3月13日で可決された予算案等に基づく、大阪市内の幼稚園・保育所等の保育料が正式に発表されました。
市立幼稚園・私立幼稚園(新制度)
(市立幼稚園在園児及び平成27年度の新入園児は、経過措置として卒園まで現行水準と新制度保育料を比較して低い基準を適用します。)
【保育所等】
予算案として2月市会へ提出された案と比較すると、D9階層(市民税所得割課税額217,000円未満)以下では変動無し・D10階層以上での変動額は予算案通り(但し変動額の上限を2,000円とする)、という点が変わっています。
低~中所得者の保育所は従前のままである一方、高所得者(イメージとしては年収1,000万円以上)の負担額は従前より軽減されています。
これは3-5歳児の従前の保育料が公定価格の基本単価分を上回ってしまい、その水準まで引き下げた為です。
大きな影響を受けるのがD10からD12階層です。
特にD10階層は6年間の負担額が合計141,600円も増加する計算です。
この3階層へ負担増が集中し、結果的に保育料の負担水準は高所得者層と大差がなくなってしまいました。
【市立幼稚園・私立幼稚園(新制度)】
当初予算案と比較し、市民税所得割課税額が77,100円を超える階層での4歳以上児の保育料が軽減されています。
市立幼稚園に限ると、市民税所得割が課税されている世帯はもれなく保育料が増額されます。
但し、経過措置として、既に在園している児童及び平成27年度の新入園児は、卒園まで現行水準と新制度保育料を比較して低い基準が適用されます。
【感想】
2月市会での審議を経て、当初予算案よりも引き上げ幅が大きく圧縮されました。
塾代助成事業拡充への財源の転用・更なる市税の投入等が行われた結果です。
教育こども委員会では全ての会派が当初案に慎重ないし否定的な態度を示しており、財源面も手当てしやすかった為ではないでしょうか。
ただ、個別に見ていくとやや疑問が残る箇所があります。
やはり保育所等の保育料につき、D10-D12階層へ負担が集中してしまったのは引っかかります。
また、公定価格の基本単価分との兼ね合いがあるにしろ、高所得者の保育料は引き下げられています。
3-5歳児の保育料を大阪市以上の金額に設定している自治体もあり、「公定価格の基本単価分」とは何なのかが気になる所です。
高所得者では0-2歳児1人の保育料よりも、4歳児以上&0-2歳児を同時に預けた保育料の方が安くなると推測される現象も解消されていません。
応能負担ではありますが、やや不公平感が残る箇所があるのは否めないでしょう(完全に解消するのは困難ですが・・・・)。
市立幼稚園については、経過措置が平成27年度新入園児にも適用される変更が大きいです。
平成26年度入園を申込みながら抽選等によって入園できなかった児童に配慮した形です。
8月に発表された素案と比較すると更なる引き上げとなっていますが、少なくとも在園児・平成27年度の新入園児にとって不利益とはなっていません。
昨年10月の申込時では新入園児への経過措置の適用は発表されておらず、2月市会での議論を経て、家庭の負担額は当初想定より大きく引き下げられました。
半面、平成28年度以降の新入園児は影響を受けます。
市立幼稚園は保育料が安いというメリットが薄くなり、より近い条件で私立幼稚園等と比較検討されます。
私立幼稚園等の様に積極的な広報発信を行って市立幼稚園の魅力を主張しなければ、新入園児は更に減少するでしょう。
市立・私立各幼稚園のホームページを比較するだけで、情報発信に対する姿勢の違いが一目瞭然です。
それにしても、保育料表が決定後かつ新年度の2週間前にようやく公開されるとは、余りに遅すぎます。
同様の指摘は市会でも多数を行われました。
確定申告も終わり、ようやく来年度以降の保育料が推計できそうです。