昨年後半に動物の事故死や行方不明が相次いだ天王寺動物園(大阪市)が、2021年4月に地方独立行政法人へ移行します。

天王寺動物園の独法化決定 大阪市、全国初

 大阪市は29日の幹部会議で、直営する天王寺動物園(同市天王寺区)の地方独立行政法人化を決めた。専門的な人材確保や運営予算の自由度を高め、経営合理化を図るのが狙い。市によると、動物園では全国初の試みとみられ、来年4月の法人化を目指す。

 同法人は採用や報酬などの面で民間に近い自由な運営ができる。従来の対象は大学や病院で、平成25年の政令改正で動物園や水族館などにも適用できるようになった。

 同園は来場者が年間約150万人を超えるが、現状では入園料などの収益を直接園の財源とすることができない。また飼育員や獣医師を除く園の事務職員らの人事異動が市全体に組み込まれ、在籍年数が短く専門的な技術向上が困難といった事情があった。市の有識者懇談会が、改善案として独法化が望ましいとの意見をまとめていた。

https://www.sankei.com/west/news/200129/wst2001290013-n1.html

大阪市は数年前から天王寺動物園のあり方を検討していました。

天王寺動物園経営形態検討懇談会
https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/page/0000375448.html

実質的な争点となっていたのは、市営直轄となっている経営形態でした。

https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/cmsfiles/contents/0000375/375448/siryou4_toriurukeieikeitai.pdf


https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/cmsfiles/contents/0000375/375448/siryou3_kentounohituyousei.pdf

様々な議論を経て、地方独立行政法人への移行が望ましいとの結論に至りました。

ただ、大阪都構想によって大阪市が分割されるという前提の下では、市営直轄という選択肢は無かったでしょう。


https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/cmsfiles/contents/0000375/375448/30-2-3shiryo1.pdf

多くの方がご存じの通り、天王寺動物園は地下鉄動物園前駅・各線天王寺駅から徒歩数分で辿り着けます。交通利便性は非常に良い場所にあります。

しかしながら、近年は施設の老朽化や動物事故の多発等といった様々な問題が噴出しています。動物を飼育する能力と資格があるのだろうか、少し不安です。

【11/5更新】天王寺動物園で行方不明のカワセミ・アシカ発見!、コアラ譲渡、シマウマ事故死、アムールトラ急死、何が起きているのか?

一方、ここ十数年で天王寺動物園やその周辺の光景は大きく変わりました。周囲を取り囲むように存在していた段ボールハウスやホームレスは一層され、子連れでも安心して歩ける様になりました。

天王寺公園には青い芝生が育ち、新たに導入された商業施設も賑わっています。同じ天王寺公園とは思えない光景です。

また、関西各地にある動物園は積極的にリニューアルを行っています。王子動物園(神戸市)や京都市動物園は多くの園舎が一新され、小さな子供でも動物が動く様を楽しく眺められる様になりました。

アドベンチャーワールド(和歌山県)・神戸どうぶつ王国・海遊館(大阪市)といった民営動物園・水族館も賑わっています。

そうした周囲の変化に天王寺動物園は取り残されていた様に感じます。ここだけ時間が20世紀で止まっているイメージです。

独法化によってどうなるのでしょうか。ここ数年の大阪府・大阪市の動向を見る限り、研究や教育が軽視されるのではないかと心配です。