H28保育所等一斉入所結果分析、地域編です。第22回は西成区を取り上げます。なお、同区に関する過去の分析記事は、「検索：西成区 分析」からご覧下さい。
分析精度の向上の為、今年から各保育所・年齢（0-2歳児）毎の「推定入所最低点」（以下「最低点」とします。）を掲載します。
在籍率は市内トップ
実は大阪市内で未就学児が最も激しく減少しているのは西成区です。平成28年4月時点では前年同日より152人も減少し、3,020人となりました。減少率が5%を越えたのは西成区のみです。
一方、福祉的措置を必要とする世帯・児童が多かった西成区では、昔から保育所の整備が進んでいました。当時は未就学児も多く、極めて多くの保育所が設置されました。少子化によって同区内の保育所は徐々に統廃合されましたが、それでも当時の名残は強く残っています。
こうした状況からか、同区の保育所在籍率は54.9%に達しています。市内平均38.7%を大きく越え、市内1位となっています。入所倍率は全年齢で1倍を割っています。平野区・大正区と並び、市内で最も保育所へ入所しやすい区の一つと言えるでしょう。
北部は41号線沿いの0-1歳児がやや入りにくい
ご覧頂いた通り、西成区では全年齢の入所倍率が1倍を下回っています。多くの保育所・年齢で申込数が募集数を下回っています。点数に関係なく入所できる状況です。しかし、一部の保育所等は申込数が多く、点数によって選考が行われています。
たとえば長橋第2保育所では0歳児最低点が200点と推定されています。募集数3人に対して、毎年多くの第1希望が集まっています。1歳児も第1希望が少なくありません。
同保育所がある区最北部には他の保育所がありません。周囲には市営住宅が多数あります。その為、この地域に居住している方は、必然的に同保育所を第1希望としているのでしょう。
松之宮保育所も似た状況です。同保育所の西側・北側は、広範囲に渡って保育所がありません。交通網や商業施設等の配置を踏まえると、鶴見橋中学校区に住んでいる方の多くは長橋第2保育所か松之宮保育所を第1希望としていると推測されます。
同保育所へ入所するには高い点数が必要です。0歳児201点・1歳児170点・2歳児180点だと推定されます。0歳児の多くは兄姉が在籍している児童で決まってしまうでしょう。
以前はこの地域に市営住宅に併設される形で多くの保育所がありました。しかし、子供の減少等により、徐々に保育所の統廃合が行われてきました。
西成区全体で見ると入所倍率は低くなっています。しかし、この地域（特に長橋小学校付近）に住んでいる一部の0-1歳児は、やや遠方にある保育所へ通わざるを得ない状況になっていると考えられます。
逆に多くの保育所では3-5歳児に大きな空きが生じています。3-5歳児定員を現実に即した形へ削減し、代わりに0-1歳児の保育人数を増やす等の対策が求められそうです。
南部は地下鉄玉出駅に近いほど入所しにくい
一方、玉出駅を中心とする南部はやや異なって傾向が生じています。地下鉄玉出駅前に近いほど入りにくく、離れるに従って徐々に入所しやすくなる傾向があります。
最も入所しにくいのは、同駅前にある玉出西保育所です。0-1歳児190点・2歳児160点となっています。どんぐり保育園・千本保育所・聖化保育園と離れるに従い、最低点が少しずつ下がっていきます。
玉出西保育所と並んで入所しにくいのは玉出東保育園です。区内で最も第1希望倍率が高くなっています。周囲に他の保育所が無く、南海各線・阪堺電車が利用できる利便性があります。
入所するにはやや高い点数が必要です。1歳児は2倍・190点、そして2-3歳児は多くの第1希望があるにも関わらず募集予定人数は0人です。阿倍野区内からの入所者も一定数がありそうです。
例外的なのは南津守保育所です。同地域では幼稚園が廃止されて3-5歳児の募集数が増えている一方、保育所0-2歳児の募集人数は変わっていません。0-1歳児の申込人数が年々増加しています。H28一斉入所では0歳児180点・1歳児190点となりました。
東部は保育所少ない・阿倍野区からの入所も現実的
最後に地下鉄四つ橋線より東側の東部地域を見てみます。実は西成区内の保育所は中部に偏在していて、地下鉄四つ橋線より東側の地域には殆どありません。
既に紹介した玉出東保育園を初めとして、この地域は保育所へ入所するのが困難な阿倍野区に接しています。
大阪市は他区にある保育所であっても、居住区と同様の選考基準で入所判定が行われます（東京23区との大きな違い）。つまり、阿倍野区に住んでいる方にとって、西成区東部にある保育所も候補となり得ます。
具体的には山王保育所・天下茶屋保育所・玉出東保育園です。阿倍野区と西成区では高低差が大きく、坂の移動が大変でしょう。しかし、保育所の選択肢は大きく広がります。阿倍野区で保育所に入れないと嘆いている方は、西成区内の保育所もご検討下さい。
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次回以降は東住吉区（特に阿倍野区との関係、10/8予定）・城東区（10/11予定）・住之江区を掲載していく予定です。リクエスト等があればコメント・問い合わせからお寄せ下さい。
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なお、平成29年度保育所等一斉入所申込書は9月16日（金）から配布、申込受付は10月3日（月）～10月17日（月）までとなっています（詳細はこちら）。
平成29年4月からの入所を希望される方は、この期間内に確実に申込手続を終えて下さい。
