2026年度保育所等一斉入所申込状況分析、第8回は城東区です。
※10月28日に発表された数字に基づきます。保育士等優先利用数は申込者数に含んでいます。


昨年と比較し、入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.1倍以上減少した区は水色、また入所倍率が2倍を超えた箇所は赤で表示しています。
一部保育所等に第1希望が集中、1歳児は200人が保留見込
城東区は大阪市内で保育所等への入所申込数が最も多い区です。最も少ない浪速区の4倍以上が申し込んでいます。面積の広さに加え、利便性や子育て環境の良さが評価されているのでしょう。市内で人口密度が最も高い区です。
申込数は前年より20人増の1139人、募集数は33人減の993人でした。全年齢を通じての入所倍率は1.09倍から1.15倍へと上昇しました。大阪市全体の平均値1.01倍を上回っており、やや入所しにくい区となっています。
昨年と比べて大きく変わったのは1歳児です。申込数が21人増の565人、募集数は41人減の376人、入所倍率は1.30倍から1.50倍へと上昇しました。市内で5番目に高い値です。残念ながら200人前後の1歳児が入所保留となる見通しです。極めて深刻です。
申込数が増えたのは景気回復や第2子保育料無償化が影響していると考えられます。募集数は昨年より数人程度を減らした保育所等が十数カ所もあり、全体としては大きな募集減となりました。
城東区は広く、保育所等も広範囲に散在しています。そうした地理的状況下では、多くの第1希望が集まる保育所等とそうでない保育所等に二極化しがちです。
全年齢を通じた入所倍率が2倍を超えたのは、東中浜ひばり保育園(緑橋駅)・森之宮保育園(森ノ宮駅)・成育児童センター(野江駅)・関目聖マリア幼稚園(関目/関目成育駅)・がもうこども園(蒲生四丁目)・トレジャーキッズてんのうでん保育園・AIAI NURSERY 鴫野駅前(鴫野駅)でした。括弧内には徒歩5分以内にある最寄駅を記しています。
見て分かる通り、入所倍率が2倍を超えた全ての保育所等の最寄駅はバラバラです。全く重複していません。多くの駅では周辺に複数の保育所等があり、その中に一つに第1希望が集中している構図です。
例外はトレジャーキッズてんのうでん保育園です。同園は駅からやや離れた場所にあり、一見して第1希望が集まりにくいように見えます。
しかし、同園の南部や東部には保育所等が全くない地域が広がっています。永田地区や東中浜地区北部には保育所等がありません。第二寝屋川や平野川を越える必要があるとしても、自転車を使えば短時間で辿り着けます。道も平坦です(但し川が近すぎて少し怖く感じた場所もある)。
こうした地区に保育所等が新設されると救われる、多くの子育て世帯は助かるでしょう。
区内で最も北にある関目聖マリア幼稚園や関目中央保育園では、旭区からの入所申込者が少なくないと考えています。旭区は大阪市内で最も入所倍率が高く、保育所等の設置場所にも偏りがあります。
【2026保育所等一斉入所申込分析】(4)旭区/入所倍率1.38倍は市内ワースト、深刻な保育所等不足と偏在
旭区南部からは国道163号線や都島通を越え、城東区内の保育所等へ登園した方が利便性が高い地域も多いです。城東区の方は困惑してしまいますね。
1歳児の第1希望は慎重な判断を
年齢別に見ていきます。
0歳児入所倍率が2倍を超えたのは、成育児童センター・野江まつのはな保育園・がもうこども園・トレジャーキッズてんのうでん保育園でした。
保育士等優先枠を利用した申込みがある保育所等もあり、見た目以上に入所しにくくなっています。フルタイム共働きであっても入所保留となる可能性があります。
深刻なのは1歳児です。約200人が保留見込なのに加え、第1希望が6年保育を行う保育所等の一部に集中しています。3年保育を行う地域型保育事業、6年保育を行う保育所等、第1希望が集中する6年保育、三極化が生じています。
入所倍率が3倍を超えたのは、東中浜ひばり保育園・今福南保育所・森之宮保育園・もりのこルーム・野江まつのはな保育園・関目聖マリア幼稚園・大阪信愛学院保育園・がもうこども園・関目中央保育園・AIAI NURSERY 鴫野駅前でした。何らかの加点がなければ入所するのは難しい保育所等が多くを占めています。
特に厳しいのは、入所倍率が著しく高く、一部に保育士等優先申込もある、森之宮保育園・関目聖マリア幼稚園・大阪信愛学院保育園・がもうこども園・AIAI NURSERY 鴫野駅前です。フルタイム共働き+きょうだい加点でも楽観できないぐらいです。
難しい判断を迫られるのは、申込者の多くを占めるであろうフルタイム共働きで加点がない世帯です。高倍率の保育所等を第1希望としても内定とならず、第2希望以下では希望順位の差で保留となりかねません。
「どうしても1歳児クラスで保育所等へ入所したい」との意向が強いのでしたら、相対的に第1希望が少ない保育所等へ希望を変更するのも一案です。
1歳児申込数565人の内、入所内定するのは多くとも376人です。申込者の約3分の1、200人程度は保留となってしまいます。何を優先するかは家庭毎の価値判断です。
著しい偏りが生じているのが2歳児です。入所倍率は1.28倍と市内平均(1.25倍)と近接した数字ですが、一部の保育所等に第1希望が殺到しています。
入所倍率が3倍を超えたのは、すみれ保育園・森之宮保育園・関目聖マリア幼稚園・がもうこども園(募集1人に優先枠あり)でした。
一方で入所倍率が1倍を大きく下回り、10人近くを募集するのに第1希望がいない保育所等もあります。設置場所や保育内容といった様々な理由があるにしろ、子育て世帯から真っ先に選ばれる保育所等とそうでない保育所等に二分されています。
3歳児クラスもやや注意が必要です。募集数97人の内、24人がゆめの樹保育園となっています。
同園は鯰江公園と鯰江南公園の間という立地環境に恵まれた場所にあり、極めて多くの園児を募集する予定としています。園児数は市内最大級です。区全体での募集数を上積みする効果はありますが、反対に同園を除いた入所倍率は高くなってしまいます。城東区での保育所等の入所が見た目より厳しい一因です(同園に何らの責任がありません)。
2歳児から3歳児へ進級する際、保育所等から幼稚園へ入園する児童は少なくありません。3歳児クラスの最終的な募集数は中間発表時を上回るのが常ですが、地域型保育事業の卒園児であっても他の保育所等へ入所出来ない事例もあります。
城東区は保育所等が著しく不足しているのが実情です。200人程度の1歳児が入所出来ないのは異常事態です。人口密度が高く、保育所等を新設する用地が見つかりにくいという事情もあるのでしょう。
また、同区は他区以上に第1希望が集中する保育所等とそうでない保育所等が鮮明に分かれています。各家庭はあくまで第1希望を維持するか、柔軟に考えるか、難しい判断に迫られます。
今後の予定&運営支援のお願い
今年も各区毎の申込状況等を分析し、様々な情報等を掲載する予定です。次回は都島区・西区を予定しています。
「○○区の情報を早く知りたい」「××保育所は昨年より入りやすいの?」等のリクエストがありましたら、記事へのコメントや問い合わせからお寄せ下さい。
皆様に運営支援へのご協力もお願いしています。必要な育児・生活・事務用品等がありましたら、
