2026年度保育所等一斉入所申込状況分析、第3回は東淀川区です。

※10月28日に発表された数字に基づきます。保育士等優先利用数は申込者数に含んでいます。


昨年と比較し、入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ、逆に0.1倍以上減少した区は水色、また入所倍率が2倍を超えた箇所は赤で表示しています。

阪急上新庄駅・下新庄駅の周辺保育所等に第1希望が集中

東淀川区の申込数は前年より57人減の946人、募集数は57人増の846人となりました。入所倍率は1.27倍から1.12倍へと下落しました。0歳児・2歳児申込数が減少し、2歳児募集数が増加したのが主な要因です。

昨年に引き続き、今年も入所が難しいのは1歳児です。募集数はほぼ横ばいでしたが、申込数が16人増の466人となりました。入所倍率は1.45倍から1.52倍へと上昇しました。今年も150人以上の1歳児が入所出来ず、深刻な待機児童問題・入所保留児問題が発生すると考えられます。

同区は保育士等優先申込の利用者が多いのも特徴的です。0歳児10人・1歳児17人・2歳児5人・3歳児1人が利用しています。希望する保育所等の申込人数を確認する際、優先利用の人数も同時に見て下さい。

全年齢を合算した入所倍率が2倍を超えた保育所等は8か所あります。アートチャイルドケア東淀川・下新庄保育所・菅原保育園・風の子保育園・グローバルキッズ上新庄園・小松保育園・おうち保育だぐまんま・ことり保育園です。これらの保育所等は上新庄駅や下新庄駅の周辺地域に集中しています(アートチャイルドケア東淀川を除く)。

大阪の中心地たる梅田へ直通する阪急沿線、とりわけ同区の中心に位置する両駅に人口流動は集中しがちです。両駅近辺、もしくはやや離れた地域から両駅へ自転車で移動する子育て世帯にとって、こうした地域にある保育所等を第1希望とするのが自然な考えです。

ことり保育園や下新庄保育所には特殊事情もあります。ことり保育園はローレルスクエアOSAKALINKマンション内に設置されており、同マンションの居住者が優先的に入所できる保育所等とされています。

【2025保育所等一斉入所申込分析】(10)東淀川区/市内最悪水準の入所難、マンション居住者優先入所は倍率4倍

下新庄保育所はことり保育園の卒園児が優先的に入所出来る保育所等に指定されています。両園は同一法人が運営しており、事実上一体的な運用が行われていると考えられます。下新庄保育所の3歳児募集予定数が「0人」となっていますが、優先入所枠は除外した数字なのかもしれません。

また、深刻な待機児童問題に対応すべく、菅原天満幼稚園(認定こども園)を運営する学校法人菅原天満宮学園が保育所等を続々と開所させています。

これまでに菅原天満くすのき保育(企業主導型保育)・菅原天満さくらのき保育園(小規模)・菅原天満うめのき保育園(小規模)を設置し、2026年度からは菅原天満かえでのき保育園を開所します。

それでも上新庄駅や下新庄駅周辺の保育供給は全く足りていません。両駅から離れるとやや入所しやすくなりますが、そもそも区全体で保育所等が著しく不足しています。

これに加え、同区は保育所等以外の保育の場所が限られています。市内中心部には数多くの企業主導型保育や認可外保育施設があるのですが、住宅密集地が多い同区には少ないです。保育所等に入所出来なかった場合の選択肢が限られてしまうのです。

交通利便性が高くて地価が比較的安い地域なので、少子化の影響は小さいと考えています。保育需要の高止まりは続きます。阪急やJRが利用出来るので、高校以降の通学にも便利です。府立高校の学区撤廃や私立高校授業料無償化の全国拡大によるメリットを強く受ける区です。

1歳児は深刻な入所難、一部保育所等は異常な高倍率に

年齢別に見ていきます。0歳児入所倍率は昨年より下がったのですが、依然として0.87倍という高い水準で推移しています。

2倍を超えたのは、井高野第三保育園・菅原保育園・日之出保育所・風の子保育園・菅原天満保育園・フェアリールーム上新庄園・おうち保育だぐまんまでした。きょうだい加点がある方は概ね大丈夫でしょうが、点数がフルタイム共働き(200点)を下回る方は注意が必要です。

ここ数年の間に入所希望者が顕著に増加した保育所等の一つが、新大阪駅の東にある日之出保育所です。駅前に広大な敷地や充実した施設がある保育所ですが、子育て世帯からは地域性等を敬遠されがちでした。しかしながら新大阪駅周辺地域の再開発を受け、この地域では子育て世帯が目に見えて増えているそうです。

0歳児での入所希望者は概ね希望する保育所等へ入所出来る見通しです(第1希望は難しいケースもありますが)。一方で2次調整や年度途中入所は厳しいと予想しています。多くは1次調整で充足してしまうからです。

深刻なのは1歳児です。入所倍率が3倍を超えたのは、下新庄保育所(5.14倍)・上新庄保育園(4.67倍)・淡路保育園(6倍、保育士等優先申込あり)・南江口保育所(3倍)・風の子保育園(3.83倍)・グローバルキッズ上新庄園(9倍)・小松保育園(10.2倍、第1希望51人)・グローバルキッズ東淡路園(3.5倍)・おうち保育だぐまんま(3倍)です。

これだけ入所倍率が高くなってしまうと、何らかの加点がない児童が入所するのは著しく困難となります。申込者の中に保育士等優先利用の該当者がいると、実質的な倍率は更に上がります。淡路保育園は募集予定1人に対して保育士等優先申込があるので、0歳児クラスから退所者が生じない限りはそれ以外の第1希望者が入所出来る見通しはありません。

より厳しいのは小松保育園です。1歳児第1希望51人という数字は過去を遡っても見た覚えがない数字です。過去最高の第1希望者数かもしれません。これに加え、何と3人が保育士等優先申込を行っております。つまり、実質的には募集予定2人に48人が第1希望として申し込んでいる状態です。実質倍率24倍です。

これほどの数字となると、フルタイム共働き+きょうだい加点があっても安心できません。何らかの加点がない児童がまず入所出来ません。第1希望の変更をお勧めします。

他の保育所等へ希望を変更する方が続出すると、周辺他園の入所動向にも影響を及ぼします。上新庄駅周辺地域の保育事情は極めて深刻です。同駅周辺で1歳児入所を希望している方は、慎重に慎重を重ねて検討して下さい。コロナ禍以降、これだけ深刻な地域は珍しいです。

2歳児の入所倍率も1.51倍と高く、1歳児と同程度の水準となっています。ただ、1歳児の様に一部の保育所等に集中せず、様々な保育所等に分散しているのが特徴的です。

倍率が3倍を超えたのは、アートチャイルドケア東淀川・認定こども園聖愛園・豊里第2保育所でした。いずれも募集予定数が1-2人と少ない為です。

注意が必要なのは募集予定が無い保育所等を希望している児童が少なくない点です。たとえばともしび保育園(地域特性等は日之出保育所と共通)は募集予定がありませんが、8人が第1希望として申し込んでいます。特段の事情が無い限り、大半は周辺他園(淀川区内を含む)に第1希望を変更するでしょう。となると、周辺他園を希望している他の児童に影響が生じます。

3歳児入所倍率は年々上昇し、今回は1.61倍に達しました。申込者が年々増加しているのが主な理由です。対策に偏りがある区もありますが、東淀川区は保育所の新設・幼稚園からこども園への移行・地位鋳型保育事業の新設といった手法を全て取り入れて待機児童対策に取り組んでいます。

地域型保育事業の新設は0-2歳児の待機児童対策に対して即座に効果を発揮しますが、数年後には卒園児の転所先問題が浮上します。多くは連携施設を設定していますが、それだけでは受入枠が足りません。先送りした問題が「3歳の壁」として立ちはだかります。

東淀川区は「上新庄駅・下新庄駅周辺地域の1歳児問題」に尽きます。一部保育所等への第1希望の集中と保育士等優先利用の多さにより、見た目の数字以上に問題は深刻です。きょうだい加点があっても楽観できず、加点がなければ慎重な判断が必要です。

今後の予定&運営支援のお願い

今年も各区毎の申込状況等を分析し、様々な情報等を掲載する予定です。次回は旭区、それ以降は城東区・都島区・平野区・住之江区・阿倍野区を予定しています(順序は前後します)。

「○○区の情報を早く知りたい」「××保育所は昨年より入りやすいの?」等のリクエストがありましたら、記事へのコメントや問い合わせからお寄せ下さい。

皆様に運営支援へのご協力もお願いしています。必要な育児・生活・事務用品等がありましたら、ウェブサイト上に設置している楽天リンクらご購入頂けると幸いです。