【H29.4.1開所予定】新設保育所の設置・運営事業者の公募が始まりましたにて、平成29年度に18カ所の保育所新設を予定しているとお伝えしました。
しかし、思う様に事業者の応募が集まっていません。応募があったのは半数の9カ所に過ぎない状況です。再募集を予定しているとは言え、18保育所の新設計画が暗礁に乗り上げようとしています。
募集一覧・予定定員
行政区 募集番号 募集定員 応募事業者数 北 区 ① 60人以上 1 ② 70人以上 1 都島区 ③ 50人以上 0 ④ 70人以上 0 福島区 ⑤ 80人以上 0 此花区 ⑥ 80人以上 0 中央区 ⑦ 60人以上 2 ⑧ 70人以上 1 ⑨ 80人以上 1 西区 ⑩ 50人以上 0 ⑪ 60人以上 0 ⑫ 80人以上 0 天王寺区 ⑬ 50人以上 1 ⑭ 60人以上 0 西淀川区 ⑮ 70人以上 0 旭区 ⑯ 70人以上 1 城東区 ⑰ 80人以上 1 鶴見区 ⑱ 50人以上 1
難航する原因は敷地不足か?
これによると、最終的な応募が無かったのは都島区(2カ所)・福島区・此花区・西区(3カ所!)・天王寺区(2カ所中1カ所)・西淀川区です。
これらの区はいずれも待機児童問題が深刻な地域・年齢があり、保育需要に応じられるだけの保育所等が整備されていない状態です。保育所に適した敷地やオフィスがない、保育に必要な保育士を採用する目処が立たない、建築費が急騰している、といった理由が想定されます。
一方、待機児童問題が深刻な北区・中央区では募集数に見合う応募がありました。両区は市内随一のビジネス街を有しているのが特徴的です。区内に園舎を新築できる土地が少ないとしても、保育所へ転用しやすいオフィスビルは少なくないでしょう。応募がなかった区との大きな違いです。
応募が無かった区では改めて再募集を行う予定とされています。しかし、当初予定していた平成29年4月の新設は間に合わない可能性が高いでしょう。平成29年度の上半期、もしくは平成29年10月開所となると推測されます。
影響が最も大きいのは、保育所入所が市内で最も難しい西区でしょう。3カ所の新設を予定していたにも関わらず、応募が1件もありませんでした。個別にご相談頂いた方には「平成29年度新設保育所が選択肢の1つ」とお伝えした例もありました。仮に西区で平成29年4月新設保育所が無ければ、保育所へ入所するのは更に困難となる可能性が高いでしょう。
人口増加が著しい市内中心部
先日、平成27年度国勢調査の速報結果が発表されました(詳細はこちら)。これによると、ここ5年間で人口増加率が高いのは中央区(18.2%)・浪速区(12.8%)・北区(12.0%)・西区(11.3%)・天王寺区(8.4%)でした。
上位5区はいずれも都心部に位置し、保育所へ入所するのが困難な地域ばかりです(浪速区西部・南部を除く)。これらの区では、フルタイム共働きであっても0歳児入所が保留となるケースも発生しています。1歳児入所は何らかの加算点が無い限りは困難です。
子育て世帯向けのマンションを計画するのであれば、計画人口に見合う保育施設・教育施設の整備も同時に進めるべきでしょう。これら施設が不足するのが明白なのにファミリーマンションを新築して転入を促すと、そのしわ寄せは子供に掛かってしまいます。
未利用公有地・マンション敷地の活用を
市内中心部といえども未利用となっている公有地は少なくありません。廃校となった小学校は典型的でしょう(児童数回復で再開する可能性もありますが)。公有財産データベースから調べられます。
また、マンション等を新築する際に保育施設を併設した場合は容積率の優遇措置等を設ける事により、必要な敷地を生み出す方法も考えられます(既に検討済みでしょう)。
応募状況を見る限り、敷地さえ確保できれば保育所設置が更に進む可能性が感じられます。更なる対応が求められます。