保育士不足が深刻化する一方、保育士資格を取得したいのに受験資格を満たしていなかったというタレントから嘆きの声が上がっています。

タレントのつるの剛士さん(44)が2020年1月13日、自身のツイッターを更新し、保育士免許の習得を目指すと発言した。

しかし14日、受験資格を満たしていないことに気づき、「愕然…」と思いをつづった。

つるのさんは13日、保育士試験のテキストの写真を公開し、「頑張ってみます!」と、試験に挑戦する旨をツイートした。このツイートには6000以上のいいねが付いており、リプライ(返信)欄には「頑張ってください」「応援しています」など温かいコメントが集まっていた。

しかし14日の投稿では「受験資格をみて愕然…。高卒1994年組」と呟いており、受験資格を満たしていないことを明かした。一般社団法人全国保育士養成協議会の公式サイトによると、1991年4月1日以降に高等学校を卒業した者で、保育科以外の課程を修了している場合は、2年以上かつ2880時間以上「児童等の保護または援護」に従事した勤務経験がなければならないという。

つるのさんは続けて「5児父親…。ウルトラマン変身の資格…。チャギントンお兄さん歴10年…。すくすく子育て司会歴3年…。育休取得経験2回…」「楽器演奏、歌、絵描き、読み聞かせ」と、自身の子育てに関する実績や趣味を並べ、「それでも1991年3月31日以降の高卒者は受験資格がないのか…」と落胆の顔文字を添えてツイートした。

さらに「子供を預かるという重責ある資格なので勿論専門的な勉強、試験は大切だと思いますが」と前置きした上で、「保育士不足と謳われているこのご時世に、受験資格に大卒or実習2880時間…があまりにも厳しい…」と思いをつづった。

この投稿には、現役保育士などから「地域限定保育士試験というものがありますよ」「通信教育で取れるのでは」というコメントが寄せられており、つるのさんは受験資格の厳しさに嘆きつつも「知らべてみます」「あきらめぬ!」と、前向きな姿勢を見せた。

https://www.j-cast.com/2020/01/14377083.html

つるのさんが保育士試験を目指したのは、日頃から保育園を利用して保育士に感謝している気持ちがあったからでしょう。

つるの剛士「保育園の先生方…ありがとう」投稿が反響 現役保育士からは感謝のコメント

 滋賀県大津市の交差点で車2台が衝突した弾みで1台が保育園児の列に突っ込んだ事故について、タレント・つるの剛士(43)が8日夜に更新したツイッターでの投稿が反響を呼んでいる。

 8日夜には保育園の園長が会見を開き、犠牲になった2人や、当日の園児の様子について語り、数分間むせび泣く場面もあった。

 この園長の姿に、つるのはツイッターで「被害に遭われた保育園の園長先生の記者会見みてられない。悲しみの真っ只中の記者からの質問攻め、見てられない」と反応。当園の散歩態勢などへの批判もあることもあり、続く投稿では保育士への感謝を表した。

 「お庭で遊べば近隣から”うるさい”と言われ、お散歩すれば”危ない”からと自粛…?チビッコは泣くのが仕事 元気一杯に遊ぶのが仕事 チビッコこそ未来の光。子供に優しくない社会に未来はない」と訴え、最後に「保育園の先生方、いつも他人の子をみてくださって本当にありがとうございます」と記した。

 保育士への思いを率直につづった、つるのの投稿には共感の声が殺到。「その言葉がどれほど励みになるか」「引率していた保育士さんも、幼い2人の命を奪われたのは、家族を失ったのと同じ気持ちだと思います」など、現役の保育士からのメッセージが多く散見したほか、「子供を社会で育てる意識が高まれば」「子供に、優しい国であってほしいと願います」と子供や、保育園への理解が深まることを願うコメントも寄せられた。

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/05/09/kiji/20190509s00041000186000c.html

一連の経緯は、本人がツイッターに投稿しています。

一般的に保育士資格を取得するには、(1)養成校を卒業する、(2)保育士試験を受験して合格する、という2ルートが存在しています。


https://www.e-hoikushi.net/article/way/

ただ、保育士試験を受験するには一定の学校(大学・短大・高専)を卒業している、もしくは一定期間以上の実務経験を要します。

なお、例外的措置として、1991年(平成3年)3月までに高校を卒業した方も受験資格が認められています。1991年4月から受験資格が短大卒以上に引き上げられた事に伴う経過措置です。

つるの剛士さんは1975年5月生まれです。高校を卒業したのは1994年(平成6年3月)だと考えられます。よって、保育士試験の受験資格を得ていない事となります。

受験資格に対しては様々な声が上がっています。ただ、忙しいタレント活動と並行しつつ、高卒認定資格試験を受験したり実務経験を積むのは極めて困難でしょう。

何か方法が無いかと探しては見ましたが、これという手段は見つかりません。

ある方が「神奈川県の地域限定保育士試験はどう?」と提案していましたが、こちらの受験資格も通常の保育士試験と同じでした。

受験資格について
全国試験と同様です。神奈川県外の在住の方も受験していただけます。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/sy8/hoiku/2019dokuji.html

保育士は多くの乳幼児の保育を行うという、専門性を求められる仕事です。

社会全体が高学歴化する中、保育士試験の受験資格を短大卒等以上に引き上げたのは理解できます(高卒者を養成校へ誘導したい意図もあったのかもしれません)。

短大卒等の学歴を有しない受験希望者に対しては、児童福祉施設等で一定の実務経験を積めば受験資格を得られる制度も設けられています。

つるのさんは、「5児の育児経験や子育てに関するタレント出演歴等があっても受験資格が無い」と嘆いています。

とは言え、自分の子供と他人の子供は全くの別物です。豊富な子育て経験があったとしても、上司等の指導に基づいて他の子供等と接する児童福祉施設での経験に代えられるわけではないでしょう(ご本人も分かっての発言だと思います)。

一方、学歴による受験資格の制限により、学校を離れてから改めて何らかの資格を取得したい方の行動を大幅に制約してしまう側面もあります。「学び直し」を阻害しています。

ただ、保育士試験は簡単な試験ではありません。筆記試験と実技試験が課され、合格率は約20%に留まります。

●筆記試験
 保育原理・教育原理及び社会的養護・児童家庭福祉・社会福祉・保育の心理学・子どもの保健・子どもの食と栄養・保育実習理論の8科目

●実技試験
 保育実習実技(音楽表現に関する技術、造形表現に関する技術、言語表現に関する技術の内2分野を選択)
※試験科目が一部免除される場合があります。

平成30年試験結果: 【受験者】68,388人【合格者】13,500人【合格率】19.74%

https://www.e-hoikushi.net/article/way/

私自身も以前に受験を検討した事がありました。筆記試験は兎も角、実技試験は到底受からないと感じました。

では、つるのさんが保育士資格を得るには、どうするのが最適なのでしょうか。私は「保育士養成課程を有する通信制大学・短大を卒業するのが良いのでは」と考えています。

保育士資格を取得するための手段として、通信制大学に入学する方法があります。通信制大学は働きながら、または子育て中など毎日の通学が難しい人にとって、資格取得を目指しやすい学習制度と言われています。

https://www.hoikushibank.com/column/post_1393

忙しい芸能活動と両立するにはベターな方法では無いでしょうか。

通信制大学はモチベーションの維持等に苦労するかもしれませんが、芸能活動にフィードバックできる部分もあるでしょう。「通信制大学に入学しました」と話題も呼びそうです。

また、養成校を卒業するので、難関の保育士試験を受験する必要がありません。合格率20%の資格試験に合格するのは容易ではありません。

今は1月です。学校によっては、今から手続すれば3カ月後の4月から入学できるかもしれません。

一旦社会に出てから、再び学び直すのは歓迎すべき行動です。価値観が変わったり、改めて学び直す必要性を感じる方は少なくないでしょう(私自身もその1人です)。

子育てしながらだと学び直す時間を確保するのが難しいかもしれません。が、子供の勉強を見ていると「もっと勉強しておけばよかった」と後悔する時もあります。

人間は何歳になっても学び直せます。

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(1/16追記)
キーの一つである「保育士試験受験資格の引き上げ」に関する資料を紹介しているツイッターを見つけました。

主たる目的は「保母養成施設(いわゆる養成校)と保母試験制度(保育士試験)の均衡」でした。長くなりますが引用します。

保母試験制度の役割はかつてに比ベ限定的なものになってきており,保母の養成・確保については,今後,保母養成施設が主要な役割を担っていく必要があると考える。

しかしながら,現状においては,保母養成施設の学生以外にも資格取得の機会を与え,児童の保育に情熱を持つ有為の人材を確保することに意義も認められるので,なお保母試験制度を存続すべきであるとの見解に達した。

このような考え方に立ち,当部会としては,まず保母養成施設と保母試験制度の均衡を図ることが重要と考える。

保母養成施設は厚生大臣の指定する専門的な大学,短期大学等であり,高等学校卒業が入学資格となっている。そこで保母資格を取得するためには,高等学校卒業後2年以上の期間,厚生大臣の指定する教科目の単位を取得して卒業することが必要条件となっており,これらの指定科目の単位数(68単位)は,短期大学の卒業に要する単位数(62単位)を上回るものとなっている。

また,この保母養成教育課程は,随時改訂されてきており,例えば昭和45年には,保育所保育における教育的機能を一層充実するという観点から,教育原理を必修科目に追加する等の改正がなされている。

一方,保母試験については,その受験資格は高等学校卒業または児童福祉施設においての3年以上の実務経験を有すること等とされており,基本的に制度発足当初から改訂されていない。

また,試験科目については,昭和26年に児童福祉事業概論が加えられて合計8科目となり,それ以降改訂されることなく今日に至っている。

このため,保母養成教育課程と保母試験制度とを比較すると,資格取得に要する基礎的素養の面で短期大学卒業程度と高等学校卒業程度という差が生じているほか,保母試験の出題範囲においては,保母養成施設においては必修科目となっている教育学に関する知識領域が含まれていない点に格差も生じている。

3.具体的な改正方向上記のような観点から,現行の保母試験制度について当面次のような改正を行う必要がある。(1)保母試験受験資格については,現行の高等学校卒業程度から短期大学卒業程度に引き上げること。その際には,児童福祉に関する実務経験を有する者についても十分配慮することが必要である。(2)保母試験の出題範囲に教育学関係の知識領域を加えること。なお,受験資格及び出題範囲の改訂に際しては,受験希望者等を配慮し十分な移行期間を設ける等の措置を講ずることが望ましい。

保母試験制度の改正について(意見具申)

保母養成施設の教育課程が概ね短大卒に相当するのに対し、保母試験は高卒でも受験できるものでした。基本的素養を同一水準にすべきという観点から、受験資格を高卒から短大卒へ引き上げられました。

語弊があるかもしれませんが、養成校における教育課程(基本的素養)と実習(実務経験)に対し、保育士試験では基本的素養として短大卒以上の学歴を受験資格とし、そして実務経験に代わって保育士試験で能力等を吟味するのでしょう。

我が家の子育ては、保育所や保育士抜きではあり得ない物でした。子供だけでなく、親もいろいろとお世話になっています。

ただ、朝夕に立ち寄るだけであっても、保育士の労働負荷の重さは如実に感じます(小学校の先生も同じです)。

保育士不足の解消という観点から考えると、必要なのは受験資格の緩和ではなく、待遇の引き上げが必要でしょう。

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(1/20追記)
4月から通信制短大に入学するそうです。

ご本人が様々な方法を冷静に検討し、最も良い選択肢を選ばれたと思います。

頑張って下さい! 影ながら応援しています。