沖縄県の保育所に通っていた頃の栗原心愛さん(朝日新聞より)

2月21日に初公判が開かれました。

【野田女児虐待死】父「みーちゃん、ごめんなさい」「暴行は加えていない」と起訴内容を一部否認 初公判始まる

千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=が昨年1月、自宅浴室で死亡した虐待事件で、傷害致死などの罪に問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判の初公判が21日、千葉地裁(前田巌裁判長)であり、勇一郎被告は罪状認否で起訴内容を一部否認した。傷害致死罪については「暴行を加えたことはしていない」としながらも「罪については争わない」とも述べた。心愛ちゃんに対しては「謝ることしかできない。知り得る限り話して明らかにしていきたい。みーちゃん、ごめんなさい」と涙ながらに時折言葉を詰まらせながら話した。

起訴状によると、勇一郎被告はおととし12月30日~昨年1月3日ごろ、自宅で、心愛さんに暴行して胸骨骨折などのけがを負わせ、22~24日には心愛さんに食事を与えず、シャワーで冷水を浴びせ、飢餓や強いストレス状態にさせて死なせたなどとされる。

勇一郎被告の暴行を制止しなかったとして、傷害ほう助の罪に問われた心愛さんの母親(33)はすでに懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年の一審判決が確定している。勇一郎被告は母親に対する暴行罪でも起訴され、併せて審理される。

初公判では冒頭手続きの後、検察側と弁護側の冒頭陳述、書証の取り調べが行われる予定。第2回公判以降は証人尋問や被告人質問があり、3月9日の第10回公判で結審する予定。判決は19日に言い渡される見通し。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200221-00010003-chibatopi-l12

以下、主に産経新聞の記事を引用しつつ、裁判の流れを一文で連ねていきます。

【2月21日】

裁判長「名前を何といいますか」勇一郎被告「栗原勇一郎と申します」

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210013-n1.html

「関係するすべての方々に申し訳ないと思っています。娘のためにできることは、推測や想像ではなく、向き合って事実を明らかにすることだと思います。私は知っている限りのことをお話ししたいと思います。罪状認否については、暴力はしていません」

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210013-n2.html

《検察官は、勇一郎被告が31年1月22~24日、飢餓状態やストレスで衰弱させてもかまわないと考え、心愛さんに食事を与えず、リビングや浴室に立たせ続けたり、肌着のみで浴室に放置するなどして十分な睡眠をとらせなかったとした。また、24日には水にぬれた肌着だけを着た心愛さんに冷水を浴びせ、リビングでうつぶせにして背中に座り、両足をつかんで身体をそらせるなどし、夜には寝室に入ろうとした心愛さんを浴室に連れ込み、シャワーで顔面に冷水を浴びせて、一連の行為による飢餓状態やストレスなどで死亡させた、と説明した》

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210013-n3.html

栗原被告「娘を飢餓状態にするとともにストレスを与えて畏怖させて強度に衰弱させても構わないと考えたことは一度もありません。妻に指示して食事をとらせないようにしたことは一度もありません。肌着のみで浴室に放置し、睡眠をとらせなかったこと、シャワーで冷水を浴びせたこと、リビングの床にうつぶせた背中に乗り、体を反らせたこと、シャワーで冷水を浴びせかけたことは、していません。そのほかのことについては認めます。罪については、争いません」

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210013-n4.html

検察側の冒頭陳述に移る

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210017-n1.html

検察官「育児のストレスのはけ口として虐待を繰り返し、妻を呼び寄せて被告人の実家からアパートで4人暮らしを始めた後も続きました。29年11月6日、心愛さんの通う小学校で、いじめに関するアンケートがありました。心愛さんはそこに『お父さんにぼう力を受けています。先生、どうにかできませんか』と書き、虐待が発覚します」

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210017-n2.html

検察官「被告人は心愛ちゃんが自ら大便を手に取り、『撮りたければ撮れよ』と言ったので撮影したと言っている。自ら持ったという主張はあり得ない」「心愛ちゃんがどのような暴行を受けて衰弱したかが争点だ。苛烈な虐待で心愛ちゃんを死亡させた。検察官は継続的な虐待があったとみている。今後、いかにひどくむごいものかは、おのずと明らかになっていく」

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210017-n3.html

弁護人「長女が寝転んで暴れたので抑えようとしただけです。寝室でお漏らしして、掃除させようとしたが、暴れてお漏らしした上に寝転んだので、浴室へ連れていった。抵抗するので、落ち着かせるためシャワーを浴びせたが、10分にも満たず、2~3秒だった。目や鼻、口など、顔面にはかけていません。落ち着いたと思い、シャワーをやめて戻したら、長女が壁を背に崩れ落ちた。呼びかけたが反応がないので、シャワーをかけたりした。それでも動かないので、110番通報した」

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210023-n1.html

弁護人「最悪な結果となり、言葉にならないほど後悔しています。家族を愛し、幸せになるために、どうすればいいか常に考えていました。きっちり決めないと気が済まない性格で、決めたことは最後までやり通さないと気が済まない。あくまで長女の教育のためでした。日常的に虐待があったわけではありませんでした」

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210023-n2.html

検察官「血液予備検査では浴室や脱衣所、廊下から多数の陽性反応があった」
《犯行時間帯の推定水温や室温が示された後、心愛ちゃんの発見当時の遺体の状況が図面でモニターに映し出された。両手はハの字に広がり、ひざは曲がって倒れていた。着衣はぬれ、Tシャツには血液の陽性反応があった》

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210038-n1.html

検察官「11月8日に撮影された動画の解析結果です。心愛さんが52秒間、終始大泣きしています。この動画の15~20秒の5秒間を見ていただきます。刺激が強いが、(心愛さんが)置かれた状況を見てほしいと思います」
《「アーッ」という甲高い声が法廷内に響き渡る。傍聴席からは動画そのものを見ることはできないが、心愛さんの泣き声とみられる。動画が終わると、検察官は淡々と次の説明に移る》

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210038-n2.html

検察官「妻や長女(勇一郎被告の妹)から、心愛の体にいくつかあざがあったと聞きました。長女は『家族だろうが何だろうが通報するべき』と言っていました。しかし、私は勇一郎が虐待をしていると認めたくない気持ちが半分、仮にそうでも息子を通報することに抵抗があったのが半分。心愛を預かっていれば大丈夫だろうと思い、通報しませんでした。しかしこの時に厳しい心をもって通報すべきでした」

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210038-n3.html

検察官「たった10歳で、いろいろな可能性があるはずでした。小さな命を救えず後悔しています。勇一郎がまさかここまでひどいことをすると思っていませんでした。心愛に申し訳ないです。勇一郎は息子ですが人間として許せません。できればもう縁を切りたいです。心愛が成仏するためにも、残された家族のためにも勇一郎は知っていることを話し、処罰されるべきと考えます」

https://www.sankei.com/affairs/news/200221/afr2002210038-n4.html

【2月25日】

検察側によると、2018年7月10日未明に撮影された動画には約2分間、玄関で心愛さんが土下座するまでの様子が映っていた。
被告「土下座だよ。お前、早くやれば」
心愛さん「じゃあ許せよ。家族に入れろよ」
被告「ムーリー」
心愛さん「うちのこと、どうでもいいんだね」
被告「今さら? 前から面倒くせえなと思ってた」
同月末の早朝には約27分半の間、心愛さんが玄関で屈伸し続ける様子が映っていた。心愛さんは「はあ、はあ」と荒い息づかいで、時にしゃくりあげ、「助けて」と訴えた。

https://digital.asahi.com/articles/ASN2T7J04N2TUDCB019.html

「助けてママ、助けて。お願いママ」。2018年7月30日午前5時40分から撮影された27分31秒の動画には、心愛さんが被告から命じられた屈伸を繰り返し、泣いて助けを求める様子が映っていた。

心愛さんは「すみません」と荒い息で何度も言う。被告は「屈伸やれよ」と言いつけ、直後に「パシッ」という音が2回続いた。この後、「お願い、トイレ行かせて」と懇願も。直後に撮影された写真には、汚物を手に持つ心愛さんの姿があった。検察側は被告がカメラ付き携帯電話で撮影した、と説明した。

8月27日午前0時半ごろの動画では、廊下に立ち続け、「お願い、お願い、苦しいよ。死んじゃいそうだよ」と訴えている。

19年1月5日ごろの動画では、被告が「全部お前のせい」などと言い、「嫌だー」と泣き叫ぶ心愛さんを浴室に引っ張っていく様子が記録されていた。この約20日後に心愛さんは死亡した。

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14379527.html

妹 平成29年7月末、兄と心愛、次女が沖縄県から野田市に来て、9月下旬まで実家で同居した。9月初めの朝、心愛が腰のあざを見せ、「パパに蹴られた」と言っていた。兄は「やっていない」と否定し、心愛の寝相が悪いせいにしていた。

中旬ごろにも心愛が朝、泣いていたので事情を聴くと「パパに夜中に5時間立たされた」と言ったが、兄は否定していた。

https://www.sankei.com/affairs/news/200225/afr2002250035-n1.html

心愛さんの首は真っ白で、顔に2カ所、腰と尻にそれぞれ1カ所のあざがあったと証言。頭頂部やこめかみのあたりがはげた状態で、心愛さんは「パパに引っ張られた」と話したという。妹は心愛さんを抱きしめ「ごめんね、ごめんねと謝った」と涙声で当時の様子を振り返った。

https://digital.asahi.com/articles/ASN2T7J04N2TUDCB019.html

母親は18年9月に心愛さんの体にあざを確認したが、児童相談所などに通報しなかった理由を「息子は心愛ちゃんと同じか、それ以上に可愛いという思いがあったのも事実」と説明。「逮捕されてしまうかもしれない、虐待じゃない可能性もある、と都合のいいように甘い認識をしてしまった。本当に守らなければいけなかったのは心愛ちゃんでした。謝っても謝りきれません」と話したという。

https://digital.asahi.com/articles/ASN2T7J04N2TUDCB019.html

【2月26日】

 母親は「心愛の命が危ないと思い、『もうやめて。あなたのやっていることは虐待だよ』と言った」ものの、被告から「お前は何も分かっていない」と聞き入れてもらえなかったとした。さらに胸ぐらをつかまれて床に押し倒され、馬乗りになられたうえ、ひざ掛けを口に突っ込まれて顔に水をかけられた、と主張。「警察に通報する」と言うと、胸ぐらをつかまれ、平手で左ほおを殴られ、再び馬乗りになられたとし、次女を抱いた被告からさらに左太ももを蹴られた、とも訴えた。

 一方、検察側は「(心愛を)寝室から出さないように」という被告の指示を母親が守っていたと説明。1月8日午後5時ごろには母親が自らの意思で「(心愛が)甘い物ないですかって。まじでお前は何様かって思うし、むかつくよね」というLINEを送っていたとした。

https://digital.asahi.com/articles/ASN2V7J0CN2VUDCB00Y.html

【2月27日】

23日午後には、心愛さんは玄関で裸足で駆け足をさせられていたという。トイレに行くにも許可が必要で「夜はお漏らしし、(被告に)風呂場で立たされていた」と話した。24日午後には「5秒以内に服を脱げ」と言われ、心愛さんは脱げずに何度もボウルで冷水をかけられていたと説明。

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14382657.html

24日朝、母親が浴室に行くと、心愛さんはぬれた肌着とパンツ1枚で立ち、被告に責められていたという。午後には「5秒以内に服を脱げ」と言われ、心愛さんは脱げずに何度もボウルで冷水をかけられていたと説明。リビングで背中に座られ、両足を持って体を反らされるような暴行も受けていたという。その後、廊下に連れて行かれ、再びお漏らしした。

 夜遅く、寝室にいた母親は浴室からドンと大きな音を聞いた。被告に呼ばれて見た心愛さんについて「床に倒れていた。信じたくなかったが、亡くなったのだと思いました」と涙声で言葉を詰まらせながら語った。この後駆けつけた救急隊員が遺体を発見した。

https://digital.asahi.com/articles/ASN2W71KWN2WUDCB016.html

また、「(心愛さんは)正義感がとても強い子。性格そのものが、勇一郎にとって気に入らないものだったのだと思う」と語った。被告がカードローンなどで計約268万円の借金を抱えていたことから、金銭面でストレスがあったのではないか、とも述べた。

https://digital.asahi.com/articles/ASN2X011JN2WUDCB003.html

【2月28日】

「お父さんに口を塞がれ、床に押さえつけられる」。心愛さんはそう言って片手を口に当て、片手を頭の上に乗せて再現。「昨日、頭と背中、首を蹴られた。今も痛い」と話し、涙をポロポロ流したという。

 「お母さんは味方してくれるけど、お父さんは自分が保護者だと言ってきかない」「夜中に起こされて妹の面倒を見ろと言われ、面倒を見ないと背中と首を力いっぱい蹴られる」「(17年夏に)引っ越してきてすぐ始まった」とも打ち明けた。教諭は「衝撃的だった」と語った。

https://digital.asahi.com/articles/ASN2X6SR0N2XUDCB016.html

【3月2日】

検察側が説明した医師の所見によると、心愛さんの遺体には、頭から足まで全身に数十カ所のあざ(皮下出血)があった。胸の骨が折れ、髪も数カ所抜けている。胃の中には食べ物がなく、肺には溺れた時にみられる特徴があらわれていたという。

心愛さんは栄養状態は悪くなかったものの、糖の代わりに体内にある脂肪酸を分解し、エネルギーとして使う際に出る物質の濃度が、健康な子どもより著しく高かった。糖尿病や先天的な代謝異常などがないことから、医師は「飢餓とストレスが原因であったと考えられる」と説明。そうした状態になれば「心臓の機能が低下し、不整脈が生じる、あるいは脳が正常な機能を果たせなくなる」と話した。

https://digital.asahi.com/articles/ASN3274HCN32UDCB00J.html

【3月4日】

4日午後からは被告人質問が始まり、弁護士が沖縄から野田市に転居したあと長時間、心愛さんを立たせるなどしたかについて問うと、被告は「立っているように言ったことは一度もないです」と答えました。

さらに、弁護士が「なぜ、心愛さんが『立たされた』と言ったと思うか」と質問すると、「傷つけてしまうからこれ以上言えません」と述べましたが、再度、弁護士から聞かれると、「うそをついていると思いました」と述べました。

さらに心愛さんが小学校のアンケートで訴えた被告からの暴行について思い当たることがあるかと質問されると、「ありません。心愛が、されてもないのにうそを書いたと思います。うそを書いた理由は分かりません。夜、寝相が悪くて毛布をかけ直したのを勘違いしたのかも知れません」と述べて否定しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200304/k10012313571000.html

【3月5日】

4日午後からは被告人質問が始まり、弁護士が沖縄から野田市に転居したあと長時間、心愛さんを立たせるなどしたかについて問うと、被告は「立っているように言ったことは一度もないです」と答えました。

そして、弁護士が「なぜ、心愛さんが『立たされた』と言ったと思うか」と質問すると、「傷つけてしまうからこれ以上言えません」と述べましたが、再度、弁護士から聞かれると、「うそをついていると思いました」と述べました。

また、心愛さんが小学校のアンケートで訴えた被告からの暴行について思い当たることがあるかと質問されると、「ありません。心愛が、されてもないのにうそを書いたと思います。うそを書いた理由は分かりません。夜、寝相が悪くて毛布をかけ直したのを勘違いしたのかも知れません」と述べて否定しました。

さらに児童相談所に一時保護されるまで、虐待は一度もなかったか質問すると、はっきりした声で「はい」と答えました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200304/k10012313571000.html

【3月6日】

また、5日の審理の最後には裁判長が「被告が話すことの中でイメージがわかないこともあったが、本当のことを話しているか」と尋ねる場面があり、これに対して被告は「話しています」と淡々と答えていました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200306/k10012317151000.html

【3月9日】

検察側は「拷問やなぶり殺しと言っても差し支えない壮絶な虐待の末に死亡させた」と述べ、懲役18年を求刑した。判決は19日の予定。

 勇一郎被告は起訴内容の一部を否認したが、検察側は論告で、弁解は同被告が撮影した動画や心愛さんの母親の証言などと整合せず、信用性に乏しいと指摘。「心愛さんの二度にわたるSOSを無視し、自分の過ちを省みる機会がありながら、自分のメンツを優先させた」と非難した。

 弁護側は最終弁論で、「結果的に心愛さんを死亡させたことは認めている」とした上で、「しつけが行き過ぎてしまった結果だ。日常的な虐待をし続けていたわけではない」と主張した。

 勇一郎被告は最終意見陳述で、「みーちゃん、本当につらい思いをさせてごめんなさい。自分のことが許せません」と謝罪した。一方で、心愛さんの母親に対する暴力を否定し、「私が支配的立場にあり、それに家族が逆らうことができなかったことはありません」と述べた。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020030900786

【3月19日】

千葉県野田市で小学4年生の栗原心愛さん(当時10)を虐待して死亡させたとして、傷害致死などの罪に問われた父親の勇一郎被告(42)に対し、千葉地方裁判所は懲役16年の判決を言い渡しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200319/k10012339401000.html