大阪や兵庫でイギリス型変異株が猛威を振るっています。伝播性が極めて強く、感染が広がりやすいのが特徴的です。

VOC-202012/01

•感染・伝播性増加が懸念される変異を有する
•モデリング上、伝播性が5〜7割増加の推定結果がある
•2次感染率の25-40%増加を示唆する解析結果がある

https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/covid19-36-20210308-tbl.pdf

大阪は10代以下の感染者割合が倍増

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/38215/00391361/1-2_henikabu_0331.pdf

大阪府の第3波における陽性者の内、10代以下が占めるのは約12%でした。一方、変異株スクリーニング陽性事例においては、10代以下が約25%を占めています。10代以下の占有率が倍増しています。

兵庫県知事「家族全員陽性が多発」

兵庫県では変異株が急増しています。

兵庫県 検査検体の80%が変異ウイルス 感染者急増の要因か

(中略)それによりますと、先月21日までの1週間で、検査した70人の検体のうち56人、率にして80%がイギリスで広がる変異ウイルスだったということです。
その前の14日までの1週間は52.6%だったため、県は変異ウイルスの割合が急増しているとしています。

井戸知事は記者会見で、「変異株が通常株に置き換わりつつある。拡大が先行しているのが関西なのかもしれない。また家庭内の濃厚接触者がほとんど陽性になっているのは変異株のうつりやすさからきているのではないか」と述べて、変異ウイルスの拡大が患者の急増につながっているという見方を示しました。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20210401/2020012700.html

井戸知事の発言で重要なのは「家庭内の濃厚接触者がほとんど陽性になっている」という部分です。

第3波までは家庭内濃厚接触者で陽性が確認されたのは概ね2割程度だったと報道されたのを記憶しています。

一家全滅というケースもありましたが、多くは小規模の感染に食い止められていました。家庭での生活環境・感染予防意識・子供の年齢等によって左右されたのでしょう。

しかし、兵庫県の変異株では状況が異なります。家族の殆どが感染したケースが多発しているそうです。この中には、新型コロナウイルスに感染しにくいと言われている子供も含まれています。変異株の感染力の強さを物語っています。

コロナ診療医「ウイルス量がなかなか下がらない」

一般的にウイルス量は発症日前後が最も高く(Ct値が低い)、日を追う毎に低下していきます(Ct値が上昇)。

患者病日とリアルタイムPCR Ct値の相関について

https://www.niid.go.jp/niid/ja/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2523-related-articles/related-articles-485/9765-485r09.html

https://twitter.com/concert_1750/status/1377453528109617155
https://twitter.com/concert_1750/status/1377473636777435138

発症して10日経っても排出するウイルス量が全然減らないとは愕然するばかりです。変異株の感染力が極めて強く、家庭内感染や子供の感染者が急増するのも頷けます。

こうした変異株の特性は、入院療養等を困難なものにしています。原則として個室ないし変異株専用病床へ入院、変異株専用棟(ホテル)の宿泊療養、もしくは自宅療養とされています。

更に療養を解除するには「2回連続の陰性確認」が必要です。既存株と比べて格段に厳しい措置です。

結果として入院が長期化してしまいます。既に病床使用率が急上昇しています。近日中に入院調整が第3波以上に困難となるのは避けられない情勢です。

学校・幼稚園・保育所等で変異株クラスターが多発する恐れ

子育て世帯として非常に気掛かりなのは、学校等での変異株クラスターの発生です。大阪府内では既に一部の学校等で発生し、多くの関係者が感染したと聞いています。

保育所等は既に開所していますが、学校や幼稚園等は来週から新年度が始まります。家庭内で感染した子供達が登校・登園し、学校等で感染を拡大させたら、目も当てられない事態が起きてしまいます。

大阪府は「ハイリスク活動を避けるように」との指針を発していますが、徹底できるかも定かではありません。緊急事態宣言下でもマスクを外して合唱の練習を行った学校があったと聞きました。

特に心配なのは中高の部活動ですね。対策が甘い部活動が多く、特に屋内型競技は非常に危険です。

残念ながら来週以降、学校・幼稚園・保育所等でクラスターが多発するでしょう。厳重な対策を行っても防ぎきれないと悲観しています(外れて欲しいですが)。

ただ、大阪市長は「これまでのウイルスと同等の対応です」としています。認識の甘さが心配です。

学校における変異株対策は検討しているのか

毎日新聞:毎日新聞の田畠です。変異株のことについてなんですけども、今、日本国内で子供の感染が増えてきているような傾向も見られるんですけれども、学校での対策などは今後、なんか検討されているようなことはありますでしょうか。

松井:これは教育委員会において、学校で発生した場合はマニュアルに沿った形で、まずは学級閉鎖。で、濃厚接触が多ければ休校。そういうマニュアルに沿った形の対応をしています。

毎日新聞:さらなる強化みたいな指示とかは、今のところはされてないということですか。

松井:うん。別に今のところは。これまでのウイルスと同等の対応です。変異株だからというのは、どういう対応を強化するの。せやろ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/191ef32bf65a24561b7120f7e5b4bcb1917224a5?page=3

余りに多くの学校等でクラスターが発生したら、一斉休校や休園を行う可能性も否定できません。

1年前は安倍首相に先駆け、大阪市長が一足早く「大阪市立学校園の一斉休校」を発表しました。今回はどうなるのでしょうか。