下記記事の続報です。

【野田市10歳女児虐待死】いじめアンケート 矢部雅彦学校教育部次長(兼指導課長)が父に渡した

栗原心愛さんがいじめを訴えたアンケートを野田市教育委員会が父親に手渡すのに先立ち、当時通っていた野田市立山崎小学校が「念書」を手渡していた事が明らかになりました。

驚くべき内容の念書でした。

校長、心愛さんの父に「念書」 情報開示を約束させられ


(心愛さんが通っていた小学校が校長名で栗原勇一郎容疑者に提出した「念書」のコピー)

千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅で命を落とした事件。市は31日の記者会見で、父親の栗原勇一郎容疑者(41)=傷害容疑で逮捕=に対する対応について説明した。父親の威圧的な態度に屈した市教委と小学校。関係部署の情報共有ができていなかった実態も明らかになった。

「精神的に追い詰められて、やむにやまれず渡してしまった」

野田市教育委員会の矢部雅彦・学校教育部次長兼指導課長は記者会見で、昨年1月15日、栗原勇一郎容疑者と面談し、心愛さんが前年11月に提出した、いじめに関するアンケートの写しを渡した理由についてこう話した。

当時の心愛さんは、県柏児童相談所による一時保護が解除され、近くに住む親戚宅に身を寄せていた。それを踏まえ、「影響は少ないのかな、とも認識してしまった」とも話した。

心愛さんが通っていた野田市立山崎小学校と市教委は、その3日前、一度はアンケートを渡すことを拒んだとしている。

しかし、栗原容疑者はおさまらず、言葉を荒らげて訴訟をちらつかせたり、ボイスレコーダーを机上に置いたり、情報開示を約束させる「念書」を要求したりしたという。

そうした中で、大人たちの心に、心愛さんを絶対に守り抜かねばならないという思いはどの程度残っていたか。

小学校は栗原容疑者の求めるままに翌日、校長名で念書を出した。

矢部課長は「私の判断で守れる命も守れなかったと考えると……。取り返しのつかないことをしてしまった」と話した。

そのことが県柏児童相談所に伝えられたのは、1カ月以上が過ぎた昨年2月20日。直接言葉で説明することなく、資料配布にとどまったという。

市の内部検証では、事件までの経過で、小学校と市教委、市の児童家庭課、県柏児童相談所の連携が著しく不足していたことも明らかになった。

今年の冬休み明けから心愛さんがずっと学校を欠席していることは、市児童家庭課が10日時点で把握していたが、市教委は「事件が起きて初めて知った」。県柏児童相談所は21日に学校に連絡した際に長期欠席を把握したが、この時点でも市教委に情報が届くことはなかった。

「夏休みも長く休んでいたので不審に思わなかった」(市児童家庭課)

「担当に任せすぎていた」(市教委)

鈴木有市長はこの日の記者会見の冒頭で、こう謝罪した。「これから人生が始まると言ってもいい心愛さんの命を救えなかったことについて、心から申しわけなく思う」

今村繁副市長は、今回の問題に関わった職員らの処分を検討していることを明らかにした。

市が県柏児童相談所と合同で立ち上げる再発防止の委員会の初会合は2月中に開催し、4月にも検討結果をまとめたいとしている。

https://digital.asahi.com/articles/ASM105X1FM10UDCB014.html

念書を撮影した画像から文字を起こしました。

平成30年1月13日

栗原勇一郎 様
親族一同 様

野田市立山崎小学校
校長 石山 由美子

念書

野田市立山崎小学校(校長 石山由美子)教職員一同は、「栗原心愛の一時保護に関する件」に関して通告の義務における責任について、児童復帰後は、保護者及び親族一同が安心して児童を任せられる様、具体的な対応、方法を提示し、知識、技能の限りを尽くすことを誓う。

また、今後、児童への対応等が必要となった場合、保護者及び教育委員会への情報開示を即座に実施し、協議の上決定する。

以上のことを遵守し、保護者及び親族一同に対して信頼される組織として学校作りに取り組むことを誓う。

小学生の親として、学校が保護者へ念書を出すシチュエーションが想像できません。しかも、学校が父親に屈したかの様な内容の文章です。

恐らくは栗原容疑者は市教委と同じ様に、学校にも威圧的にアンケートの提示・交付を要求したのでしょう。学校側はこれを拒否しました。

しかし、父親の怒りが収まらなかったのは容易に想像できます。怒りを静める為、こうした文書を作成・交付したのでしょう。同じ様な状況でアンケートを手渡した、市教委指導課と同じ構図です。

転校には市教委の許可・転校先学校長の同意が必要

ところが数日後、心愛さんは野田市立二ツ塚小学校へ転校してしまいました。簡単に転校できるものなのでしょうか。

野田市の通学区域は「野田市立小学校及び中学校通学区域に関する規則」で定められています。

同規則によると、心愛さんが住んでいた千葉県野田市山崎1921-2は山崎小学校の通学区域に属しているのみです。二ツ塚小学校の通学区域には含まれていません。

転居せずに他の小学校へ転校するには、「学区外就学指定校変更願」を提出する必要があります。


野田市学区外就学指定校変更願

自宅から山崎小学校までは約400メートルだったのに対し、二ツ塚小学校は約1km(道なりで2km近い)も離れています。

報道によると、転校先の市立二ツ塚小学校へは母親が自動車で送迎していたそうです。

転校する合理性があるとは考えられません。指定校変更を希望する理由にどういった事柄が書かれていたのでしょうか。

この変更願を教育委員会が調査し、(転校先の)学校長が同意した場合には、指定校を変更して転校できます。

報道によると心愛さんが唐突かつ勝手に転校したイメージを受けました。しかし、手続には教育委員会や転校先校長の同意が必要とされています。

未だ報道されていませんが、栗原容疑者は恫喝的に転校許可を得たのではないでしょうか。指定校変更願の記載内容に手がかりがありそうです(追記:「教育方針に納得できない」といった記載だったと報道されています)。

これが真実ならば、野田市はアンケート・念書に続いて屈した形となります。そして心愛さんは通学時間が大幅に伸び、人間関係を失いました。

近隣住民が聞いた悲鳴に対し、学校の動きが鈍かったのも推測できます。

近隣住民は学区たる山崎小学校へ連絡したのでしょう。しかし、山崎小学校内には該当する児童がおらず、そこで止まってしまった可能性があります。二ツ塚小学校まで連絡が届いていたのでしょうか。

人権教育を重視する野田市、しかし絵空事

歴史的に野田市は人権教育を重視している地域です。江戸幕府が最重視した利根川・江戸川に面し、市内中心部を日光東往還が通過する要所でした。

現在も多くの学校で人権教育が実施され、市内各地には福祉会館が設置されています。

転校前に登校していた野田市立山崎小学校の教育目標にも掲げられています。

(6)学校人権教育・特別支援教育の充実
①学校人権教育の日常化を図り、いじめや不合理な差別や偏見をなくす人権尊重教育を推進する。

https://schit.net/noda/esyamazaki/mokuhyo

しかし、栗原容疑者の恫喝を前にして、弱い立場にある心愛さんの人権を尊重する意識は学校や市教委にありませんでした。

人権教育が絵空事に聞こえます。