会社が発行した証明書です。

良心的な税理士等であれば、こうした数字を逐一確認し、決算書の残高と齟齬がないか確かめます。1円でも誤りがあれば期首に遡り、原因が判明するまで繰り返し探します。

決算書を偽造するには、こうしたプロセスを回避する必要があるでしょう。経理を一手に引き受けていたとは言え、元副園長1人で偽造するのは容易ではありません。

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