大阪市都島区にて保育料の算定ミス2件が判明しました。
算定基礎として取り扱うべき所得の扱いに誤りがあったのが原因でした。
1 経過と概要
令和3年9月21日(火曜日)、都島区役所保健福祉課(こども教育)において、6月の市民税額の決定を受けた令和3年度(9月から翌年3月分)の保育施設等の保育料の再判定(見直し)後に提出のあった追加資料等の確認を行っていた際、ある入所対象児童(以下「A氏」および「B氏」という。)の利用者負担区分に誤りがあることが判明しました。
すぐに令和2年度の保育料等の算定資料を確認したところ、A氏については、令和2年度以前に同居しなくなっていた親族の市民税所得割額を算定基礎となる額に合算したため、令和2年9月以降の利用者負担区分を実際よりも高い区分で決定し、本来支払う必要のない副食費を負担させてしまいました。
また、B氏については、本来、保育料の算定基礎とすべき他市に居住する保護者の市民税情報を算入基礎額に算入せず、令和2年9月以降の利用者負担区分を実際よりも低い区分で決定し、本来より少ない額で保育料を徴収していました。
なお、令和3年9月以降のA氏、B氏にかかる保育料等については、正しく算定しています。
2 影響額
令和2年9月~令和3年8月分
A氏:副食費 54,000円過重負担(保育料については無償化のため影響はありません)
B氏:保育料 55,740円徴収漏れ(中略)
4 発生原因
保育施設等の保育料の算定にあたっては、大阪市総合福祉システムに算定に必要な親族情報等を登録し、その情報をもとに算定を行っています。
A氏、B氏ともに親族情報等の状況を把握していたにも関わらず、状況を把握した時点でシステム入力等を行わなかったことが原因です。
また、保育料の算定の際、複数人によるシステム登録情報の確認を行わなかったことも原因です。https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/miyakojima/0000545398.html
6月の市民税額決定を受けて9月からの保育料に再判定に関する確認作業を行う際、8月までの保育料算定における同居親族の登録に誤りがあった事を発見しました。
保育料の計算は非常に難しいです。市民税額からストレートに計算されるのではなく、同居親族の情報(祖父母の税額が合算されることも)・住宅ローンやふるさと納税(本来の税額を払った物として計算)といった様々な項目を加減して行われます。
こうした計算を子育て世帯が独自に行うのが極めて困難です。いわば保育料の計算がブラックボックス化しています。
今回の事例では都島区役所の確認作業でたまたま見つかりましたが、見つからずに卒園してしまった事例は少なくないでしょう。本来より少ない保育料だったらラッキーですが、高い保育料を支払い続けても何ら気づきません。
保育料の算定ミスを減らす一つの方法としては、保育料の計算プロセスを保護者へ通知する制度が考えられます。
現在は定まった保育料額と区分が伝えられるのみです。いわば「結果」しか知らされません。「計算過程」は分かりません。
しかし、計算過程を知らせれば、保護者が計算ミスに気づく確率は上がります。
今回の都島区の事例では、同居しなくなった親族の所得税額を算入し、片や非同居保護者の所得税額を算入していませんでした。
計算プロセスを開示していたら、「どうして転居した祖父母の所得税額が含まれているのか」「単身赴任中の父親の所得税額は算定基礎にならないんだ(おかしい)」といった形で保護者が気づけたでしょう。
市役所職員も人間です。入力ミスや確認漏れが起こってしまう事はあります。ここに保護者によるクロスチェックを加える事により、保育料の算定ミスはより減らせるでしょう。
システム改修も容易です。計算結果だけでなくプロセスも同時に出力するだけです。父母(及び祖父母)の市民税額・調整項目・きょうだいの状況・保育料決定額が出力されれば十分でしょう。