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(10/18追記)
千葉地裁は懲役3年を言い渡しました。
千葉県市原市のアパートで昨年1月、生後10カ月の娘を放置し死亡させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の小西理紗被告(25)の裁判員裁判で、千葉地裁は14日、求刑通り懲役3年の判決を言い渡した。
弁護側は子ども3人の育児ストレスなどで精神障害となり、心神耗弱状態だったと主張したが、友重雅裕裁判長は「子どもたちの状況を把握されるのを避けるため、保健師や(別居状態の)夫の訪問を拒むなど合理的に行動していた」と指摘。精神障害の影響が一定程度あったとしながらも完全責任能力を認めた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d7a1d1533d684d07520881b8519ba9f698c20a99
母親1人で3人の乳幼児を育児するのは心身共に大きな負担が掛かります。本人の責任は否定できませんが、そうした境遇の家庭への支援が非常に手薄だったのは否めません。
しばしば「行政に相談すれば良い」と言われます。しかし、追い込まれるとなかなか相談できなくなり、更に事態が悪化する循環に嵌まってしまいます。
思い切って相談しても、冷たくあしらわれる事も多いです。
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今年1月、千葉県市原市(昨年の台風15号でゴルフ練習場の鉄塔が倒れた市)で10カ月の女児が育児放棄によって死亡しました。
市原市は女児の姿を一度も確認できませんでした。その一方、きょうだいが通っている保育所の保育士が異変に気づいて市原市へ通報していました。
しかし、市原市は「外部から家庭の異変を疑わせる情報はなく緊急性は高くないと判断した」とし、女児の所在確認や児童相談所への連絡等を行っていませんでした。
衰弱した乳児放置疑い、23歳母を逮捕 千葉県警
今年1月、衰弱した当時生後10カ月の次女を放置したとして、千葉県警は3日、保護責任者遺棄の疑いで、母親の自称住所不定、無職、小西理紗容疑者(23)を逮捕した。次女は搬送先の病院で死亡が確認された。県警は育児放棄とみており、保護責任者遺棄致死容疑で経緯を調べている。
逮捕容疑は1月3~25日ごろ、当時住んでいた千葉県市原市ちはら台のアパートの一室で次女の紗花(すずか)ちゃんに食事を与えず、適切な医療措置を受けさせることなく放置したとしている。紗花ちゃんに目立った外傷はなく、低栄養と脱水による衰弱死とみられるという。
県警によると、1月25日に別居中の夫から「妻から、子供が息をしていないと連絡があった」と110番通報があり、駆けつけた救急隊員が心肺停止状態の紗花ちゃんを発見した。事件当時、小西容疑者は長女(5)、長男(3)、次女と4人で暮らしていたが、長女と長男の健康状態に問題はなかった。
小西容疑者には精神科の通院歴があり、事件直後に県内の医療機関に入院。県警は退院を待って3日に逮捕した。
https://www.sankei.com/affairs/news/200603/afr2006030020-n1.html
生後10カ月の次女に食事を与えず放置したとして母親が保護責任者遺棄容疑で千葉県警に逮捕された事件で、母親や次女が住んでいた市原市は4日、昨年12月以降に2回、保健師らが自宅を訪問したが、次女を目視できていなかった、と発表した。市は、対応は適切だったとしている。
市はこの日、次女死亡にかかわる経緯を発表。昨年3月に次女が生まれ、翌4月に保健師が自宅を訪問し、体重増加が良好な次女を見たうえで、「母親の健康状態に不安がある」として、継続支援対象とした。
昨年12月20日、必要な予防接種や健康診断を受けていなかったため、保健師が自宅を訪問。長女や長男の健康は確認できたが、次女は泣き声を確認しただけだった。訪問の主目的は受診を促すためだったが、次女の目視をできなかったため、母親に再訪問の約束をした。
だが、今年1月21日の訪問予定を母親が当日キャンセル。このため、同23日に市の相談員と保健師が事前の約束なしで訪問した。子どもの足音を聞いたが、玄関口からの声かけや呼び鈴に応じないため、戻ったという。
目視確認をしなかった理由について、山形昌啓・市子ども福祉課長は「市に強制力がなく、家の中を見る権限がなかった。当時としてやるべきことはやった」と説明した。これまでの対応について「適切な対応をしてきた」と話した。
県警によると、次女は1月25日、救急隊に心肺停止の状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。死因は不詳だが、低栄養と脱水による衰弱死とみられる。捜査関係者によると、次女はあばら骨が浮き出るほど痩せた状態で、生後10カ月の平均体重を下回る5キロ以下だったという。
女児の死亡日が1月3日~25日頃とされているのは、何らかの形で1月2日までは女児が生存していた事を確認できたのでしょう。別居中の夫と面会していたのでしょうか。
精神科への通院歴があるシングルマザー(別居中)が、保育園児以下3人の子育てを1人で行うのは極めて困難です。行政の積極的な支援が無い限り、遅かれ早かれ行き詰まります。
死亡時の体重は5キロに満たなかったそうです。生後1カ月から10カ月まで体重が殆ど増えていません。生後10カ月頃のうちの子の体重は9キロほどだったと思います。
どこからどう見ても「育児放棄」です。
市原市は亡くなった紗花ちゃん(恐らくは他のきょうだい2人も)を要支援児童に指定していました。
母親が無職にも関わらずきょうだい2人が保育所を利用出来ていたのは、そうした措置の一貫でしょう。
しかし、市原市の保健師は紗花ちゃんの姿を9カ月に渡って確認できていませんでした。
乳児を約9か月確認できず
今年1月、市原市で生後10か月の乳児が死亡し、母親が逮捕された事件で、市が乳児の健康状態の確認を試みましたが、亡くなる直前までの約9か月間、目視による確認が出来ていなかったことが分かりました。
この事件は、今年1月、市原市内の自宅アパートで、当時生後10か月の小西紗花ちゃんが衰弱した状態で死亡し、3日、母親の小西理紗容疑者が保護責任者遺棄容疑で逮捕されたものです。
小西容疑者は5日、検察庁に身柄が送られました。
市原市によりますと、去年4月、母親から誕生間もない紗花ちゃんに対する新生児訪問希望のはがきが届いたため、市の保健師が自宅を訪問しました。
紗花ちゃんの体重は当時3780グラムで健康面に異常はなかったものの、母親の健康状態に問題があったことから、市は、継続的に支援をすることを決めたということです。
その後、保健師は3度自宅を訪問し、紗花ちゃんの姉と兄が元気な様子を確認しましたが、紗花ちゃんを目視で確認することは出来ませんでした。
最後に訪問したのは今年1月で、部屋には人の気配があったものの、呼び鈴に応答はなく、結局9か月の間、目視による確認ができなかったということです。
紗花ちゃんは、市原市から要支援児童に指定されていましたが、市には家の中を見る強制力などはなかったため、訪問のみの対応に留まったということで、市原市は「再発防止に向けて取り組んでいく」としています。
上の子供2人を目視で確認できたにも関わらず、紗花ちゃんを確認できなかったのは明らかな異変です。しかも3度も。
少なくとも2回連続で確認できなかった時点でアラームを鳴らし、より積極的な対応を講じるべきでした。
「再発防止に取り組んでいく」という市原市のコメント、他人事に聞こえてしまいます。
アラームを鳴らした施設がありました。きょうだい2人が通っていた保育所です。
生後10か月女の子死亡 姿見えないと保育園が市原市に連絡 千葉
2020年6月8日 21時29分
ことし1月、千葉県市原市のアパートで、衰弱した生後10か月の女の子を放置したとして、母親が逮捕された事件で女の子が死亡する1か月ほど前にきょうだいの通う保育園が「女の子の姿が見えない」と市に連絡していたことが分かりました。
市はこれまで「事前に緊急性の高い情報はなかった」と説明していました。
自称、住所不定、無職の小西理紗容疑者(23)は、ことし1月に生後10か月で亡くなった、次女の紗花ちゃんが衰弱していたにもかかわらず、放置したとして、保護責任者遺棄の疑いで逮捕されました。
きょうだいが通う保育園によりますと、女の子が亡くなるおよそ1か月前の12月中旬に、送迎の際、母親が女の子を連れていないことを不審に思い「女の子の姿が見えない。様子がおかしい」と市の担当部署に電話で連絡していたことが分かりました。
市原市は、家庭訪問をしても女の子の姿を直接確認できない状態が続きましたがその事実を児童相談所などに伝えず、これまでNHKの取材に対しても「外部から家庭の異変を疑わせる情報はなく緊急性は高くないと判断していたため」と説明していました。
保育園の関係者は「その後、きょうだいも休むようになり心配だった。女の子の安全をすぐに確認してくれると思っていた」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200608/k10012463261000.html
生後10カ月の女児を自宅に残し、きょうだい2人を連れて保育所の送迎を行うのはあり得ない行為です。たとえ昼寝中でもナシです。
保育所へ連れてこなかったのに異変を感じたのは、流石は保育所です。1日のみではなく、数日に渡って連れてこなかったのでしょう。
そして、保育所はその旨を市原市の担当部署へ連絡しました。しかし、市原市は女児の所在を確認できず、児童相談所や警察等への連絡も行っていませんでした。
1年半前には千葉県では日本中が激怒した事件が起きました。栗原心愛(みあ)さんが実父の虐待によって死亡した事件です。
千葉県や野田市は強い批判に晒されました。心愛さんが発していた異変に気づけば、適切に保護して助けられた事案でした。
市原市で女児が死亡した本件も同じです。女児に会えない保育所や保健師からの連絡・報告に適切に対応できていれば、助けられた可能性が高いです。
一方、千葉県では隠蔽とも繋がりかねない動きが生じていました。
千葉県、虐待死は「公表せず」 小4虐待死で「不手際」
千葉県野田市の小4女児虐待死事件にからみ、新たに虐待死事件が発生した場合、県は児童相談所の関わりを含め、一切情報を公表しない方針を決めていたことが、県への取材で分かった。県個人情報保護条例に基づく措置と説明するが、専門家は「虐待死事件の情報は公益性が高く、条例を根拠に公表しないのは不適切だ」と指摘している。
野田市の虐待事件は警察の発表で明らかになった。報道機関の求めに応じ、県や小4女児を担当した県柏児童相談所が記者会見などで、行政の対応状況などを公表。県の不手際も含め、事件は社会的注目を集め、児童虐待防止法の改正につながるなど、大きな影響を及ぼした。
一方、児相に助言をする立場の弁護士から「個人情報の取り扱いに注意するべきだ」との指摘があり、県は虐待死事件の情報は一切公表しない対応方針を決定。県児童相談所改革室の戸村順一室長は3日、朝日新聞の取材に対し「個人情報保護の観点から児相の関与を含め、何も言わないことに決まった。野田市の事件は情報を出し過ぎた。不手際だった」と話した。
個人情報は確かに大切です。しかしより重要なのは子供の命です。
これを盾とし、子供の命に関わる自治体の対応を公表しないのは「不祥事隠し」としか考えられません。
誰もが千葉県の対応に違和感を覚えたのでしょう。報道各社が厳重な抗議を行いました。
報道各社からの抗議が相次いだため、県は4日、記者会見を開き、市原市の事件に「児相の関与はない」と明かした上で、今後の情報提供のあり方について、戸村室長は「検討したい」とした。野田の事件の広報を不手際とした件は「不手際と発言したことが不手際だった」と話した。
個人情報法制に詳しい新潟大学の鈴木正朝教授(情報法)は「県の対応は法的根拠に乏しい。野田市の事件の反省が全く生かされていない。悪質な隠蔽(いんぺい)と取られても仕方がない」と批判した。
千葉県は本当に子供の命を救う気持ちがあるのでしょうか。ここまで酷い対応を見た事がありません。
今後、千葉県で虐待事案が発生しても、自治体は助けてくれないかもしれませんね。子供の命を大切にしない県と言われても仕方ありません。
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(6/11追記)
市原市の杜撰な対応が明らかになっています。保育園から2度も連絡があったのに、黙殺した形です。
市原の女児死亡、市が不適切対応認める 安否確認できず
「児童相談所に相談するべきだった」――。千葉県市原市で生後10カ月の小西紗花(すずか)ちゃんが衰弱死したとみられ、母親(23)が逮捕された事件。市は10日、記者会見し、約9カ月間、健康状態を確認できていないことについて、対応が不適切だったことを認めた。市では6年前の虐待死事件を受けて改善策を定めていたが、生かされなかった。
市は記者会見で、2019年12月18日に、紗花ちゃんの兄が通う保育園から、連絡があったことを明らかにした。「通っている子どもの欠席などが多くなっている。お母さんの状態など含めて心配だ」という内容だったとし、「紗花ちゃんについての情報ではなかった」と説明した。
一方、保育園は朝日新聞の取材に対し、「保育園の送迎時に、母親といつも一緒にいた赤ちゃんの姿が見えない」と、市の虐待対応窓口に通報したと答えており、市の説明と食い違っている。
この通報内容についても、市の担当部署は今年1月14日、県中央児童相談所や県警が参加する市要保護児童対策地域協議会(要対協)の実務者会議に報告していなかった。市は「市町村で対応できるレベルと判断したため」と釈明した。
また、市は19年4月25日、保健師が新生児の健康状態を確認するため、母親宅を訪問して以降、紗花ちゃんが乳児健診や予防接種を受けていなかったが、約9カ月間、目視で安否確認できていなかった。
厚生労働省は乳児健診や予防接種を受けていない子どもは虐待のリスクが高いとして、子どもの安全を直接確認するよう求めている。市は安否確認できていない状況も要対協に報告していなかった。
こうした対応について、市は当初、「適切だった」としていた。だが、市子ども未来部の三沢英二部長は「今振り返ると会えていないという点で児相などに相談して協議する必要があった」と話した。その上で「今後の捜査を踏まえた上で検証していきたい」と語った。
この保育園には、死亡した小西紗花ちゃんのきょうだいが通っていて、保育園によりますと担当者が「理紗容疑者が送迎に紗花ちゃんを連れてこなくなり、疲れている感じがある」と育児放棄をうかがわせる情報を市側に2度連絡していたということです。
市原市の保健師が女児の姿を確認できていれば、保育園からの連絡を受けて早急に所在確認していれば、要保護児童対策地域協議会へ報告していれば、どこかのタイミングで助けられたかもしれません。
しかし、市原市は適切な対応を行わず、女児を見殺しにしました。酷すぎる話です。
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(6/13追記)
保育所に加えて幼稚園からの情報提供もありました。しかし、市原市はこれも軽視していました。
千葉県市原市で生後10カ月の小西紗花(すずか)ちゃんが衰弱死したとみられる事件で、市は11日、亡くなる約1カ月前に姉の通う幼稚園から「紗花ちゃんの姿を見ない」と通報があったことを明らかにした。10日の記者会見の説明内容を一転させた。市こども未来部の三沢英二部長は「救える命だった」と謝罪した。
市によると、昨年12月18日、この幼稚園から「(姉が)欠席しがちになった9月ごろから、紗花ちゃんを見たことがない」との通報が市家庭児童相談室(当時)にあったという。2日後、市の保健師が家庭訪問したが、紗花ちゃんの安否を目視で確認できなかったという。
市はその後も接触を試みたが、母親らと面会できず、今年1月25日、自宅で紗花ちゃんが心肺停止状態で発見され、今月3日、母親が保護責任者遺棄容疑で逮捕された。
市は10日の会見で、幼稚園からの通報を明らかにしていなかった。兄の通う保育園から「通っている子どもの欠席などが多くなっている」などとの連絡はあったが、紗花ちゃんに関する通報は「一切なかった」と説明。山形昌啓(まさひろ)・市子ども福祉課長は「保育園の通報に限った質問だと受け止めていた」と釈明した。
市原市は「保育所へ通っている兄」に関する情報提供だと受け止めていました。
百歩譲ってその通りだとしても、兄の健康確認等を行った形跡はありません。複数の子供の安否を気遣う情報が別ルートから寄せられていたにも関わらず、母親と接触できずじまいでした。
その後、市原市長が「職員の危機意識が欠如していた」と謝罪しました。それに加え、「千葉県から情報公開するな」と助言されたと明らかにしました。
千葉・市原の女児死亡「県が非公開を助言」 市長明かす
千葉県市原市で1月に生後10カ月の女児が死亡し、食事を与えなかったとして母親(23)が保護責任者遺棄の疑いで今月逮捕された事件を巡り、小出譲治市長は12日、「もう一歩踏み込めば幼い命を救えたと悔やまれる」と市の対応を謝罪した。事件直後、女児の情報を公表しなかったことについて、県から「児童福祉の観点から一切の情報を公開しないよう助言があった」ことも明かした。(中略)
小出市長は事件後初めて記者会見し、「(市の対応に)足りなかったことが多々出てきて、不適切と言わざるを得ない。職員の危機意識が欠如していた」と述べた。県の担当部門に情報を公開しないよう助言されたが、「市民の理解が得られないと思い、県と協議して可能な限り出すことにした」と説明した。
県によると、千葉県野田市で昨年1月に小4の栗原心愛(みあ)さん(当時10)が虐待死した事件の後、児相に助言する立場の弁護士から「個人情報の取り扱いに注意するべきだ」などと指摘を受けた。それを受け、県は新たに子どもの虐待死事件が発生した場合、一切情報を公表しない方針を決めたという。
千葉県が行ったのは、「市長への助言」という名の「隠蔽指示」としか思えません。
栗原心愛さんの事件から千葉県が得た教訓は「情報隠蔽によりダメージコントロール」だったのでしょうか。
市原市は、未必の故意、共犯、共謀罪として破壊発動防止法で処刑されるべきだと思います。