地域別の対応策は?

では、地域別の取りうる対応を考えてみます。

最も厳しいのは西区・天王寺区でしょう。オフィスビルが少なく、タワーマンションが多数あります。西区は民営化後の堀江幼稚園(こども園)の保育定員の増大・なにわ筋沿いのオフィステナントへの入居・靫公園内への保育所設置が考えられます。

天王寺区は筆ヶ崎地区再開発地域内に保育所を全く設置しなかったのが大きな問題です。何も考えていなかったのでしょうか。今からでも敷地内の空きスペース・ひろば等に保育所を設置すべきです。市営住宅を一部利用する方法もあります。

また、男女共同参画を目的とするクレオ大阪中央館の上層階を改装して転用する方法もあります。施設の趣旨に合致します。

浪速区は湊町貨物駅跡地で著しい保育所不足が生じています。再開発計画に「保育所」という文字が無かったのでしょう。ただ、近隣の再開発地域外は空き地(駐車場)が少なくありません。賃料・土地価格さえ見合えば、何とかなりそうです。

淀川区は宮原・三国の再開発地域が課題です。また拠点たる新大阪駅西側に保育所がありません。三国地域再開発地域内で保育所をできれば良いのですが。新大阪駅西部はニーズがあるのですがビジネス街という意識が強すぎるのか、なかなか保育所が設置されません。

城東区は待機児童数が多いですが、申込者・未就学児人口が市内2位と多い為です。保留率は相対的に低く、在籍率は高い区です。保育所が足りているわけではありません。入所最低点が高い保育所が多い、国道1号線沿線に絞った対策が望まれるでしょう。

阿倍野区は保育所を殆ど公募せず(ここ数年であい保育園昭和町のみ)、幼稚園のこども園化を図って難航しています。保育所の新設に重点を置くべきでしょう。幼稚園が多く、保育所が足りていません(なお住吉区も同傾向)。

北区は小学校跡地への設置が考えられます。民間事業者へ売却する際にも、附帯条項を設けるべきでしょう。扇町公園内にも設置できそうです。

中央区は難しいです。難波宮跡公園周辺の公有地が利用できないものでしょうか。は今後はオフィステナント型の保育所が増えるのではないでしょうか。また、市立南幼稚園のグラウンドとして専ら利用されている芦池小学校跡地が活用できそうです。

また、これら以外でも都島区・住吉区・西淀川区・福島区・旭区は保育所が不足している傾向が強いです。

最後は予算とやる気、子育て世帯の声を聞いて欲しい

待機児童問題は解決が不可能な問題ではありません。極論を言うと、予算とやる気があれば何とかなる問題です。そして、解決方法はおおよそ見えています。

また、対策会議を行うのであれば、それに付随する形で、子育て世帯(特に入所保留中)の声を聞く機会を設けるべきでしょう。一時期より風通しが良くなったとはいえ、未だに子育て世帯が行政へ意見を伝える機会は乏しいです。

区単位であれば開催は容易でしょう。区長や子育て担当職員に対して保育所不足・子育てでの不便さ・要望等を伝える機会があれば、行政・市民、双方にとって有意義な物となるでしょう。

なお、「規制緩和による定員数の増大・無資格者による保育」は避けて欲しいです。現在ですらやや詰め込み気味だと感じる場合が少なくありません。保育事故が有意に増加するのは明らかです。