平成28年度保育所等一斉入所申込状況分析、第18回は「急ぎで!」というリクエストにお応えして東住吉区を取り上げます。

※10月28日に発表された数字に基づています。

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昨年と比較して入所倍率が0.3倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.3倍以上減少した箇所は水色で、入所倍率が2倍を超えている箇所は赤で表示しています。
なお、申込があるにも関わらず募集数が「0人」の箇所は、便宜的に倍率を99.99倍としています。

南部と北部で状況が大きく異なる東住吉区

東住吉区はどちらかと言えば保育所へ入所しやすい区です。特に針中野駅より南側の地域は入所しやすい状況です。殆どの保育所で入所基準点・入所者平均点は低く、フルタイム就労に満たない勤務時間・選考点数であっても入所できる保育所が多いでしょう。平野区に近い状況です。

一方、針中野駅より北側の地域は一転します。乳児クラスを中心に倍率も高く、入所するのに必要な点数も低くありません。保育所へ入所しにくい阿倍野区と似た状況です。同区からの入所申込者も少なくないでしょう。

0歳児申込数が急増・入所倍率が跳ね上がる

H28一斉入所において東住吉区で大きく状況が変わったのは「0歳児申込数の急増」です。昨年は101人だったのですが、今年は141人へと40人も増えました。入所倍率も0.81倍から1.10倍へと急騰しています。

では具体的にどの保育所で増えたのでしょうか。湯里保育園(+12人)、認定こども園今川幼稚園(+9人)、めぐむ保育園(+8人)、城南学園保育園(新設、+8人)、育和白鷺学園(+6人)へ集中しています。内、今川(今川駅)・めぐむ(田辺駅)・育和白鷺(東部市場前駅)の3保育所は区北部の駅前に集中しています。

つまり、「鉄道駅を利用して市中心部へ通勤したいと考え、0歳児の申込が利便性の高い駅前保育所へ集中した」と推測されます。育休明けの方が多そうですね。フルタイム共働き世帯が少なくないでしょう。

1歳児募集数が急増・入所倍率急落

0歳児と対照的なのは1歳児です。募集数が約70人も増えました。入所倍率は市内最低クラスの1.06倍です。 新設の城南学園保育園を中心に、多くの保育所で満遍なく募集数が増加しています。

これにより、東住吉区は0歳児入所倍率よりも1歳児入所倍率の方が下回っています。殆どの区・自治体で0歳児入所より1歳児入所の方が遙かに困難で、東住吉区は珍しい状態です。また2歳児入所倍率も低めです。

全国的に1-2歳児入所が困難であり、0歳児入所を事実上促進してしまっている部分もあります。1-2歳児入所を容易にすると急いで0歳児入所を検討する必要性が乏しくなり、小さな子供とより長く一緒に過ごせるようになるかもしれません。「0歳児入所枠の削減、1-3歳児入所枠の増大」は検討に値するでしょう。

一部保育所へ第1希望が集中

区内を俯瞰すると、入所倍率が高い保育所・クラスと低い保育所・クラスが極端に別れています。2歳児の場合であれば、多くの保育所で募集数の2倍以上の第1希望申込が集まっています(表中で赤い部分)。一方、第1希望申込数が募集数を大きく下回る保育所も珍しくありません。一部の保育所へ第1希望が集中しています。

東住吉区で最も入所倍率が高かったのは、区東部にある湯里保育園でした。同保育園は年々入所倍率が高まり、今年は遂に4倍を超えました。0-3歳児まで満遍なく高いのが特徴的です。特に0歳児入所倍率4.25倍は屈指の高さです。入所者平均点・入所基準点も高く、入所するにはフルタイム共働きや準ずる点数が必要になりそうです。

長居公園通以北・近鉄南大阪線以東には同保育園しかありません。この地域の児童が殺到しているのではないでしょうか。平野区内にあるカリーノ保育園・西喜連保育所も入所するのは容易ではありません。

次に高いのは東住吉区役所横にある新生保育園です。毎年高く、今年は2.75倍でした。特に1-3歳児に多くの申込が集まっています。入所に必要な点数は湯里保育園以上に高いでしょう。阿倍野区内からの申込も少なくないと考えられます。

入所倍率がほぼ倍増したのが認定こども園今川幼稚園です。0.72倍から1.50倍になっています。今川駅に近く、田辺駅も利用できます。認定こども園という新しい施設が、少しずつ認知されてきたのではないでしょうか。

入所倍率が急落した保育所には理由があります

反対に入所倍率が急落したのは今川学園・北田辺保育園・矢田北保育園(旧矢田第1保育所)です。今川学園は1-2歳児募集数を大きく増やしたのですが、申込数が逆に減少しています。鉄道駅の中間地点にあるので、鉄道利用者は第1希望に選びにくいかもしれません。

北田辺保育園も同じく1-2歳児募集数を大きく増やしたのが原因です。天王寺駅や阿倍野区にも近く、利便性は高い地域でしょう。周囲の保育所から北田辺保育園へ第1希望を変更する児童が少なくないかもしれません。

矢田北保育園は民営化によって募集数が増えた一方、多くの児童が長居公園通沿いに新設された城南学園保育園を第1希望としたのが原因でしょ。近隣の矢田第3保育所・天宗東住吉園も第1希望を減らしています。

保育大学が保育所を設立!

照が丘矢田2丁目に設立される城南学園保育園は、大阪総合保育大学を運営する学校法人城南学園が運営する保育所です。将来の保育士や保育研究者を養成する高等教育機関に併設される保育所は、大阪市内で他に例がありません(幼稚園はありますが)。充実したスタッフと設備が期待できます。

次回の予定

今度こそは天王寺区、その後は住之江区・東淀川区・港区を予定しています。何とか12月4日の申込変更期限までに掲載したいと考えています。

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