先日、令和7年度大阪市公立学校・幼稚園教員採用選考テストの最終選考結果が公表されました。全体の最終倍率は平成17年度以降では最低となる2.8倍(令和6年度は3.1倍)でした。
令和7年度大阪市公立学校・幼稚園教員採用選考テスト[選考結果(第2次選考)]
主たる要因の一つが受験者の減少です。同じく平成17年度以降では最少となる、1,961人しか受験しませんでした。大学生等の間で「教員離れ」が深刻化している事を物語っています。
特に危機的なのは小学校と中学校(数学)です。小学校は2.1倍、中学校(数学)は2.0倍しかありませんでした。2人に1人が合格した計算です。十分な選考ができたとは考えにくいです。
受験者の減少等による採用基準の低下は、筆記試験における合格最低点に現れています。小学校の合格最低点(筆記+実技)は96点(満点240点)、中学校(数学)は134点(400点満点)でした。
航海されている過去問は決して難しくありません。中学校(数学)は大阪府立高校入試B問題相当の難易度でした(高校数学分野を除く、少なくともC問題よりは易しい)。小学校はより易しい問題です。
令和6年度大阪市公立学校・幼稚園教員採用選考テスト第2次選考【問題・正答及び解答例】
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000623468.html
こうした問題が半分すら解けなくても合格者となってしまっているのが現状です。
その影響を私自身が痛感した事もあります。「若手教員の指導力不足」です。テストや宿題の丸付けでのミスどころか、小学生の子供自身が「今日は先生が黒板に書いた漢字が間違ってた」と話してくれるぐらいです。
お世話になっている小学校では中堅教員を若手教員の指導役に充てていますが、簡単ではないとも聞きます。厳しく指導しすぎるとメンタルに影響してしまい、最悪のケースでは退職に繋がってしまいます。私と同年代の先生と「今の若い人は難しい」とよく嘆いています(いつの時代にも同じ話が繰り返されているでしょうが)。
中学校は更に生徒指導や部活動等も重なります。授業内容も難しくなります。採用試験の合格最低点から考えると、先生よりも文理学科を目指している生徒の方が学力面で上回るケースも生じているでしょう。
教員の学力は児童生徒の学習指導に直結します。より高い能力を有する大学生等に大阪市の教員採用試験へ志願して貰えなければ、大阪市立小中学生の学力に深刻な影響が生じます。「教員の質の低下」です。