震災による被害に遭った方々にはお見舞い申し上げます。私自身も石川県内に帰省している知人が複数おり、安否が気になっています。
被災地にて生活している子育て世帯にとって気掛かりなのは「新学期」です。学校・幼稚園・保育所等は予定通りに開所されるのでしょうか。
ここ10年程度の間に日本各地で発生した大規模災害に伴う対応を見ていると、学校等の再開に必要な条件がそれとなく見えてきます。
条件 | 項目 | 備考 |
必須 | 施設の安全確認 | 片付けが行われず、倒壊・崩落する可能性がある施設は使えない。 |
必須 | 水道の復旧 | 断水中は再開できない。 |
必須 | 電気の復旧 | 停電中は再開できない。 |
重要 | ガスの復旧 | 暖房や給食に支障を生ずる。 |
重要 | 避難所の転出 | 体育館や教室が避難所となっている学校は再開しづらい。 |
重要 | 職員の確保 | 当面は出勤できる職員のみで運営、保育所等は縮小運営も。 |
施設の安全確認は最も重要な条件です。これが行われなければ、再開はできません。例えば石川県立金沢北陵高校は校舎ギリギリまで地面が崩落し、新学期が再開するメドは立っていません。
【能登半島地震】金沢・北陵高、崩落の危険 記者ルポ
https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/1279855
水道や電気の復旧も不可欠です。大阪市に甚大な被害をもたらした平成30年台風第21号では広範囲で停電が発生し、学校再開を遅らせました。水道は言うまでもありません。
ガスについては地域差等があるかもしれません。主な使用目的は給食の調理です。ガスが復旧していない場合、「弁当持参」が必要となる事もあります。集中調理方式ならば、調理センターの復旧具合によります。
避難所も悩ましいです。学校に避難所が設けられていると、教育活動に支障を来してしまいます。
新学期が再開するまでに、被災自治体は避難所を学校以外に移転できないかと検討するでしょう。が、中には学校に設置し続けざるを得ない地域もあります。
体育館・教室・運動場等で被災者が生活を営んでいる中、学校を再開させるかは難しい判断が求められます。
学校等の再開には職員が必須です。が、職員自身の被災・道路の崩落・車両の損壊等により、全員が無事に出勤できるとは考えにくいです。
となれば、出勤できる職員だけで運営せざるを得ません。保育所等であれば、一部の年齢のみ(例:0-2歳児)の保育を行うという判断もあります。
学校や保育所等が再開しない生活は、親にも子供にも負担が掛かります。迅速な復旧には、子供が生活する場所の再開が不可欠です。
恐らくは学校や保育所等をいつ再開するかという連絡があるのは直前になるでしょう。が、こうした基準を目安に考えれば、再開できるか否かを見当付ける事が可能です。
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(1/5追記)
大阪市は「大阪市内の保育所等における災害時対応ガイドライン」を定めています。これを基準とした上で、各保育所等が防災マニュアルを作成・運用しています。
同ガイドラインには「保育再開の基準」という項目があります。
https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000594/594549/gaidorain.pdf
安全・ライフライン・職員が重要な要素とされています。これに鑑みると、能登半島北部で学校や保育所等が再開する時期は全く見通せません。
今後は被害が少ない小中学校や公共施設を利用し、広い地域から児童生徒を集める形になるのではないでしょうか。東日本大震災では、1つの学校で複数の学校が同居しました。