5月11日に開催された大阪市教育委員会会議(令和3年第7回)では、小中学校におけるオンライン授業期間中の受入数や実施状況が報告されました。

令和3年第7回教育委員会会議
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000532563.html

会議中にとある教育委員が「オンライン授業の実施はテレビニュースで初めて知った」と発言していました。何の為の教育委員会なのでしょうか?

児童生徒受入状況調査結果には、4月26日~5月7日かけて(授業時間外に)学校で受け入れた児童生徒の人数や割合が掲載されています。

初日26日の小学校の受け入れ割合は35.6%、そこから日に日に上昇していきました。

学年別で最も多かったのは1年生でした。約半数が授業時間外に登校していました。反対に6年生は約4分の1に留まっています。

https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000532/532563/houkoku9.pdf

自宅で1人で過ごすのが難しい1年生は朝から登校、過ごせる6年生は3時間目から登校させた家庭が多いのでしょう。大ざっぱな計算ですが、全ての小学生の概ね3分の1が朝から登校していた計算となります。

朝からこれだけ多くの児童が登校し、途中からは全ての児童が登校したのが実情です。「オンライン授業による感染予防」は掛け声倒れに終わってしまいました。効果は極めて薄かったです。

極めて不十分だったオンライン授業

オンライン授業が完璧に行えていたのであれば、まだ救いはあったでしょう。大阪市教委が各校に対してオンライン学習の状況を調査した集約表が掲載されています。

既に報じられている通り、双方向通信を利用したオンライン学習は各校週1回に限られていました。市教委が利用出来る通信帯域が狭い為です。

8割以上の小中学校が双方向通信を行えました。しかし、多くの学校で「繋がらない児童生徒がいた」「途中で切れるなど不安定」という支障が生じました。授業以前の話ですね。

双方向通信に関して各校から指摘されている諸課題は、機材・トラブル対応・児童の習熟度といった技術面の問題が多いですね。

これにクラス担任が対応するのは限度があるでしょう。ICTに精通した事務職員等を配属するのが不可欠です。ただ、事務とITの双方をこなせる職員は殆どいないのではないでしょうか。

登下校・生活リズムの乱れへの不安が噴出

登下校する時間帯が通常とは異なる事は、学校や家庭に甚大な影響を及ぼしました。不満が噴出しています。

交通往来が激しい大阪市内は、残念ながら危険な通学路が少なくありません。たまたまですが、堺市の通学路が多くの注目を集めています。大阪市内も似たような状況ですね。

普段ならば地域の見守り関係者が横断歩道や児童に付き添っています。しかし、通常とは異なる時間帯に児童がバラバラと登校してしまうと、見守り活動を行うのは非常に難しくなります。

特に4月や5月は新学期が始まったばかりです。小学1年生が1人で登下校するのは大いに不安です。

しかし、これに対する市長や市教委の対応は皆無でした。見聞きした範囲では本当にありませんでした。中之島と学校現場との意識の乖離が如実に表れました。

生活リズムの乱れも不安視されています。うちの子も起床が遅くなり、就寝するのも遅くなりました。

特別支援学級へ登校している児童は更に大変でしょう。1人で在宅するのが難しい子が多いでしょうから、親が付きっきりにならざるを得ません。オンライン学習もどれだけ出来たのでしょうか。

市長や市教委は「改善点を次に繋げたい」と発言しています。しかし、こうした問題点の多くは導入前から不安視されていました。

こうした指摘を無視・軽視し、大阪市外から嘲笑されるオンライン授業が実施されました。実験台にされた子供・家庭・学校には良い迷惑です。