日本国内で「百日咳」が猛威を奮っています。国立健康危機管理研究機構によると、全国の医療機関から第15週(4月7-13日)に報告された百日咳の患者数が1,222人となりました。1週間の報告としては過去最多を更新しています。
百日咳の発生状況について
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ha/pertussis/020/2504_pertussis_RA.html
百日咳は7~10日間程度の潜伏期の後にかぜ症状が始まり、徐々に咳の回数や程度が増していきます。
大阪でも流行しています。大阪府感染症情報センターの報告によると、2025年4月時点における大阪府内の累積感染者はここ10年で最多を記録しています。
府内で百日咳の患者が報告される地域に偏りがあります。飛び抜けて多いのは泉州と北河内です。泉州には関西国際空港が、北河内には京阪本線があります。
発症者の多くは小中学生、そして0歳児です。
0歳児の感染者が多い一因に、未だワクチン接種を行っていない乳児の存在があるでしょう。百日咳ワクチンを含む4種混合ワクチンは生後2カ月から接種できます。ただ、様々な事情により、接種するのを少し先送りしている家庭もあるでしょう。その間に、日常生活や同居しているきょうだい等を経て感染してしまうリスクがあります。
小中学生の感染者が多いのは、乳児期に接種したワクチンの効果が弱まっていると考えられます。追加接種が有効だそうです。
ただ、大阪では耐性を有した百日咳菌が広がっています。抗菌薬による除菌率が低下し、治療効果の低下や二次感染によって感染が拡大する恐れがあります。中国で蔓延中です。
マクロライド耐性百日咳菌を検出した大阪府の小児3例
わが国では, MRBPは2018年に大阪府と東京都でそれぞれ1株ずつ分離された報告のみであるが, 訪日外客数の増加にともない, 海外からMRBPの侵入が懸念されている。今回, 2024年9月以降に大阪府の異なる地域の医療機関(大阪市, 守口市, 和泉市)の小児患者3例から分離した百日咳菌がMRBPであることが判明したので, その詳細について報告する。(中略)
2024年9月以降に大阪府の異なる地域の小児から分離・解析した百日咳菌3株すべてがMRBPと判明し, いずれの患者・家族も海外渡航歴はなかった。今回の症例数は少ないが, 大阪府の市中においてMRBPが蔓延している可能性が示唆された。
https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/46/540/article/140/index.html
日常生活での感染を防ぐには、地道な手洗い・マスク着用・換気の徹底が重要でしょう。コロナ対策と同じです。また、0歳児は4種混合ワクチンを早く接種し、小中学生はワクチンの追加接種を行うのが重要です。
いつまで経っても風邪症状や咳が治まらずに悪化する様であれば、掛かりつけ医へ連絡した後に受診して下さい。
現在は4種混合ではなく5種混合になりました!
5歳〜小学校就学前に3種混合を追加接種することも推奨されていますね。ただ、3種混合ワクチンが(需要増のため?)不足しているという話も耳にします。早めに打てる病院を予約しておくことが良いかもしれません。
妊娠中、T-dap(またはトリビック)を接種すると母子免疫により赤ちゃんにも抗体が移行します。ただこれは打てる病院が限られているので、流行状況や生後2ヶ月までの外出頻度、きょうだいの有無などの個別事情により各自検討という感じかなと思います。